不登校と慢性上咽頭炎の関係

あいうべ(息育) 上咽頭

CEP微熱 不登校経過

2021年 あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。

みらいクリニックのスタッフ一同、私たちの目指す「みんなが楽になる医療」の為に精一杯取り組んで参ります。

今年最初のブログです。

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慢性上咽頭炎と不登校

さて、慢性上咽頭炎に関する記事を執筆するに当たって過去の文献などを正月はずっと見直していました。

 

慢性上咽頭炎は、以前は鼻咽腔炎あるいは鼻咽頭炎といい、そのローマ字の頭文字(Bi-inku-en)を取って上咽頭部をBスポット、その治療をBスポット治療と名付けられました(Bスポット治療を世に広められた堀口申作先生の書籍による)。

 

ですから、ある程度古い文献には鼻咽腔炎あるいは鼻咽頭炎として記載されていますが、ここからは断らない限り慢性上咽頭炎と書きますね。

 

 

今回は、慢性上咽頭炎と精神症状との関係について書きます。あなたのお役に立てますように。

 

月間保団連という保険医の集まりである保険医協会から出ている月刊誌があります(保険医協会は、医師会よりも入会している医師が多いのです)。

その2003年5月号に

 

精神科プライマリーケアーとしての鼻咽腔炎(慢性上咽頭炎)

~不登校症例について~

寺岡葵、宇野昭彦、宇野正志

という論文があります。著者の寺岡先生は、熊本で精神科を開業しておられましたが今は閉院されています。この論文では、不登校の症例のなかでも「頭痛、微熱、疲れやすさ」の共通した症状を伴った小学生から高校生のケースについて論じています。

これが症例の一覧ですが、中でもケース1の中学校2年生の女子生徒のケースを詳述してあります。

症状は、拍動性左側頭痛、左肩痛、扁桃肥大、甲状腺軽度肥大、口角炎、3ヶ月以上の微熱、生理痛とあります。さらに慢性疲労症候群(CFS)の既往があります。

もともとは、明るく、活発で人に好かれるタイプ、部活動はバレーボール部に所属していました。

CEP 不登校 保団連

月間保団連2003年5月号 P54より抜粋

こちらがその経過です。上咽頭擦過治療(EAT)を始めてから頭痛の強さと体温変動が見事に相関して改善していっていることが分かります。

EAT後は、次第に疲労倦怠感が消失、微熱(といっても38.0℃を超える高熱の時もありますが)もとれ、生理痛改善、治療後4月で全日登校ができるようになり、部活動にも復帰できたとあります。

CEP微熱 不登校経過

慢性炎症を体から取り除くことが大切

実は、不登校とされているケースの中に慢性上咽頭炎によるものが散見されます。私もこれまで数は多くありませんが、数例経験しています。

寺岡先生は

  • 慢性上咽頭炎は頭痛、肩こり、疲れやすさ、微熱を主症状とし、該部(上咽頭)への塩化亜鉛と筆診断と治療が出来る
  • 家族歴では、アレルギー性疾患、橋本病、気管支喘息、関節リウマチ、糖尿病など自己免疫疾患が多くMラレル
  • 臨床検査では、好酸球増加、血沈下降、異型リンパ球増多、抗核抗体陽性、抗TPO抗体陽性などアレルギー性疾患、潜在性橋本病などを疑わせる所見が見られる

としています。もちろん自律神経失調症状は存在し、抑うつ、腹痛などの多彩な心気症状とも関係しているとあります。

 

この論文を通しても、コロナ後遺症ととてもよく似ていることがお分かりだと思います。慢性上咽頭炎は実に様々な病態、症状と関係します。

 

副腎疲労や栄養障害などとも結び付けられますが、これらは消耗性疾患とも呼ばれますがなぜ消耗するのか、それは”慢性炎症の存在”があるからです。

 

この慢性炎症を取り除かずして、いくらビタミンなどの栄養を取ったり、休養をしたりしても長く良い状態が続かないのです。慢性炎症は、上咽頭のみならず体のあちこちで起ります。それらは食事や運動、睡眠といった生活習慣と大きく関係しており、それらを正すことは治療においてとても大切です。

炎症を起こしやすい食事(例えば砂糖、コムギが多い食事、脂質過多など)や運動・睡眠不足を改善することも良いことですね。

 

コロナ後遺症では、従来の慢性上咽頭炎の発症のように急性上気道感染症の後に引き起ってくると考えれば、おそらく上咽頭の慢性炎症(これは内視鏡で観察すればすぐに判断できます)が存在しているはずです。これが分かれば、コロナ後遺症外来で悩んでいる人への治療のオプションとなります。

 

これが私がコロナ後遺症外来をする理由です。

 

 

ややもすると本人の自覚、やる気、周囲との関係性などでくくられてしまいがちな不登校ですが、それを引き起してしまう可能性のある”慢性上咽頭炎”が存在するかどうかを確かめることは、その後の治療を決定するのにとても重要です。

 

精神と肉体は、切っても切れません。これらを少しでも明らかにしていきたいと思っています。

2021もEAT、慢性上咽頭炎の概念普及のためにこれまで同様取り組んで参ります。

どうぞよろしくお願いします。

執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール

今井 一彰
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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