後鼻漏が治らない・・・慢性上咽頭炎

あいうべ(息育) 上咽頭

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慢性上咽頭炎が引き起こす様々な症状

慢性上咽頭炎まんせいじょういんとうえん」という言葉が広がってくるにつれ、「えっ!?この病気も」「こんな症状も??」と全く別々と思われていた病気が繋がっていく経験をします。

私ではなくて、患者さんが・・・。私にとってはいろんな病気が上咽頭炎と繋がっていることは良く理解できますが、普通は考えられないですよね。

例えば片頭痛と上咽頭炎とか、逆流性食道炎と上咽頭炎とか、一件全く無関係ですから。

私が、外来で慢性上咽頭炎の一般的な症状について説明をすると皆さん一様に驚かれます。

「まるで私のことかと思った」って。

慢性上咽頭炎によっておこされる様々な症状・病気

そうなんです、後鼻漏を主訴しゅそ(一番ひどい症状)で受診をしたけれど、めまいも頭痛も喉の違和感もあるという方は少なくありません。

上図に挙げたものだけでも

  • 耳鼻咽喉科的疾患:鼻炎、後鼻漏(こうびろう)、耳鳴、喉頭異常感症、鼻閉、声がれ(嗄声させい)、鼻血
  • 眼科的疾患:眼痛、眼瞼周囲湿疹、羞明しゅうめい(まぶしい)
  • 精神科的疾患:うつ、不眠、パニック、だるい、やる気が起きない
  • 内科的疾患:慢性咳嗽、咳喘息、気管支喘息、逆流性食道胃疾患、げっぷ
  • 整形外科的疾患:肩こり、首こり、ストレートネック
  • 歯科口腔外科的疾患:舌痛症、歯痛、顎関節症
  • その他:慢性疲労症候群、線維筋痛症、片頭痛

などなど頭頚部を中心に様々な病態に関係しています。これが病巣疾患の原病巣となるとその関係する病気の数は一気に増加します

皮膚、腎臓、甲状腺、網膜、関節炎、筋炎等々様々な病気の原病巣となり得るのです。

まず上記の青い病気の項目に3つ以上当てはまったら慢性上咽頭炎を強く疑った方が良いでしょう。

必ずしもMRIやCT、血液検査などでは異常が認められませんからね。だから「検査しても異常がない」と言われてしまうんです。

長引く後鼻漏が治らない

なかなか治らない後鼻漏を主訴に受診される方が結構いらっしゃいます。後鼻漏というのは「鼻水がのどの奥に流れる」、「鼻水がノドに下がる」、「鼻汁が喉に流れ込む」という症状を現しています。

実際に鼻汁の流れ込みがある人もいれば、後鼻漏感、流れ込み感という時もあります。鼻水がノドにへばりついてとれない、べたっとずっとへばりついているという症状の場合もあります。

みらいクリニックを受診した初診の方で3ヶ月間での統計を取ると病気に悩んでいる期間は、平均3.5年、長い方で20年以上にわたります。

後鼻漏自体は「死ぬ病気じゃない」ので結構軽く捉えられるところがあるのですが、ずっと24時間、四六時中、起きているときも寝ているときも後鼻漏を感じるのですから、患者さんによっては

鼻をごそっととりだして欲しい」と訴える方もいます。本当につらいんだと思います。

この後鼻漏ですが、抗生剤や去痰剤などでは改善しない場合があります。

また改善したとしても、それは本当に薬のお陰なのでしょうか。快方に向かっているときと薬を投与した時期が重なると医師も患者さんも「薬で改善した」と思いがちです。

ところが患者さんによっては、何十種類という抗生剤を手を変え品を替え飲み続けても全く変化がないと言うことがあります。

たとえばこういう状態の上咽頭炎(出血がありますから心臓の弱い方は見ないようにして下さい)。

後鼻漏が上咽頭へばりつく(血液や膿が出ます閲覧注意)

この動画では上咽頭の壁に乾燥して固まった鼻汁がこびりついています。

これを喉頭ファイバーで見ながら擦っていくのです。こればかりは内視鏡で見ないと確認が困難です。

この方の場合、ちょっと上咽頭上皮に触れるだけで出血をします。易出血性と言いますが、これも慢性上咽頭炎の特徴です。

痰に血が混じるすぐに鼻血を出すという人は、慢性上咽頭炎の疑いが強いです。ちょっとした刺激で上咽頭粘膜から出血しますからそれが痰などに混じってしまうのです。

こんな状態では、抗生剤や去痰剤は無効です。いくら服用し続けても効果はないでしょう。

ところが通常の医療だと「それ以外の治療」が分かりませんから、延々と処方され続けることになります。

改善するためにはEAT(上咽頭擦過治療、Bスポット治療)が必要になってきます。

そしてEATと同様にとても大切なのがセルフネイザルケアです。

歯の治療でイメージしてみよう

私は簡単に患者さんにはこう説明します。

歯垢や歯石は何か薬を飲んだからと言って改善しませんね。歯ブラシで擦ったり、歯医者さんで歯石を取ってもらわなきゃいけません。

薬で出来ることと出来ないことがあります。上咽頭治療は薬では出来ないことの一つです。

骨折の治療は薬ではどうしようも出来ず、外科的に、物理的に骨を治療しなければなりません。

慢性上咽頭炎も薬ではどうしようも出来ないことが多いんです。

だから後鼻漏に漫然と薬を飲み続けるのは勧めません。

なぜそうなったのかを考えることが必要です。

口呼吸の改善や姿勢の改善なども後鼻漏治療の一環なのです。

だからセルフネイザルケア。

歯垢も歯石も、日々のブラッシング歯みがき、フロスなどをきちっとするとある程度自分でコントロールできるのです。

日々のオーラルケアが出来ていれば口腔の健康を保つことが出来ますね。

そして自分でケア出来ないところは専門家に任せる。上咽頭炎治療も、セルフケアだけではダメでやはり粘膜を擦過することがとても大切になってきます。

歯科で言うと歯石取りみたいな感じですかね(あくまでも感じですよ)。

こんな歯ブラシや歯間ブラシで口腔内をキレイにすると気持ちも上がりますね。

カラフルなクラプロックス

これはまさに慢性上咽頭炎でも同じです。EATだけが治療ではなくて、普段の生活も治療の一部なのです。

鼻呼吸、あいうべ体操、鼻うがいなどもとても大切な「慢性上咽頭炎治療」の一つです。

これまで上咽頭炎治療(EAT)を受けたことがあるけどなかなか治らなかったという患者さんのお話を聞いてみると、必ずと言っていいほど「セルフケア」の指導を受けていませんし、実際にやっていません。それではずっとEATを受け続けなければなりませんし、EATを一週間の内に何回も受けることになってしまいます。

EATを受けているのに後鼻漏が続くという場合は、セルフケアを充実させて下さい。

ですから私はネイザルセルフケアセミナーを開催するのです。

 

鼻うがいについてはこちらの動画を見てください。鼻うがいをするときには片方の鼻から反対の鼻に出てくるようにすると上咽頭を洗浄できます。

口へ出しては上咽頭に届いていませんのでご注意を。

鼻うがいは上咽頭を洗っているか?!

鼻うがいは、ネイザルリンスをお勧めしています。鼻から鼻へうがい水を出すにはネイザルリンスが子供さんにも出来て手軽ですね。

薬を減らせた、通院が減った、鼻呼吸が出来て気持ちよいなんて声がたくさん届いているようです。

サイナスリンス利用者の喜びの声、大網株式会社の松本伸一さんから提供していただきました。

慢性上咽頭炎

執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール

今井 一彰
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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