【医師が解説】脳脊髄液減少症と慢性上咽頭炎について【なかなか治らない?!】

こんにちは、みらいクリニックの今井です。
いつも失敗ばかりしている今井です。「私失敗しないので」で有名になった女優の米倉涼子さんが 脳脊髄圧減少症で治療していた。 それでドクター X ドラマが撮影ができなくなる恐れがあった、なんていう報道がなされていました。

この脳脊髄圧減少症ですけれども、初めて聞いた方もいらっしゃるかもしれませんが、これは古い時代からあった病気なんですね。

例えば、私こう見えても昔麻酔科の研修をしてたんですけれども、その時に硬膜外麻酔とか脊椎麻酔をした時にですね、特に硬膜外麻酔なんか失敗すると、ポンッと硬膜を突き破って脳脊髄液が漏れ出してくる時があるんですね。

その漏れ出した脳脊髄液(当然穴は塞がっていくわけですけれども、液が漏れ出してボリュームが少なくなってしまう)その後で立つと頭痛がする。起立性の頭痛なんていうのが副作用であるわけです。

脳というのは、脳実質があってそれを硬膜という膜で包まれていて、よく表現されますけれども、脳は水の中に浮いた豆腐みたいになっているわけです。

その水(脳脊髄液)が漏れ出たりとか、少なくなったりとか、脳を支えることができなくなってしまうと様々な症状が起こるという風に言われています。

現に頭痛とか吐き気みたいなものは、その治療の後、麻酔の後でも起こす方がいらっしゃるわけですね。これは麻酔とか医療の問題ではなくて、むち打ち、急にドンと後ろから突かれて交通事故を起こしちゃった、そういう時にも脳脊髄液が漏れだすという風なことが起こるという風に言われています。

この脳脊髄液減少症ですけれども、二つに分かれるんですね。髄液が何らかの原因で漏れだしていく。それは先ほどのむち打ちとかもありますけれども、徐々に徐々に漏れ出していって、その液が少なくなっていって脳をを支えられなくなってしまうというのと、低髄液圧症候群というのがありまして、その髄液圧が何らかの理由で下がっていく、特発性なんていう風についたりする時がありますけれども、特発性というのは医学用語だとよく訳がわからないけれどもという風な時に使われる接頭語ですね。
難しい言葉ですけれども、要はよくわからないけれどもという風な言葉なわけです。

この髄液漏出症とか低髄液圧症候群、これをひっくるめて脳脊髄圧減少症というわけです。これ本当に先ほどから申し上げているとおり、古くから100年ぐらい前から報告されていた現象でもあるわけです。

ではこのような病気になると、どのような症状が出るのかということをちょっとご説明しましょう。

脳脊髄液減少症の症状

ここに書いた通りですね、症状としては「起立性の頭痛」立った時に、当然(脳が)プカプカ浮いてるわけですから、立つと脳は相対的に沈んじゃいますから、立った時に頭痛が起こる。
それから「頚部痛」首が痛い。それから「腰背部痛」背中が痛いとか腰が痛いとか。「倦怠感」疲れやすい。「めまい」「耳鳴」「羞明」しゅうめいと読みますけれども、これは眩しい、外にパッと出た時にとっても眩しく感じちゃうという風な症状ですね。それから「視力の低下」「顔面が痛い」とか「顎関節症」「喉の違和感」「動悸」「食欲不振」「悪心」「記憶力低下」「うつ症状」などがあります。
先ほどから何回もお話ししてるみたいに、立った時に、あるいは座ってる状態が長いと悪化するとか、気圧の変化に過敏だという風な症状があります。

治療ですけれども、ここに書いてある通り「ブラッドパッチ」自分の血液、自己血をMRI(画像診断)だとかで見て、どこから漏れ出してるのかを見つけて、その部分に注射して穴が開いてるのをパッチするわけですね。自分の血液(ブラッド)で穴が開いているところにパッチを当てるのでブラッドパッチと言いますけれども、これが治療として行われます。

例えば漏れ出してるところは1箇所だけではなくて2箇所・3箇所漏れ出している方というのもいらっしゃるわけです。そういう場合は2回・3回という風にパッチをすることもありますし、1回のパッチで治まらずに、やっぱりパッチは当てたんだけれども、またそれから漏れ出してしまって2回・3回と同じようなところにするパッチもあります。

そして水分をよく摂ると、その脳脊髄液が少し多く生まれるようになって症状が緩和するということがあります。

慢性上咽頭炎と脳脊髄液減少症の症状は酷似している

なぜこのようなお話をするのかというとですね、冒頭でも示したように、脳脊髄圧減少症と慢性上咽頭炎、症状がすごく似てるんですね。病名としては脳脊髄圧減少症の方が圧倒的に有名です。なので患者さん方は同じような症状があったとしても、まずはブラッドパッチする。パッチをするんだけれどもなかなか治んないといって、なんだなんだ どうしようと悩んで、慢性上咽頭炎のことを知って受診するという方が時々いらっしゃいます。

ということで、いつも出しているこのスライドですね。慢性上咽頭炎の症状も見ていきますよ。

「鼻炎」とか「後鼻漏」、鼻に関する問題ですからこういうのがあるって言うのは当たり前というかこれが一番の症状ですね。特に後鼻漏が一番多い。それから「眼の痛み」「うつ」とか「パニック」とか「精神・神経症状」も引き起こすことがあります。それから「耳鳴」「めまい」「頭痛」「片頭痛」そして「肩こり」「ストレートネック」という風に表現される時もあります。

それから「喉の違和感」あるいは痛み「慢性の咽頭痛」などもありますね。「舌痛」「歯の痛み」「顎関節痛」「顎関節症」という風に診断される。長い間顎関節症だという風に診断されて、マウスピースはめるんだけど良くならない。それで相談にみえて慢性上咽頭炎だったなんていう症例もありますね。それから「咳喘息」「慢性のせき」咳喘息はこの動画でもお伝えしてますけれども、病名としては”適当な”という表現が正しい病名です。それから「逆流性食道炎」という風に診断される時があります。

先ほどの症状、「脳脊髄圧減少症」に戻って症状を見ていくと、「頭痛」「頚部痛」「腰背部痛」「倦怠感」「疲れやすい」「めまい」「耳鳴」「羞明(しゅうめい)」「視力低下」「顔面痛」「顎関節症」「喉の違和感」「動悸」「食欲不振」「悪心」「記憶力の低下」「うつ症状」。
ほぼ被ってると思いませんか。

この症状、ほぼ被ってるんですね。となるとですね、今悩んでおられる症状が脳脊髄圧減少症から来てるのか、それとも慢性上咽頭炎からきてるのか区別がつかないわけです。

区別がつかないとなると、当然のことながら有名な治療の方に行ってしまうわけです。ブラッドパッチ。2016年か17年に保険適用されましたね(2016年から)。本当に患者さん方には朗報だと思います。ブラッドパッチしてすごく改善したという方も沢山いらっしゃいます。一方でブラッドパッチをするんだけれどもなかなか改善しないという方もいらっしゃるわけです。
そういう方にはこの慢性上咽頭炎をぜひとも思い出していただききたいんです。

慢性上咽頭炎が惹き起こす自律神経障害

これも何回かお示ししたものですけれども、ここで関係してくるのはこれですね。『自律神経症状(機序)』というところなんですね。

例えば腰痛に関して言えば、「仙腸関節炎」腰痛・腰、仙腸関節という関節がありますが、こういう場所の痛みを引き起こしたりとか、あるいは「NUD(Non-ulcer Dyspepsia)」(潰瘍のない胃腸障害のこと、胃もたれや胸焼け、胃痛、吐き気などその不快な腹部症状が続く)機能性の胃腸障害もそうですね。「起立性調節障害」立った時にめまいがする、くらっとする、頭痛がするなんていう症状。「慢性疲労症候群」「線維筋痛症」「めまい」とか「うつ」とか「不眠」「ムズムズ脚」これらを考えていくと、

ごめんなさい。もう1回戻ります。これとかなり被ってくるわけです。そうすると 慢性の上咽頭炎なのか 脳脊髄圧減少症なのかよくわからない。

慢性上咽頭炎は様々な機序を介して、そして 体に影響を及ぼしていきます。

大門未知子先生ですかね。米倉涼子さんがやっておられるのは。「失敗しないので」、というふうにおっしゃってますけれども、大体の医者はだいたい失敗しております。失敗しない医者なんてのはいない。失敗しない医者がいるとしたら何もしない医者ですから。失敗する。失敗をすること自体は人間なので、これは仕方がないと思いますけれども、もちろん失敗しないようにはしますけれども、やはり医者も人間なので、この人はこの病気だというふうに考え方が固定されてしまうと、他の可能性に目を向けることができなくなってしまうわけです。それは私ももちろん同じです。慢性上咽頭炎だという風に初めに見てしまうと、それ以外の広がりがなくなってしまうわけですね 。

ですから、慢性上咽頭炎治療で治らなかったら、もしかしたら脳脊髄圧減少症かもしれないし、脳脊髄圧減少症で治療する、ブラッドパッチする、でも治らなかったら、慢性の上咽頭炎かもしれない。

医師が知らない慢性上咽頭炎の存在

脳脊髄圧減少症を診ておられるドクターが慢性上咽頭炎を知ってるというのは可能性としてはものすごく低いです。なのでもしこの動画を見て、自分は脳脊髄圧減少症でこれまで何回かブラッドパッチしたんだけど治んないという方は、慢性上咽頭炎を治療してみてください。
もちろんみらいクリニックでも、ブラッドパッチを何回もしたんだけど治んないという方が結構受診されます。。やはり診てみると、内視鏡で見てみると、慢性上咽頭炎が併発していることが本当に多いです。それを改善していく治療していくと治ることもしばしばなんですね。

ですからこういう風におすすめしたいと思います。

なかなか治らない脳脊髄液減少症は慢性上咽頭炎の検索をすべし

これは患者さんもそうですし、ぜひともドクターにも聞いてほしいと思いますね。まあ治療してるのは脳外科のドクターとかが主だと思いますけども、慢性の頭痛とか、なかなか頑固な頚部痛・腰背部痛、だるいとか辛いとかっていう症状を診たら、慢性上咽頭炎というのを思い出していただきたいなという風に思います。

そして動画をご覧になった患者さん本人かもしれませんしご家族の方かもしれませんし、脳脊髄圧減少症でなかなか治らないという時も諦めずに慢性上咽頭炎、どこかに治療できる医師がいれば治療してもらってください。もし分からない場合は、あさ出版の慢性上咽頭炎に関する本を見ていただいてもいいですし、日本病巣疾患研究会のサイト、あさ出版の特別サイトをご覧になっていただいて、近くに医療機関がないかどうか探してみてください。

米倉涼子さんがどういう治療したのかはよくわからないですけれども、もし治んなければ、私がクリクリっと慢性上咽頭炎の治療をして差し上げることができるんじゃないかなという風にも思っております。

皆様がいろんな症状から一日も早く解放されて楽な生活を送れるようにこれからも情報を届けていきたいというふうに思います。

ということでチャンネル登録もよろしくお願いいたします。
最後に「足指のびてますか!」
みらいクリニックの今井でした。

慢性上咽頭炎

 

執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール

今井 一彰
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医・NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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