目次
外反母趾とは
足のトラブルの中でも、耳にする機会の多い外反母趾ですが、実際にどのような状態のことを言うのでしょうか。外反母趾とは、母趾が外側に向かって反っている状態です。痛みが無ければ放置されることもありますが、母趾の付け根が赤く腫れたり(バニオン)、母趾の爪が巻き爪や嵌入爪となり炎症や感染を起こしたりすると痛みで歩行困難となることがあります。
外反母趾の男女比は、1:10といわれて圧倒的に女性の方が多い疾患ですが、男性でも悩んでいる人が少なくありません。痛みと姿勢の外来(フットケアセンター)にも受診されています。治療法としては、適切なサイズの靴を履くことや足指の体操(ゆびのば体操)などがありますが、ひどくなると手術をすることもあります。
外反母趾は、女性に多いのですが、ご本人が外反母趾であることに気がついていないことも多いものです。早めに気づいてケアすることが大切です。
まずはご自分が外反母趾であるかどうか、確認してみませんか。簡単なチェック法をお伝えします。
1.足を揃えます。(椅子に座っていても大丈夫です)
2.左右の親指の間に指が何本入るか試してみましょう。
指が二本入ると外反母趾、一本だと外反母趾の予備軍です。この写真の方は指が二本入っているので、外反母趾ですね。
これがひどくなってくると母趾(親指)のつけ根の関節が赤く腫れたり、第2趾(お母さん指)の下に母趾が潜り込んでしまったりします。
外反母趾とは、足の母趾のつけ根が変形する疾患(しっかん)です。
また外反母趾の種類としても、
- 仮骨性外反母趾(かこつせい)
- 靱帯性外反母趾(じんたいせい)
- 病変性外反母趾(びょうへんせい)
など外反母趾にも様々な種類が存在します。
レントゲン撮影による診断
自分の判断では困難なこともありますし、外反している角度がひどくてもあまり症状が無いという場合もあります。逆に、それほど外反していないのに、痛みがひどいという場合もあります。
外反母趾診断はレントゲン検査により行うとより適切に骨の状態を確認することが出来ます。
多くの人が、指先の外反の角度だけを気にしがちなのですが、1,2番目の足趾の角度も重要になります(中足骨間角)と言います。
これが開きすぎてしまうと開張足と呼ばれる状態になります。
ですから、闇雲に母趾と第2趾の間を開ければいいという考えから、間にものを詰めたり(例えばティッシュペーパーやゴムなど)することは、中足骨間角が拡がってしまうためお勧めしません。
この様な場合は、かえって第1、2指の重なりがひどくなったり、爪の変形を来したりすることがあります。また間に入れたもの分だけ足幅が拡がるわけですから、靴のサイズを変えなければ、より変形が進んでしまうと言うことにもなりかねません。
第1、2趾間にものを詰めるのは応急処置にとどめておいた方がよいでしょう。
外反母趾の原因
外反母趾の原因として考えられる要因は、大きく4つあります。
- 靴が合っていない
- 歩き方の問題
- 筋力低下
- 関節の病気による(関節リウマチなど)
この4点が考えられます。ですので、外反母趾がある方、また予防としては、上の3点をどれも気を付ける必要があります。
足指が使えていない
関節の病気による者以外の、外反母趾の根本的な原因は、足指が機能的に使えていないことにあると考えます。
足指を使って生活していないということです。
外反母趾は生活習慣病とも言えます。それほど、生活の中で、足指が使えていない方が多く、しだいに足の機能低下が進み、
いつの間にか、外反母趾になっていた。というパターンが多いです。
最初に申し上げました、靴の間違いや、間違った歩き方、全身の筋力低下の3点は足指の機能低下を及ぼします。
重心がかかとによりすぎている
外反母趾の方は、体を支える重心がかかとの方によっている、過度に重心がかかとによっている傾向があります。
逆立ちで考えてみましょう。
逆立ちをしようとすると手は指を伸ばし、大きく広げます。
手の平から指まで全体を使って、体を支えようとするイメージができると思います。
ですが普段の生活の中で、足の指を逆立ちの時のように、使おうと意識することはほとんどありません。
足の指は手の指と比べて日常生活で握る動作を行わないので、握る筋肉の必要性があまり感じられませんが、この筋肉は逆立ちしている時の手の指と同じように、地面に着いて体重を支える時に働きます。
ですから、浮き指のように指を浮かして足裏だけで体重を支える生活を続けていると、握る筋肉は退化していきます。
みらいクリニックにおける外反母趾の治療について
みらいクリニックでは、外科手術は行っておりません。関節リウマチの基礎疾患がありMP関節の亜脱臼などをおこしている場合は、外科手術の適応となる場合がありますが、症状の緩和、痛みの軽減であれば以下の方法でも十分に対処可能です。
ここでは外科手術以外の外反母趾治療について紹介します。
悪化因子を取り除く
外反母趾は、生活習慣病と言えます。間違った靴の扱い方、サイズなどでも起こります。
スポッと履きやすい靴、踵の無いサンダルなど、幅の広すぎる靴が外反母趾を悪化させます。また筒状の靴下、ストッキングの長時間の着用も問題です。
まずこれらの悪化因子を取り除くことが治療の第一歩です。
この様な筒状のソックスでは、外反母趾のまま足指が固定されてしまいます。
足指は、靴や靴下の形に悪い方向へ”矯正”されてしまっています。
ソックスを脱いでも足指は、変形したままです。靴の問題もありますが、靴下やストッキングの問題にも注意を払って下さい。
土踏まずを形作る
インソール(靴の中敷き)によって土踏まずを作ることも治療に役立ちます。
外反母趾では、土踏まず(内側縦アーチ)がうまく働いていない場合があります(扁平足)。扁平足は、土踏まずを形作る上でも大切な舟状骨の位置が下方にずれてしまっている状態です。
これを改善するためには、インソール作成(自費診療 12600円)を行っています。
インソール作成には40~60分ほど時間がかかるため予約制となりますが、千差万別な足の裏に応じたオーダーメイドの中敷きですから、外反母趾の痛みを軽減させ、歩行を楽にします。
丁寧にあなたの足の状態に合わせて作成をしていきます。
さらにインソールだけでなく、足の甲の形に添った靴ひもの結び方も大切です。
インソールが良くても、靴や靴ひもがそれに見合っていないとやはり靴全体としての装着感が損なわれてしまいます。
ゆびのば体操
生活習慣病ですから、適切なセルフケアが必要です。
かがみ指(屈指症)が併発していることが多く足指を伸ばしていくことが大切です。
アーチ(土踏まず)が作られると足指は伸びていきます。ゆびのば体操が足指を伸ばしている時間が15~20分程度ですから、持続的に足指を伸ばすには、ゆびのばソックスなどの着用も有用です。
外反母趾予防・改善・治療の3つのポイント
外反母趾を予防、または治療するためには、なるべく足指を使う環境を作ることが大切です。
その環境が先ほど申し上げました、三点と繋がってくるのですが、
- 自分の体に合った靴をはく
- 正しい歩き方をする
- 筋力をつける
この3点が大切になります。
足指の機能を高めて外反母趾を予防しよう!
外反母趾でお困りの方、また外反母趾予防には足指の機能を高めるようにしましょう。
靴のアドバイスや歩行姿勢、フットケアに関してのご相談は痛みと姿勢の外来で承っております。
https://mirai-iryou.com/shinryo/itamitoshisei/
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執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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