膝にヒアルロン酸注射をしすぎるのもだめ

安易なヒアルロン酸関節注射は勧めません

膝痛の代表的病気といえば変形性膝関節症が挙げられます。

すぐに「加齢変化」と捉えられることもありますね。まぁ加齢変化には間違いないのですが(^^ゞ

それでも何とかしたいと思うのが人情です。

その何とかしたいという気持ちで、みらいクリニックやゆびのばひろばに相談に見える方が連日のようにいらっしゃいます。

この変形性膝関節症は人口の高齢化に伴い全世界的にも増えており、介護分野の社会問題とも言えます。

患者さん
膝が痛いんです

となると、「では膝に注射をしましょう」ということで週に1回、5回続けて関節内注射を勧められることがあります。

この注射、この場合は「ヒアルロン酸注射」ですね。時々、ステロイド剤の関節内注射をされることがあるのでご注意を(ステロイド剤の注射も注射の間隔を充分開けることが大切)。

関節の中は、とってもなめらかな関節液が入っておりその主成分がヒアルロン酸です。

このなめらか成分ヒアルロン酸を体外から補うのが「関節の注射」です。

ところでこのヒアルロン酸の関節内注射ですが、2013年の記事にこの様に書いてあります。

ヒアルロン酸もはや推奨せず 【米国整形外科学会】 変形性膝関節症ガイドライン改訂版を発表

ヒアルロン酸の関節内注射は、14件の試験のメタ解析において臨床的に重要な改善を意味する最小閾値に達しておらず、症候性の変形性膝関節症治療法としてもはや推奨されないものとしている。

簡単に言い直すと

ヒアルロン酸の関節内注射は、14件の医学研究の大規模調査解析をしたところ、医療としては改善が認められたというわけではなく、痛みがある程度でレントゲン上変形がひどくない変形性膝関節症の治療法としてはお勧めしませんよ

と言うことです。

ですからヒアルロン酸の関節注射は安易には勧めない、求めない方が賢明です。

もちろん、痛みがひどい、急激な痛みをどうにかしたいという緊急避難的な処置であれば良いのですが、長期的に膝の状態を改善するわけではありません(この場合は、ステロイド剤の注射も考慮した方がいいことも)。

特に痛みが引き起こされた問題を解決することなく、痛み止めを使っているのですから、むしろ一時的に痛みが消えて膝を動かせるようになる。

そうすると、痛みという体からのシグナルを受け止めて、体の使い方を変えていたものが、痛みを無視して動くようになる、ますます状況は悪化するという悪いサイクルに陥ってしまうのですね。

では、この加齢現象とも言える変形性膝関節症を薬を使わずに治療するにはどうするのか。

右膝痛で受診された方

それでは、症例をご紹介しましょう。

最初は左膝、かばっている内に右膝が悪くなった

すこし跛行(はこう、しっかりと歩くことが出来ない状態)気味に診察室へ入ってきたKさん。

60代女性です。

10年ほど前に左膝を悪くして、あちこちを受診しているうちに痛みが改善しました。

特に問題なく過ごしていましたが、3年前から反対の右側の痛みも出てきました。

整形外科に行くと「手術が必要です」と言われて恐くなりペインクリニックを受診しました。

ペインクリニックでは、月に1,2回程度のヒアルロン酸関節内注射を勧められて一年ほど通院しました。

ところが、痛みは続くし、何となく右脚のO脚は悪くなっている感じです。

Kさん
どうにかしたいんです、何とかなりませんか

とみらいクリニックを受診されました。

初診時に正座の格好をしてもらうとこの様になりました。

お尻と踵の間にまだまだ隙間があることが分かります。

階段の上り下りもままならないそうです。

しっかりと正座が出来ていない

あしゆびを伸ばすこと、関節機能異常を改善すること

上に書いたことからすると、ヒアルロン酸の注射を続けることはけして状態を改善させることではなくて、痛みは減るけれど、問題の解決をしているわけではなく、問題の先送りであるということが分かります。

Kさんの問題は、左の仙腸関節炎、両足の屈み指、内反小趾でした(もちろん膝は、変形性膝関節症といえるでしょう)。

特にO脚のひどい右側の内反小趾が著明(ちょめい)でした。

関節運動学的アプローチ治療とゆびのば体操を行います。

この間10分間

これだけでも正座の状態はずいぶん変わりました。

床に手を付かなければ膝を付けなかったものが、膝の上に手を置けるほどになりました。

(あくまでも治療改善の目安として正座をしています。変形膝関節症治療で正座を奨励しているわけではありません

正座が出来ているのが分かる

Kさんの歩行状態も膝の痛みもずいぶん改善して笑顔で診察室から見送ることが出来ました。

ほっとする瞬間です。数回治療に通っていただき、自宅ではゆびのば体操をきちんと続けることでまたしっかりと歩けるようになります。

ヒアルロン酸注射はひどい時だけにとどめておくこと

ところで一連の

膝が悪い、変形性膝関節症、膝痛で手術と言われた → 手術恐い → 注射でもしてもらおう

となるのはあまりお勧めしません。

関節変形がひどければ、人工関節置換術の方が良い場合もあります。

ヒアルロン酸注射はカゼの発熱時に解熱剤を投与して熱を下げるようなもので、一時的な症状緩和のみで、それによって膝が良くなることはありませんし、むしろ無理に使って悪くなることもありますから十分注意して下さい。

膝痛は危険信号!繰り返さないための心得

上に挙げた米国整形外科学会の論文ですが、「変形性膝関節症には体重減少させることも大切」とあります。

「痩せろっ」ってことですね。

わかっちゃいけるど痩せられない。

体重を減らすというのは、「動けない」状態ではかなり難しいことです。

それでも「痩せなさい」とか「痩せないのだったら診察はしない」と言われた患者さんもいます。

それをどのようにして二人三脚で痩せるのか、あるいは動ける体を作っていくのかも医療の大きな役目ですね。

薬を処方したり、注射をしたりだけが医療では無くて、これはあくまでも医療の一部分でしかありません。

膝が悪い時には、日常的に履いている靴や職業(農業林業だと長靴が多い)などの把握も必須です。

それらを問診で確認することなく、MRIやレントゲンだけをとって「治療」というのはあまりにも視野が狭いと思います。

私たちはこう考えます。

まずすこしでも動けるようにすること、体が動き出したら心が変わる。

その動き出す簡単な最初の一歩として「ゆびのば体操」足指を伸ばす矯正五本指ソックスの「ゆびのばソックス」から初めてはいかがでしょうか。

フットケアについてより専門的に学んでみたい、靴の取り扱いや靴ひもの結び方、良い姿勢を作るための足下の重要性について知識や技術を深化させたい、ご自分の専門領域に応用したいという方はゆびのば体操インストラクターセミナーもあります。

投稿者プロフィール

今井 一彰
今井 一彰医師 みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医・NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
内科・アレルギー科・リウマチ科
加圧トレーニングスペシャルインストラクター

みらいクリニック(内科・アレルギー科・リウマチ科)
福岡県福岡市博多区博多駅東1-13-31駅東サンシティビル6F
tel : 092-415-2153
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