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人がいてあいうべ体操が出来ない・・・そんな時のやり方
1年半前からの鼻炎と左目が腫れるといって受診をしてきた20代の女性。
眼科と皮膚科に通っているがあまり症状は改善しないと言います。
夜寝るときの口テープの話を友人に聞いて1年前から始めたとのこと。
つまり、鼻炎がひどくなったり、目が腫れるという症状が出現した半年後から口テープを開始したのですね。
ところがなかなか症状が改善しない。
鼻炎に対してはナゾネックス(ステロイド点鼻薬)を使っています。
すこし肌の乾燥も認められ、慢性的な口呼吸状態であることが疑われます。
こういうときには鼻呼吸に促すためにあいうべ体操をもちろん勧めるのです。
ところがいろんな方がいらっしゃるものでいつでも、どこでも、誰でも出来る体操なんですが出来ないときもあります。
声は出した方が良いですが、出さなくても良いですし。静かな場所でもあいうべ体操は出来るんですが、例えば・・・
あっ今朝日課のあいうべ体操忘れちゃった、もう電車の中だしどうしよう・・・という場合。
私も朝起きてすぐに20回あいうべ体操をやるのですが、飲み過ぎて二日酔いの時、夜遅くまで仕事がありすこし起きるのが遅くなってしまったときなど忘れてしまうことがあります。
そして電車の中で気づく、周りには人がいるし、口を手で隠そうと思ってもバッグで手が塞がっている
そんなときどうするか。
軟口蓋をなめる
です。
軟口蓋とは口の奥の方にあります。
場所を確認しましょう。
- 舌先を上前歯の後ろから歯茎に沿ってなめる
- そのまま舌を反転させるような感じで舌先を後ろに反らしていく
- ぐぐっと反らしながらなめていくと上あごの硬い部分からふにゃっとした柔い部分に行き着く
そこが軟口蓋です。さらに奥に行くとのどちんこがあります(おそらくここは舌で触ることは出来ないでしょう)。
上あごは、骨があり硬い高口蓋と骨のない軟口蓋に分かれています。
この軟口蓋部分を舌を左右に動かしてなめてみて下さい。
その時に、下あごの部分に手を当てると大きく膨らんでいることがわかります。
これが舌筋の根元の部分になります。
10回もなめると舌が疲れてくるのがわかります。
図で示すと青い○の部分です。ここをなめるんです。
場所が分かりましたか?
これなら「あいう」の動きは出来なくても舌の動きは出来ますし、普段あまりする動きじゃないですからたまにやると舌力がさらにアップします。
病気を防ぐ舌力
あいうべ体操は、舌力(ぜつぢから)を鍛える体操。
舌力の衰えは、全身の筋力の衰えに繋がると言われます。
病気を防ぐのは舌力なんですね。これが口呼吸と大きな関係があります。
写真は、「口呼吸を止めて万病を治す!口テープ付録付き」(TJムック)からのもの。
舌小帯の問題がある方にも
この軟口蓋ぺろぺろ体操(即興で名付けました)がなかなか出来ないという方やそこまで舌がいかないよ、という方もいると思います。
舌の動かし方が下手くそ、あるいは神経疾患、脳疾患などで動きが悪いという方はやっていく内に上手く出来るようになります。頑張って下さい。
舌の舌にある舌小帯の問題で舌をしっかり”べ~”と出せない、という方だと軟口蓋ぺろぺろ体操は難しい。
お子さんだとこの体操で、舌小帯が小さくなり舌が動かしやすくなったり、呼吸がしやすくなったりします。
あいうべ体操に加えて、軟口蓋ぺろぺろ体操も加えると鼻呼吸獲得に一歩近づきますよ。
姿勢が良くなった
さて上に書いた
- 鼻炎
- 左目の腫れ
の女性にもあいうべ体操、軟口蓋ぺろぺろ体操を伝えました。
さて二ヶ月後どうなったでしょうか。
鼻炎の改善、目の腫れも改善しました。
もちろん口呼吸から鼻呼吸への転換ですね。
そしてさらに「姿勢が良くなった」と喜ばれましたよ。
悪い舌位置(低位舌といいます)は、猫背やストレートネックの原因にもなります。
舌位置が変わると不用意に口が開かなくなり、姿勢も良くなります。
今回紹介した軟口蓋ぺろぺろ体操は、作業中でも誰にもバレずに舌力を鍛えられます。
高齢の方だと食事中のムセがなくなったり,飲み込みが改善したりします。
私もこの記事を書きながらやっていますよ!
手足の筋力維持も大切ですが、舌力維持も同じように大切です。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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