医師解説【本当に治る?】慢性上咽頭炎の治り方【EAT治療】その4

上咽頭 治療

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こんにちは、みらいクリニックの今井です。

今回は『慢性上咽頭炎の治り方その4』をお届けしていきます。

出血しないのにまだまだ症状が残るという場合に、どういうふうに考えていけばいいのかということについてご説明します。『慢性上咽頭炎の治り方その3』では、出血が治まっても、その後で症状が治まっていくことが多いですよという風に説明をしました。でも出血が治まって十分な時間が経ったのに、まだ症状が残っているという時にはどうすればいいのかっていうことについてお話をしましょう。

出血しないのにどうして症状が残るんだ(*`Д´*)

これって何度も言うように、私もすべての患者さんを治せるわけではないですので、やはり治せない患者さんがやっぱりいらっしゃいます。そういう時に私がどういうふうなことを考えているのかということについてのご紹介になります。

  • 術者の手技のクセ
  • 術者の経験不足
  • 塩化亜鉛濃度の問題
  • セルフケアの未施行

出血しないのに症状が残る理由ですけれども、いろいろあるんですね。2番目に書きましたけど「術者の経験不足」です。やはり最近EATを始めたというふうな医師が行うと、どうしても擦り残しがあったりとか、重要なところを擦れていないというところがあります。また術者によって、ただ単に綿棒を置くだけとか擦らないという方もいらっしゃるし、鼻からだけのアプローチとか、あるいは口からだけのアプローチがあって、そういうことで擦りきれていない、炎症が一部残ってしまっていることがあります

それから私が気をつけることはここなんですけど、「術者の手技のクセ」なんですね。みらいクリニックでは、後ろのベッドに横になっていただいて、そして仰向けの状態で治療するんです。多くの耳鼻科では座った状態で治療するんです。ちょっと捲綿子の角度が変わるんですけど、その時に患者さんの右側から治療するんですが、どうしても自分自身の手技のクセ、こういうところちょっといつも擦り残しがあるんだよなとか、あるいはこういうところは自分自身の手の力が入りにくいからきちっと擦れないことがある、ということを考えながら治療するようにしています。ですから術者の手技のクセで擦り残しがあったりするんですね。

そして「塩化亜鉛濃度の問題」などもあります。0.5%でするのか、1%でするのか、あるいはもっと高い濃度でするのか、というふうなこともあります。あるいは塩化亜鉛が使えない方の場合に、どういう薬液をつけて擦過するのかということもありますね。

そして結構多いのはこれなんですね。「セルフケアの未施行」。みらいクリニックではこのセルフケアをきちんと行なっていただけるように、その方にあった点鼻のことだとか、その方のセルフケアについてお話をするんですが、これほとんど指導されていないという患者さんもいらっしゃるんですね。このセルフケアの未施行が結構多いんですね。

セルフケアせずに上咽頭炎が治るっていうことはあまりありません。

なので他のところで治療してんだけどなかなか治らないよっていうふうな方が受診された場合には、「セルフケアしてますか?」って言うと、「いや、まだしてません」というふうな答えが帰ってくることがあるんですね。それはやっぱりいかんです。セルフケアはきちっとした方がいいですね。

それでも残るんだよ!(*`Д´*)

なのになのに症状が残っちゃう。その時の私のおすすめはこれですね。もう1回内視鏡検査をしてみるんです。みらいクリニックでは、初診時に内視鏡検査をして、この方の上咽頭の状態こうなんだなって、こういうふうに擦っていかないといけないなとか、あるいはこういうところに注意しないといけないなっていう治療方針を立ててからEATをおこなっていきます。

その度に再々内視鏡検査をすることはなくて、ほとんどの場合初診時のみで、後はブラインド、盲目的にやることによって治療していきます。

それでほとんどのケースは大丈夫なんですが、ときどきやはり治らない方が出てくるわけですね。

今回紹介するのは、1年間治療してもうちょっとというケースですね。9割は良くなったんだけどあと1割が残っちゃう。その1割はどこなんだろう。ほとんど出血しないよね、何ていうふうなケース。ごく稀に遭遇いたします。その時にどうするのか。再度の内視鏡の検査ですね。

この方、出血なしの状態でこうやって階段的に治っていってるんだけれども、こういう風に残っちゃうっていう場合ですね。あと一歩降りきれない。この階段あと一歩降りたらもうすごく楽になるのに、この一歩が降りきれないっていう場合にどうするのか。この場合で見ていきます。

図左上

これですね。こちらが正中、真ん中です。こちらが患者さんの左側・右側ですね。この少しズブズブズブとした変化、難しい言葉で敷石顆粒状変化(田中耳鼻科咽喉科クリニック、田中亜矢樹先生より)といいますが、これが慢性上咽頭炎のサインですね。

図右上

この辺り(敷石顆粒状変化部)を擦過するとドバッと出血するわけですね。

しかし、この方なかなか治んないな、さっきの階段に行ったんだけど、ずっと止まっているなという時にどうするのか。もう1回内視鏡をしましょうということでしてみました。

図左下
そうするとこれが1年後の内視鏡なんですね。この敷石顆粒状変化がなくなってつるんとしてるって事が分かります。ところがよくよく見て行くと、どうもちょっとこの辺(写真左上部分)に怪しさが残るんですね。

つるんとしていない状態。自分自身が擦り忘れてるのかな、あるいはクセでここしっかりと擦れてないのかなと思って、ここを重点的に擦過すると、こうやってやはり出血するんですね。

ここをぐりぐりっと治療していくと、症状の階段を一歩最後降りきることが出来るわけです。

ですから出血しないんだけどというのは、もしかしたらクセとかあるいは手技の未熟さとかで、本当に上咽頭の炎症のあるところに当たっていないということも考えないといけないわけですね。

もちろん上咽頭炎じゃないということも考えないといけないです
まず上咽頭炎なのかそうなのかを考えて、症状がすごい残っちゃう、上咽頭は綺麗になったのにとなると、他の病気であるということも考えないといけない。

他の病巣(例えば扁桃や口腔内)からの問題だよっていうことも考えないといけないというところはあると思いますが、こういうふうに再度内視鏡検査をすると、こういうことが分かることがあるんですね。

治療はうまくいっているんだけれども、擦り残しがあったがゆえに、ちょっとだけ残っちゃう。この部分ですね。ここを治療できるともっと良い。そして階段を降りることができるわけですね。

ですから慢性の上咽頭炎で治んなかった場合にはですね、こういうふうに再度の内視鏡治療をすることがいいと思います。もし内視鏡してもらったことがないという方は、出血しないんだけどっていう時には、内視鏡をやっている医院で診てもらうというのも一つの手だと思います。

上咽頭炎の治り方その4をお届けいたしました。どこまで続くか分かりませんが、患者さん方の質問とか疑問とかを、なるべく受診しなくても理解して頂けるような取り組みをしていきたいので、新しい疑問などがあれば、その都度付け加えていきたいと思っています。

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執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール

今井 一彰
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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