あなたの臨床が変わる細菌学3

Featured Video Play Icon

歯周病と炎症反応

日本大学特任教授・落合邦康先生をお迎えしてのインタビュー、第三回です。

今回は、「歯周病と炎症反応」についてです。

 

  1. 「ペリクル」から始まるデンタルプラークの形成
  2. プラークの成熟と石灰化(歯石)
  3. 歯周病と炎症反応
  4. 歯周病と骨吸収
  5. 歯周病と全身疾患~最新の研究から

炎症反応というと、まず血液検査で思い出すのがCRPという物質。C-Reactive Proteinの略で肝臓で作られる蛋白質です。

C反応性タンパクと言いますが、まあ難しいことは良いでしょう。

特に細菌感染や膠原病などの時に上がります。

ウイルス感染では上がりませんし、肝臓が弱っていても(作る機能がなくなる)から上がりません。

2017.5.10放送のNHKガッテンで「目指せ健康長寿、大注目の検査はこれだ」の回でも話題になっていたのがCRPです。

基準値は、0.3mg/dl以下ですが、正常人であれば0.1以下(欲を言えば0.05mg/dl、つまり検出限界以下)でありたいところです。

私の血液で測定すると、0.05mg/dl以下でした(ホッとしました笑

CRPは、体のどこに炎症があっても血液中の値が上がってしまいます。

健康長寿の人は、このCRPが低い、つまり体に炎症があまり起こっていない、というワケなんですね。

炎症は、病気やケガから体を守るために必須ですが、これが長引いてしまうといけません。

長引いてしまった状態を「慢性炎症」と言います。

この炎症ですが、ガッテンでは肥満を取りあげていましたが、それよりも口と鼻(歯周病、扁桃炎、副鼻腔炎)が問題です。

歯周病と書きますが、その正体は炎症で、肝炎(hepatitis)や胃炎(gastritis)などと同じなんですね。

歯周ポケットを拡げると手のひら一枚程度になるんだそうですよ

そこが炎症を起こしているのですから、こりゃ体にとっては大変な問題です。

膵炎(pancreatitis)腎炎(nephritis)と同じ、歯周炎(gingivitis)です。

慢性胃炎でせっせと薬を飲んでいる人もいますが、歯周炎はそれよりももっと治療が必要な疾患じゃないかな。

急性炎症と慢性炎症

強い炎症であれば体もそれなりに反応しますが、弱い炎症がぐずぐずとくすぶっている状態が徐々に体にダメージを与えて行ってしまいます。

これが慢性炎症。

慢性炎症と急性炎症の違い

急性炎症は、発熱、疼痛、腫脹、発赤の4つに加えて、機能障害の5つが特徴と習います。

ケガや打撲をした時のことを考えてみて下さい。

患部は、熱を持ち(発熱)、痛んで(疼痛)、腫れて(腫脹)、赤く(発赤)なっています。

しばらくすると、徐々にこれらの反応が落ち着いてきて、「治癒」に至ります。

急性炎症は、また同じ状態に戻ることが出来ます。

慢性炎症は、そういう訳にはいきません。

炎症を繰り返したところは、線維芽細胞がやってきてそれまでの組織とは違う組織を作り上げて行ってしまいます。

そして、元の状態には「戻ることが出来ない」のです。

これが慢性炎症。

慢性炎症と急性炎症は、長さの違いもありますが、「質」の違いが大きいのですね。

この違う組織になることを「組織のリモデリング」とも呼びます。

どうして慢性炎症になるのか

免疫細胞が出すサイトカイン(免疫物質)が、長引く炎症によって体を守る働きを超えて、かえって体を障害して行ってしまうようになるためなのですね。

ただし、急性炎症 → 慢性炎症 という過程もあるけれど、突然の慢性炎症が起こることもあります。

ひどい急性炎症を起こす細菌に対しては、抗生剤などの治療や体の免疫力で排除できていたのですが、それほど「ひどい炎症を起こさない」微生物が体に潜むと、排除しようという働きをすり抜けてしまう可能性があるので、慢性炎症に移行してしまうと言うこともあります(もちろん簡単に言うとですよ)。

喫煙や肥満、飲酒といった生活習慣も慢性炎症の原因になります。

例えば、HCV(C型肝炎ウイルス)やピロリ菌( Helicobacter pylori )などは、発がん遺伝子をもっていないのに肝細胞がんや胃がんの原因となってしまうのは、これらの微生物が「ひどい炎症」を起こさずに、体から強力に排除されることなく潜み続けることが出来るからなんですね。

HCVが慢性肝炎(これも慢性炎症ですね)となり肝硬変、肝細胞がんへと炎症を発展させていく。

ピロリ菌が、慢性胃炎から胃がんへと炎症を発展させていく。

これが慢性炎症の恐いところです。

歯周病菌も「弱い」菌なので、体から激しく抵抗されることなく、口の中に潜んでしまうことが出来てしまうのです。

軽度の歯周病であればある程度治せるけれど、骨吸収などの重症の歯周病になればもう後に戻すことは出来ません。

この際の骨とは、歯槽骨のこと。歯槽骨は、歯が植わっている骨です。これが歯周病によって徐々に溶けていく、そして最悪の場合歯が抜けることになります。

歯周病は、歯周組織の「慢性炎症」なんですね。

これが口の中に存在し続けることは、健康な体にとって大問題です。

炎症の原因は酸化

肥満も加齢も炎症を引き起こします。

これは、「酸化」によって起こされるんですね。酸素は、私たちにとってとても重要です。というより生きるためには酸素が絶対に必要です。

ところがこの酸素によって体が傷つけられることもあるのです。

活性酸素という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、これは酸素分子がより他の物と反応しやすい状態になった物です。

これが体をさび付かせていくんですね。

でも活性酸素はとても大切です。

白血球が微生物を退治する時には、この活性酸素を使うんです。

活性酸素が多すぎてもダメですが、少なくてもダメなんですね。

う~~~ん、難しい。

歯周病は、慢性炎症ですから、まず大切なのは「ならないこと(予防)」そして完全な治癒は難しいですから「定期的に歯科を受診すること」これが大切ですね。

毎日自分の歯肉をチェックしていると、良いことがあるかもしれませんよ!

ぜひビデオでご覧下さい

Follow me!

投稿者プロフィール

今井 一彰
今井 一彰みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医・NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック(JR博多駅すぐ)開業
プロフィールページへ
amazon著者ページ

今井院長が開発した矯正5本指ソックス

スポーツや外反母趾の矯正、ひざ・腰の痛みに効果的。足指袋の特殊な構造により変形した足指をきちんと伸ばしていく「ゆびのばソックス」通販『ゆびのば.com 』