目次
掌蹠膿疱症や皮膚疾患に対する歯科金属除去をする前に
口の中の金属除去はそれほど急がなくても良い、その前にいろいろと出来ることがあり、それら(病巣疾患治療)の方が確実性が高いというお話しを前回しました。
例えばこの論文なんてのはまさに口腔内感染症(病巣感染症)のケースについて書いてあります。
Dental Infection as a Triggering Factor in Palmoplantar Pustulosis
掌蹠膿疱症における発症因子としての口腔内感染症 Acta Derm Venereol. 2013 Nov;93(6):721-2.
口の中の感染症治療をして掌蹠膿疱症が改善した4例について報告してあります。
こちらの「その1」の記事も参考にして下さい。こ
慢性上咽頭炎について詳しく知りたい方はこちらも参考にして下さい。
https://mirai-iryou.com/shinryo/bspot/
その1でも書いたとおり、すぐ口の中の金属除去と考えずに、まず炎症を起こしている部位は無いかと言うことに着目することが大切だと思います。
と、その前に悪化要因を
皮膚病変を悪化させる一番の原因を書きましょう。
まずはなんと言っても喫煙、たばこです。これがある間は、治りが悪い、治らないと考えてください。
喫煙している人は、まず禁煙。これ治療の第一条件です。ぜひご自分の体のためにも、家族や周囲の方のためにも禁煙を勧めます。
そして、食事ですね。やはり。
甘いものや小麦製品が多いと悪くなりがちです。ご注意を
ということで本編に入ります。
口の金属をとろうか、どうしようか・・・
迷ってしまうのは当たり前ですね。時間もお金もかかってしまいますから。
そうやって悩む人は少なくありません。
では、掌蹠膿疱症に悩んでいた女性のお話。
いつも利用していた美容院で、たまたまお客さんが同じような症状で悩んでいたと言うことを聞いたそうです。その方は金属アレルギーではないかということで、口の中にあった金属ブリッジなどをすべて外して、口の中から金属を無くしてみました。
ところが症状が全く変わらなかったと。
さらにその方が、みらいクリニックで治療を受けて半年ほどで改善したと聞いたので、金属除去を考えていたけれど、その前にみらいクリニックを診したと。
このエピソードからも掌蹠膿疱症、皮膚病すぐに金属除去となるのではなくて、一歩立ち止まりやはり炎症のコントロールが必要かもしれないということが分かります。
金属除去に40万円の見積もり
今回紹介するTさんが、なぜみらいクリニックを受診したかというと・・・
Tさんは、掌蹠膿疱症とくに足裏に水疱が出来て困っていました。
リンデロンローション(副腎皮質ステロイド剤)を塗布することで症状が抑えられていたので、水疱が出て痛みや痒み、ジュクジュクとした浸出液が出るようになったらステロイド剤を塗ると言うことで何とか落ち着いていました。
Tさんの口の中がパート1で紹介したこの写真です。
歯科金属が多数見えますね。これが原因かも知れない、この金属を除去してもらおう考えて歯科医院を受診しました。
金属を除去して、非金属の歯にするのは自費診療です。高額になりがちです。
Tさんの場合も治療費の見積もりは40万円を超えていました。
一般的にはちょっと悩む価格ですね。でも必ず治るのであれば是非ともやってみたいですよね。
指定された金額にTさんも悩んで、何か別なことが出来ないだろうかと私の元へ受診しました。
慢性上咽頭炎があった
はたしてTさんの喉の奥には慢性上咽頭炎がありました。慢性扁桃炎の所見は見つけられませんでした。
ここで出てくるのがいつもの病巣疾患です。
この慢性上咽頭炎を治療してダメなら、口の中の病巣検索、そしてだめなら金属除去というのが費用的にも合理的だと私は考えています。
みらいクリニックでビオチンやビタミンCを投与すること、推奨することはあまりありません。
それまでサプリとして飲んでいたものがあれば止めることはありませんが、増量したり指示することもありません。
ビオチンがいい、ビタミンCがいいと聞くと、治らなければどんどん摂取する量が増えて行きがちです。
増量したとしても大きく結果が変わることはあまり経験がありません。
Tさんは慢性上咽頭炎がありましたから、これらの治療を優先しました。
そして4ヶ月後には、塗布剤を使うことなくきれいな足裏になりました。
リンデロンローションは不要になったのです。
そして、なんと言っても口の中の金属はそのままだったのです。
特に治療をすることなく、口呼吸の改善、上咽頭治療によって掌蹠膿疱症が改善しました。
まさにこれが病巣疾患治療なんですね。
ここで私から提案です。
歯科医院の問診票に書くべき内容は・・・
上咽頭炎、慢性扁桃炎に加えて歯性病巣感染対策が掌蹠膿疱症治療には大切です。
一見無関係に思える口や鼻の病気、症状が皮膚病と繋がっているのです。
さあ、●●の中に当てはまる言葉を考えて下さい。
もちろんこれは、歯科の問診票だけじゃなく、耳鼻科の問診票にも言えますね。
病巣疾患というのは、思いがけない病気と繋がっているものです。
医師、歯科医師でさえもそのことを知らないという人たちがいます。
医療機関の問診票は、一見関係なさそうな病気であったとしても関連があったり、薬の使用に制限があったりしますから、
- 歯が痛い
- 鼻が詰まる
だけではなくて、今かかっている病気があればそのことを、薬を飲んでいるならそのことを書いた方がご自分のためです。
さて、上の●●の正解は。
歯科医院(耳鼻科)の問診票には「全身」の「病気」も書く
あなたの体を守るため
でした。簡単でしたね(^^)
後鼻漏や鼻炎、片頭痛などで受診してきた方でも、よくよく話を聞いてみると皮膚病や腎臓病を持っていることがあります。
実は、鼻や口の炎症がそれらの病気とは別々に存在するのではなくて、同じ体の中に共存していますから互いに影響し合っているんですね。
口と鼻は命の入り口です、ここの炎症は全身に影響をおよぼしてしまいます。
是非とも問診票の記入をお願いいたします。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
クリニック案内
amazon著者ページ
今井院長facebook
今井院長Twitter
今井院長Instagram
コメント