12月になり冬本番。インフルシーズン到来ですね。といってもインフルは例年9月にはもう流行が始まっています。
寒い時期にすごく増えるのは事実なのですが、暖かいからとか湿度が高いから”流行しない”ということはありません。
夏でもインフルの集団感染が認められるんですよ。ですから、当たり前かも知れませんが一年中気を付けていた方が良いですね。
今回のブログは、12月9日にTBS系列で放送された「健康カプセル!元気の時間」で「医師100人に聞いた!インフルエンザ予防法」とししてあいうべ体操が紹介されましたのでそちらの報告です。
ノドが弱い、はウソです
この健康カプセル!は私がよく見る番組の一つです。日曜朝7時から。講演で各地を回っているとこの時間ホテルに滞在しています。TBS系列が映る時にはこの番組を見ます。自分の知らない健康分野のことがよく分かりますね。
さて風邪を引きやすい方だと「ノドが弱いですね」とか「粘膜が弱いですね」と言われたことがあると思います。
この「ノドが弱い]というのはどういう状態でしょうね??
実は、この「ノドが弱い]状態はウソなんです。
みらクリで治療をすると皆さまカゼを引きにくくなったり、「全く引かなくなりました」という状態になれます。
一人の方典型的な方を紹介します。
40代の女性で後鼻漏、慢性風邪、すぐ副鼻腔炎になるというTさん。上咽頭炎治療で受診しました。
4年前から後鼻漏、繰り返す副鼻腔炎ということで医療機関の受診は数知れず。
そのたびに抗生物質を投与されてもあまり治った感じもせず、書店で「慢性上咽頭炎」の本を見つけて受診したという方です。
内視鏡による慢性上咽頭炎の所見、擦過による出血から中等度の慢性上咽頭炎と診断しました。
その他いろいろと疾患があるのですが割愛。
セルフケアとしてはあいうべ体操、就寝時の口テープとソンバーユ液状特製の点鼻。
遠方の方なので月に一回の受診とEAT(上咽頭擦過治療)を継続しました。
4ヶ月ほど継続したところ、擦過による出血はほぼ無くなり、後鼻漏や肩こりといった症状も消失。
なんと言ってもカゼを一度も引かなかったのです。
ご本人曰く「こんな長期間カゼを引かなかったのは生まれて初めて」とのこと。
いつも「ノドが弱い」とか「粘膜が弱い」と言われていたのにそうじゃなかったんです!
上咽頭のセルフケアが出る人は皆さん一様に言います
「この私がカゼを引かないなんてすごい」と。どうしてそうなるんでしょうかね。
その答えが今回の放送内容です。
舌筋の衰えが口呼吸を招く
体の他の筋肉と同じように舌も筋肉で動きます。と言うことは、この筋力も加齢とともに落ちて行ってしまうのです。
年を取ると口呼吸が増える、口を閉じることが難しくなります。
握力なら握力計でその力を測ることが出来ますね。では舌力はどうなんでしょうか。
それを測るのがこの舌圧測定器です。口の中に丸い風船状のセンサーを加えてそれを押しつぶす力を測ることによって舌力を測定します。
みらいクリニックの基準では、35.0kpa(圧力の単位)以上を正常としています。
下の写真が舌圧測定器です。簡便に測れますから活用しています。
この写真のように口にくわえてベロで風船を押しつけます。
数秒で測ることが出来ます。
テレビでは30kpa以上を目安にしていましたね。登場された方は30を超えています。ご立派。
番組に出演されたインフルエンザにかかったという方は舌圧が低かったです。
舌力を上げるあいうべ体操の紹介
- 舌力が衰えると口が開きやすくなる
- 口が開くと口腔内が乾燥する
- 口腔乾燥が口腔環境悪化させる
- 口腔環境が悪化すると口腔内細菌が増える
- 口腔内細菌が増えるとインフルエンザに感染しやすくなる
と言う流れです。
インフルエンザウイルスは、ウイルス単体ではヒトの細胞に侵入することが出来ません。
細菌が持つある酵素を利用してヒトの細胞に入り込むんですね。
この酵素を持つ細菌がいないとインフルエンザウイルスが存在したとしても感染が起こりません。
だからインフルエンザ感染防止には、口腔内がキレイになっていることが大切なんです。
そう、まずは唾液で潤っていること。
舌力を付けるためのあいうべ体操ですね。
あいうべ体操でインフルエンザ感染防止に取り組んでいるのが川崎市にあるふくじゅ保育園。
ぜひ以前のブログをご覧になって下さい。
そして宮崎県国富町の八代小学校。小さな小学校ですが、あいうべ体操をして子ども達のインフル罹患が激減。
その様子を見て、大人達もあいうべ体操をするようになりました。
今回の取材にあたって協力していただいたのが相田歯科耳鼻科の相田能輝院長。
相田歯科耳鼻科では、私も月一で診療しています。
ここでは隣で歯科治療をしていますから、医科歯科連携が気楽にできます。
ノドが弱かったTさんの舌圧は・・・
後鼻漏や万年カゼで悩んでいたTさんの舌圧は10.4kpaと大変低いものでした。
基準の三分の一しかありません。
これでは口が開いてしまい、口呼吸の上に陥ります。
あいうべ体操、口テープ(マウステーピング)、ソンバーユ液状特製の点鼻を開始しました。
3ヶ月すると舌圧は28.5kpaに増加。口を閉じることも楽になり、貼っても貼っても朝には外れていた口テープも外れなくなりました。
そして冒頭の「こんな長期間カゼを引かなかったのは生まれて初めて」という言葉が出てきたんですね。
Tさんのような人、日本中に沢山いると思います。
ノドが弱いのじゃ無くて、舌力が低いんです。
だから鍛えれば強くなります!!
カゼ引きやすい方は、舌圧を測定して自分の舌圧がしっかりあるのか確かめることも大切ですよ。
あいうべ体操で舌力アップして、カゼを引かない体を目指したいですね。
https://mirai-iryou.com/aiube/
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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