うつ病は薬では治らない!?

タレントの名倉潤さんがうつ病で2ヶ月の休養というニュースがでました

私もほんの数回ですが、ジョブチューンなどテレビ番組でご一緒したことがありますので、心配しております。

ご本人だけで無く、奥様の渡辺満里奈さんやご家族の方も心配なさっておられることでしょう。

 

2ヶ月という期間を休養されるようです、この期間がどの様に設定されたのかわかりませんが療養されて復帰されることを願っています。

 

ニュースによると2018年6月に椎間板ヘルニアの手術を受けた際の侵襲によるストレスがうつの原因とされています。

手術による侵襲だけでストレスになることはそれほど多いことではありませんので、症状が再燃したりすることの不安なども関係していたのではないかと推察されます。

 

所属事務所によると、名倉は昨年6月に頚椎椎間板ヘルニアの手術を受け、10日間休養。手術の経過は良好だったが、手術の侵襲によるストレスが要因で鬱病を発症し、医師から一定期間の休養が必要と診断されたため、再び休養することになった。スポニチの記事より抜粋 2019/08/02

 

うつ病の治療というとすぐに抗うつ薬と思い浮かべる人がいますが、実は「軽度から中等度のうつには抗うつ薬の効果は限定的」ことが分かっています。

名倉さんが投薬を受けているかどうかは不明ですが、もし抗うつ薬を投与されているとしたら「治らない」ことも考えなくてはいけません。

最近の新聞記事ですが、読売新聞のものです。「抗うつ薬は8割の患者に無意味!?」というタイトルです。

抗うつ薬は8割の患者に無意味!?

8割無意味と言うことなら、治療の意味はどこにあるんでしょうね。抗うつ薬はほとんどプラセボ(偽薬)といってもおかしくないくらいのレベルですね。

 

では、抗うつ薬が効かないとなったらどうやって治療をしていくのでしょうか。

一般的には良質な睡眠と運動です。

この書籍なんて運動の大切さをとても理解しやすいです。

 

 

さらにここでは「うつ病」を違う視点から見てみたいと思います。名倉潤さんのニュースを見てさっと書き上げましたので、誤字脱字あると思いますすいません。

 

呼吸とうつは密接に関係している

さてこの図を見て下さい。これは山口創教授(桜美林大学)が聖徳大学に在籍されていた頃のアンケート調査です。

普段から口呼吸をしていると回答した学生のほうが抑うつ度が高くなっています。

このテストでは抑うつ度20というスコアは中等度のうつと診断される程のものと捉えて下さい。

鼻呼吸と比べると抑うつ度が明らかに高いですね。では、この状態で「治療」をするとしたらどうすれば良いでしょうか。

口呼吸がうつの原因だとすれば口呼吸を鼻呼吸に治すことが治療に繋がるのです。

 

「うつ」が何らかの結果としておこった状態だとすると、抗うつ薬を投与するというのは熱が出たから解熱剤を処方する、痛みがあるから痛み止めを処方するというのとあまり変わりはありません。

いわゆる対症療法です(抗うつ薬の場合は対症療法にもなりませんが)。

 

一時的には症状が良くなるかも知れませんが、やはり「治らない」ということになりますね。

 

うつ病の診断は比較的簡単についてしまいますから、診断されると投薬という流れが出来上がってしまいます。

 

 

こちらは山口創先生の最新刊(2019年7月発売)ですが上記のグラフも掲載されています。

 

ぜひ参考になさって下さい。

マインドフルネスも呼吸をとても重要視しています。

 

呼吸は自分でコントロールできる自律神経系です。口呼吸は浅く速い呼吸になり、鼻呼吸は深くゆっくりとした呼吸になります。

 

五木寛之さんもうつの時の口呼吸を戒めています

これは五木寛之さんの「林住期」という書籍の一分です。

うつで悩んでいるという女性が五木さんのもとへ相談へ訪れた際のやりとりです。

口呼吸の不自然さを説いていますが、相手の女性はよく理解していない感じが出ています

 

ご飯を鼻から食べるようなことが、口呼吸だとすれば心身に悪影響をおよぼすことは当たり前です。

口呼吸は、体を冷やしていくのですから、心、精神も冷えていってしまうのです。

 

 

 

まずは口の運動を 舌力が弱い

うつを改善するには「良質な睡眠と運動」と書きました。

でも、、、、、分かっちゃいるけど体が動かないと言う時もあるでしょう。

 

そんなときには「あいうべ」体操です。口を動かすだけでも良いのです。

 

うつ病対策の最初のとっかかりとしてあいうべ体操、そして鼻呼吸を心がけて下さい。

みらいクリニックの調査でもうつの人は舌力が弱いことが分かっています

下のグラフを見て下さい。これは特殊な機会で舌力を測定したものですが、健常人の34.0kPaと比べるとうつ(DEP)群の平均値は21.6kPaで有意に低くなっています。

舌力は、全身の筋力の一つの指標にもなりますから、全身の筋緊張が下がっていることが推察されます。

この状態からあいうべ体操を始めると、一ヶ月やったところで29.4KPaまで舌圧が上がります。

 

うつ対策には是非ともまずあいうべ体操!口の体操から行って下さい。

 

その他のうつの原因は?

さて口呼吸が身体に悪いのが分かったとして、その他にもうつの原因があるのでしょうか。

うつ病というとすぐにセロトニン仮説が引き合いに出されます。

いまだにセロトニン仮説を詳しく説明しているサイトもあります。

そして、抗うつ薬はこのセロトニンの濃度が上がるために効果を発揮すると言われてきました。

 

ところが上記したとおり、中等度のうつであっても抗うつ薬の効果は限定的なのです。

 

ですから、昔ほどセロトニン仮説が支持されなくなってきました。

 

では何が原因なのでしょうか。

 

脳の炎症がうつを惹き起こす

たとえばインターフェロン治療など薬剤によって惹き起こされたうつなど原因がはっきりしている場合もありますが、そうでないことの方が圧倒的に多いのが現状です。

うつの原因としては、

  • モノアミン仮説
  • 神経損傷仮説
  • 栄養仮説
  • 炎症仮説など

セロトニン仮説以外にも沢山あります。

なかでも私が注目しているのが「うつの炎症仮説」です。

これらは最近一般の書籍でも目立つようになりました。

例えば最上悠先生の「脳の炎症を防げばうつは治せる」はとても分かりやすい内容で表現してあります。

 

持続的に引き起こっている慢性炎症による、炎症物質産生やダメージにより脳内にも炎症が波及しうつが惹き起こされるというものです。

私はこの炎症仮説がうつ発症の原因だと考えています。

細かい発症機序や脳内の変化などについては上記書籍を参考になさって下さい。

脳内の炎症を抑えるという意味では、毎日の食事の献立を気を付けたり、炎症を起こさない取り組みが求められますね。

 

もちろん口呼吸は口の中の炎症をつくってしまいますから、うつ病治療にはまず鼻呼吸を心がけて欲しいですね。

 

上咽頭炎でもうつが起こる

さて慢性炎症というと、やはり慢性上咽頭炎を考えないわけにはいきません。

慢性上咽頭炎は様々な症状を引き起こします。

うつやパニック障害というのも典型的な慢性上咽頭炎に周辺症状と言ってもいいでしょう。

上咽頭炎による症状の一部

実際に後鼻漏を主訴にしている方でも抗うつ薬や抗不安薬を処方されていたりすることが多々あります。

 

上咽頭は頭の真ん中にありますし、最近分かってきたグリンパティック系(脳内のリンパ管輸送経)でも嗅上皮のところから脳脊髄液が排泄され、鼻咽頭リンパ管から頚部リンパ管まで脳の盂老廃物を流していることが分かっています。

 

この経路の途中である上咽頭に炎症が起こってリンパの流れが鬱滞してしまったり、慢性炎症により炎症物質の産生が亢進したりという状態が続くと脳内炎症が遷延化しうつを惹き起こす可能性があります。

慢性上咽頭炎治療によりうつ病が改善した、抗うつ薬の内服を辞めることが出来た症例は沢山ありますが、ここでの紹介は省きます。

 

とにかく「うつ病」という診断がついた瞬間に精神的な疾患、メンタルの問題とされるのが大問題です。

 

体の不調が続けばうつ症状を呈することはいくらでもあるのですから、体の不調を治していくことも立派なうつ病治療なんです。

 

いくら精神的に良くなったとしても体の不調が続いていればまた悪くなってしまう可能性があります。

 

うつ病といえども身体をよくしていくことが大切かと思います。

 

最後に

うつ病、うつ病治療をちょっと違った視点から見てみました。

いかがでしょうか

うつは心の風邪ですと言われるほどに、生きている間1/3の人がかかると言われるうつ病。

その原因はまだまだ分かっていないことが多いのです。

そして原因がわからないと言うことは、治療法も確立されていないのです。

 

名倉潤さんは、2ヶ月間の休養と言うことですが、もし抗うつ薬の投与でも改善しなかったり、充分な休養をとっても体や心が楽にならなかった場合は、脳の炎症をとるために上咽頭擦過治療(EAT)も考慮されたらいいのではと考えています。もちろんあいうべ体操と就寝時の口テープはマストです。

 

手術の侵襲によるストレスなどもあると思いますが、忙しい仕事に追われてゆっくりと休む暇も無かったのかも知れませんね。

 

ゆっくり養生されて元の状態に一日もはやく戻られますように!

https://mirai-iryou.com/aiube/

執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール

今井 一彰
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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