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長年患った喘息、アトピー性皮膚炎が治った
口呼吸は、気管支ぜんそくだけでなくアトピー性皮膚炎とも深く関係しています。
気管支ぜんそくやアレルギー疾患を治すためには、口呼吸の改善は必須です(食物アレルギー除く)。それが分からないとずっと薬を処方されるだけという治療が繰り返されてしまいます。体の環境を整えるために食事を変えることは当たり前ですが、同じように「呼吸を変える」ことも重要なんですね。
さて今回のブログ「ぜんそくを自力で治す最強事典 (薬はへらせる! やめられる!) その2」では、本著の55ページに出てくる気管支ぜんそくとアトピー性皮膚炎を合併した症例について詳しく紹介しましょう。
口呼吸とぜんそくとの関係は、以前の私のブログも参考にして下さい。
大人のぜんそくは治りにくく重症化しやすい
昔は、小児ぜんそくは大人になったら治ることが多いので、そのままであまり治療もしなくて良いでしょうと言われたこともありました。
そして、大人になったらぜんそくの発作が起こらなくなったという経験を持っている人も多くいます。
ところが現在では、小児ぜんそくが治らずにそのまま大人になってもぜんそく発作が残ったり、大人になってから発症するぜんそくが増えてきたりしています。
実は、ぜんそく発作による死亡は、大人のぜんそく死が多いのです。
私も口呼吸問題を知るまでは大人のぜんそくは治らないと思っていました。よく言われる「薬で一生コントロールしていくのが最善の治療」だとも。
これは一方では当たっています。ぜんそくの原因除去が出来ていなければ薬を使い続けて、ぜんそく発作をコントロールするのは当たり前です。
これは私だけでは無く、当時周囲の医師達もそうでした。私は漢方治療をメインに行っていましたが、ぜんそく治療だけは漢方薬の治療だけでは如何ともし難いというイメージがありました。
漢方や鍼治療を行ってぜんそくの発作の回数を減らしたり、押さえたりすることは出来ますが、薬から解放されることはありません。
食養生などを徹底してもダメでした。口呼吸問題を知るまでは・・・
30代女性 気管支ぜんそくとアトピー性皮膚炎の併発
アトピー性皮膚炎の患者さんで、「昔はぜんそくの治療も行っていました」というエピソードを多くの人が持っています。こういう病歴を持つ人は少なくありません。
皮膚の病気と呼吸器の病気、一見つながりがありませんが、このブログをご覧の方はもう二つの繋がりを知っていると思います。
そう「口呼吸」で起こる疾患です。
私が、このAさんに出会ったのは正に漢方治療習得の真っ最中でした。
アトピー性皮膚炎がなかなか改善せず、入院して食養生を徹底して、いろいろな取り組みをしても皮膚症状が改善することがありませんでした。
そして失意のうちに退院するという経過をたどったのを覚えていました。
その時は、口呼吸という言葉を知らなかったので当然と言えば当然なのですが。
上の写真は、Aさんが私がみらいクリニックを開業してから受診してきたときのものです。
横顔の写真ですが、耳朶(みみたぶ)のところを中心にジュクジュクと浸出液がしみ出して、落屑も認めます。
Aさんは、なかなか漢方治療だけでは改善しなかったアトピー性皮膚炎と気管支ぜんそくについて相談に見えたのです。
私は、Uさんの主治医ではありませんでしたが、入院中は病室でいろいろなお話しを他の患者さんと一緒にさせてもらっていたのです。それでAさんのことを大保得ていました。
初めに謝りました
まず私がいろいろな本を出したり、メディアに出演させてもらったりする理由を説明します。それは、私がいまよりもずっと学がなかった医者に成り立ての頃に、未熟な医者に信頼して下さった患者さん方に「口呼吸は悪いよ」という声が届けばいいな、と思うからなんです。
あぁ、あのときに「口呼吸」のことを知っていれば。、あの人は悩まなかったかも知れない、苦しまなかったかも知れない。
あのときに、私にもうちょっと知恵があればあの人にあんな治療をしなかったかも知れない、と思い返す患者さん方が記憶の中にいるのです。
せめて、その方々にお詫びの意味も込めて「口呼吸」のことを知り、今もし、まだ悩んでいるなら、改善できる方法を届られるかも知れないと思うのです。
もちろんAさんに対しても同じです。
あの病室で口呼吸の弊害を伝えることが出来ていたら、Uさんは15年間悩まなくても良かったのかも知れない・・・
そう思うのです。
だからAさんが受診してきたときに開口一番私は謝りました。
「あの病院に勤務していたときは、口呼吸のことを知りませんでした。口呼吸問題を私が知っていればあなたは苦しまなかったかも知れない。本当に申し訳ありませんでした」と。
これは何もきれい事を伝えようというのでは無いのです。医師であれば「あのときにあんなことをすれば良かった」「あそこでもっと違うことが出来たかも知れない」と悔やみ続けるケースに出会うことは稀ではありません。一生悔やみ続けます。
私は、幸いにAさんに謝ることが出来ることが出来たのは幸いでした。
そしてさらに続けました。
「あのときに私なら治せなかったけど、今なら大丈夫です。まず口呼吸を止めていきましょう」と。
半年後には肌がキレイになった
これが半年後の写真です(本には載っていません)。
耳の周りの浸出液(じゅくじゅく)が消えて肌のきめが細かくなっているのがわかります。
でもまだ所々に赤みのある部分を認めますね。
そしてさらに半年経過し、受診して1年経ちました。
するとほとんど正常な皮膚に戻りました。それどころか気管支ぜんそくの発作も起こることが無くなりました。
皮膚科、呼吸器科に受診しなくても良くなったのです。
薬を使わなくてもセルフケアやEAT(上咽頭擦過治療)でぜんそくやアトピー性皮膚炎は改善していきます。
それがこの本に書いてあります。
Aさんが喜んだのは言うまでもありませんが、私も同じように嬉しいです。
この世から病気で苦しむ人が少なくなること、医師としてこんなに嬉しいことはありませんから(医業としての収入は減りますが笑)
Aさんのような人は、日本にまだまだ、世界にはもっともっといます。
そのためにも「鼻呼吸を世界の文化に」するためにあいうべ体操の普及をどんどん推し進めたいと思っています。
ぜんそくを自力で治す最強事典 (薬はへらせる! やめられる!)
マキノ出版から2018年1月27日出版されました。治った実例がたくさん掲載されています。 口呼吸の弊害や上咽頭治療のこと、その他いろんなセルフケアで改善した症例が専門家の解説と共に学べます。
ぜひ手に取ってください
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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