治りにくい副腎疲労は慢性上咽頭炎の治療が必要(副腎疲労その1)

上咽頭 治療

こんにちは、みらいクリニックの今井です。ご覧いただきありがとうございます。

今回は2部に分けて副腎疲労と上咽頭炎などについてお話をしたいと思います。

副腎疲労って聞いたことある方いらっしゃると思うんですね。上咽頭の治療を希望してくる方の中にも、「副腎疲労って言われたんです」って言う方が結構いらっしゃるんですね。

副腎疲労とは何かって言うと、副腎、腎臓の上に乗っかっているおむすびみたいな副腎から出ていくホルモン、コルチゾル(コルチゾール)が出すぎてしまって、あるいはなかなか出なくなってしまって、そして疲れとか色々な症状を引き起こす。やる気が出ないとかですね、肩こりだとか鬱だとかという風な症状を引き起こすわけですね。

お食事だとか睡眠だとかというのがその副腎の疲労を取っていくのにいいという風に言われているんですけれども、結局は副腎疲労といっても、ある意味結果にしか過ぎないわけです。

副腎疲労が原因ではなくて結果に過ぎないわけです。ここはよくお分かりだと思います、と言うか分かっていただく必要があります。

何かの原因があって副腎が疲れるわけです。副腎が疲れているから何かが起こるというわけではなくって、何かの原因があって副腎が疲れてるわけです。ですからその原因を取り去ることが大事なんですね。

副腎疲労に至る経路として、ブログでも何回か紹介したことあると思うんですけど、これですね。 HPA系、視床下部から下垂体そして副腎に至る経路ですね。

何が出るかって言うと、HっていうのはHypothalamus(ハイポサラミス)視床下部、PはPituitary gland(ピチュイタリー・グランド)下垂体、それからAは Adrenal gland(アドレナルグランド)副腎、頭文字を取ってHPAというんですけれども、ストレスがかかりました、何かのストレスがかかった時に、視床下部→下垂体→副腎という風にホルモンがぴゅぴゅぴゅぴゅぴゅっと連携していくわけですね。

副腎から何が出るかって言うとこれです。コルチゾルが出るわけです。コルチゾルっていうのは副腎皮質ホルモン。ちょっと難しくなりますけど、糖質コルチコイドといいます。糖質コルチコイド、副腎皮質ホルモンというとですね、すぐに体にとって悪いんじゃないかとか、免疫抑制とかという風なことを思い浮かべると思いますが実はそうなんです。

このHPA系は何に大切かと言うと、急性に何か起こった場合に対処する時に、このHPA系が働いてストレスに対して対処するわけです。ストレスというのは、ここ大きく皆さん間違ってるとこなんですけど、ストレスというのは何も悪いこととか悲しいこととかショッキングなことだけではなくて、嬉しいこともストレスになるわけです。

ですから通常の状態からずれること、これも全部ストレスになるわけですね。ですからずっと何もなければストレスがかからない。でも何か例えば良いことがあった嬉しいことがあった、宝くじ当たったとか結婚したとかですね、昇進したなんてことがあった時には、これ通常と違う状態なりますからストレスになるわけです。この時には当然HPA系が働きます。そして元の状態に戻ろうとします。
これをヒトの恒常性、Homeostasis(ホメオスタシス)というわけですね。

コルチゾルがなぜ出るのかっていうと、コルチゾルには、たとえば血圧を上げるとかですね、血糖を上げるという風な作用があります。

これが長く続くと当然悪いわけです。免疫力を下げたりとか。ストレスがあって一過性になる場合には全然問題ないわけです。というかそれが大事なわけですね。

お腹が空いた、何かに襲われた、危ないことがあった、血糖が下がったよ、でこの血糖を上げようという、これストレスに対する反応なわけですよ。今から動かないといけない、逃げないといけない、戦わないといけないという時には、血糖が上がらないといけない。当然血圧も上がっていかないといけないわけです。

そうするとこのHPA系でコルチゾルが上がっていくというのはとっても大切な作用なわけです。これがだらだらと上がり続けること自体が問題になってくるわけですね。

このコルチゾルですけれども、 朝が一番高くて、徐々に徐々に低くなって、夜になって一定化して、また朝になると増えて、という風な一日の流れがあるわけです。

ところがHPA系が刺激され続けてしまうと、だらだらだらだらだらだら下がることがないわけですね。だらだらだらだら出続けてしまう。これが副腎疲労と言われる状態ですね。あるいは、出方がこういう風になってたものが、夜になってから出てきちゃったりという風な感じになってしまう。

これが副腎疲労と言われる状態。じゃあその原因は何なのかというと、一つはやっぱりストレスもありますね。ストレス、たとえば気管支喘息の方なんかもそうなんですけれども、ストレスによって症状がすごく変わるという事があるわけです。

これストレスがかかってるということはですね、HPA系が働いてるって事ですから、ずっとだらだらだらだらコルチゾルが出るわけです。その状態で免疫抑制が働いたりとか血糖コントロールが悪くなっちゃったりするわけですよ。これは生体にとっては本当に良くない。ですからストレスを減らしていくというのはとても大切。

じゃあ、よく病院に行ってね、「ストレスなんです」といって相談なんかした時には、「ストレス減らしてください」なんて言われますけど、「ストレス減らせるもんだったら簡単に減らせてるよ。」と、そう思いませんか。 ストレスって自分でわかっていてもなかなか減らすことができなかったり、あるいは人間の心理ってストレス自身を見えなくして、真正面から見るのが怖いから見えなくするような作用がありますから、自分自身で何がストレスなのかもわからないというところもあるわけです。

そのストレスに関して何が言えるかというと、ここで出てくるのが慢性上咽頭炎なわけです。

慢性上咽頭炎の治療普及、 B スポットですね。治療普及に尽力された堀口申作(ほりぐちしんさく)先生はもうすでに1970年代の時点から上咽頭とHPA系の関連について言及しておられました。

実はこれHPA系というのはですね、もちろん古くから分かっていたことで、最近わかってきた概念ではないわけです。そこに副腎疲労、Adrenal fatigue(アドレナルファティーグ)と言いますけれども、それを乗っけちゃったというだけなんですね。

上咽頭炎が何かと言うと、当然ここには炎症が生じているわけです。例えば炎症がある、後鼻漏がある。だるいという症状、その症状自体がストレスを生んでしまってだらだらだらだらとHPA系が働いてしまうということになります。

後鼻漏、24時間鼻がどんどんどんどん垂れる、これだけでもストレスになりますよね。当然 上咽頭に炎症があると、そこには炎症物質が集積して、そこから炎症物質が頭の周りに及んでいって、そして悪さをしてしまうわけです。

これ上咽頭。いつも見せるやつですけれども、この部分に炎症があると当然波及していくわけですね。ですからこの炎症があること自体がストレスになってしまうわけです。この炎症を取れば特に副腎疲労とかということを意識しなくても改善していくわけですね。

ですから上咽頭治療、イート、EATと書きますけど、上咽頭の治療をすると副腎疲労と呼ばれていたものが改善していくわけです。というよりもむしろ上咽頭炎の症状を副腎疲労というふうに勘違いしてる可能性もあるわけですね。

 

これは口腔・咽頭科学会で堀田修先生(堀田修クリニック)がご発表になった論文から抜粋してきたものですけれども。上咽頭炎があります。これは堀田先生の仮説ですね。上咽頭-大脳辺縁系相関仮説と書いてありますけども、これはブログでもご紹介しますからぜひご覧になってください。

上咽頭と大脳辺縁系が密接に関係していく。上咽頭炎があると様々な問題が引き起こってきます。そして大脳辺縁系があると自律神経症状のようなものも起こってくるわけですね。
こういう風なことが起こってくると、いわゆる不定愁訴ですね、なんていう風に言われるわけです。

上咽頭というのも、下垂体とかですね、視床下部に近いわけですし、ここ嗅球から流れてきたリンパ液・ 脳脊髄液がこの部分で滞ってしまって、リンパのうっ滞を起こすなんていうことも言われています。

ですからこの部分のリンパのうっ滞を治療するためにも、あいうべの体操なんていうのはとても大切ってことは分かりますね。

このHPA系からコルチゾルが分泌する。そのコルチゾル自体を減らしていく、あるいはコルチゾルの分泌を元に戻していくという風に考えていく。それがまずは口呼吸を止めていくということにつながるわけです。

口呼吸は当然慢性上咽頭炎の一つの原因にもなりますし、最近だとPM2.5なんかが体に悪さする。PM2.5がどうやって悪さするのかというと、HPA系を刺激してコルチゾルをどんどん出し続けるということなんですね。

PM2.5でストレスホルモン、血圧が上昇

 

ですから、副腎疲労ということに関して、食事とか睡眠とか日常生活をきちんとしていきましょうよ。副腎に良い食品を摂りましょうよということももちろん大切なんですけれども、それによって見過ごされているもの。慢性の炎症をどう取っていくのか。上咽頭の炎症をどう取っていくのか。そして空気をどういう風にとっていくのか。ということを考えていかなければならないというふうに思っています。

副腎疲労はあくまでも結果。原因ではありません。ですからその原因となっているものを治療していかないと副腎疲労は治りません。

ですから特に何かしら食事とか、あるいは睡眠とかを考えなくても、慢性上咽頭炎の治療をしていく。慢性の炎症を取っていくだけで副腎疲労と言われていた症状が改善することはたくさんあるわけです。

ですから副腎疲労の治療をしている。サプリ摂ったりとか、お食事に気をつけてるんだけどなかなか治んないなっていう方はですね、ぜひとも慢性上咽頭炎の治療を受けてみるか、あるいは自分自身が口呼吸になっていないかというのを確かめるように是非とも見てみてください。
それでは第2部に続きたいと思います。
ご視聴ありがとうございました。チャンネル登録もよろしくお願いいたします

慢性上咽頭炎

 

執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール

今井 一彰
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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