まだ空腹時血糖で判断してんの?

治療

空腹時血糖は化粧だ

スタート時(空腹時)は、血糖は100mg/dl以下で基準範囲内です

みらいクリニックでは、75gOGTT(糖負荷血糖検査)をよく施行します。

それは、「あまりにも」耐糖能異常(血糖処理能力異常)の方が多いからです。

高齢者や肥満の人の話ではありません。

若いやせ形の女性に多いのです。

これはまだまだ医師でも知らない人が多い事実です。

私も

と思っていました。西田亙先生の話を聞くまでは、、、。

こちらは西田先生の新刊2017.7発売です。

西田先生のお話を聞くようになって

みらいクリニックでは関節リウマチの患者さんでも、この糖負荷試験をします。

これまでの検査をまとめると若い関節リウマチの方だと(40代以前)、実に半分を超える方にこの耐糖能異常が見られます。

本当にビックリします。

この糖負荷試験、時間がかかるので遠方からの受診の方だと住まいの近くの医院で行ってもらうことがあります。

糖負荷試験をしているところが少ないので探すのが少し大変です(経口ブドウ糖液の在庫が面倒というのがあります)。

これが検査用のジュースじゃなくて薬 トレーランG

検査薬225mlの中にブドウ糖が75gも入っています。

約33%の濃度。コーラ、ファンタと言った炭酸ジュースの約3倍の濃度です。

甘~~~~い、と思うかも知れませんが、絶食後に飲むし、炭酸も入っていますから「結構イケル」のです。

関節リウマチと糖負荷試験

さて、ある関節リウマチの方に糖負荷試験を勧めました。

40代女性、普通体型です。

空腹時血糖もHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)も基準値内です。

普通に考えると「絶対に」糖負荷試験の対象になりません。

患者さんにも半日潰してしまう面倒な検査を勧めるのはよほどの理由がないといけません。

それでも私は勧めました。

そして先日この方が他の病院で施行していただいた糖負荷試験の結果を持参して下さいました。

結果は境界型糖尿病

血糖測定では、糖負荷試験後120分で血糖は160mg/dlと「境界型糖尿病」の範疇に入っていました。

予想通りの結果です。

そうなんです、空腹時血糖、HbA1cが基準値内であっても、「境界型糖尿病」「耐糖能異常」である場合は珍しくありません。

ただ、これまで採血は「空腹時でするもの」「空腹時の採血が正しい」という風にすり込まれてきましたから、空腹時の血糖が正常で、HbA1cが高くなければ「スルー」されてしまっていたのです。

もちろん私も「スルー」派でした。知らないとは恐いことです・・・

ある意味、空腹時血糖はすっぴんの状態ではなくて、バッチリメークした状態をみていたんですね。

その人本来の状態を「それだけで分かることが出来ない」という目で検査結果を見るのか、「これで充分」と思うのかは大きな違いになりますね。

29歳女性 BMI 18の場合は

これがR子さんの糖負荷試験の結果です

R子さん 29歳 BMI 18(身長150cm、体重40.5kgとかなりやせ形です)

空腹時血糖98mg/dl、HbA1c5.3% 関節リウマチで治療中

の場合はどうでしょうか。

このR子さんの検査結果が上に示した図です。

普通は、こんなやせ形の女性に、しかも”空腹時血糖は正常”なのに糖負荷試験は行いません。

マスクされたところを外すと・・・

R子さんの糖負荷試験

このような変化になるんです(グラフのすこし濃くなっている部分が基準値の範囲だと思って下さい)。

血糖は負荷試験60分後の値で206mg/dlとなっています。

随時血糖で200mg/dlを超えると糖尿病と診断されてしまいますから、食事の時間によっては糖尿病と言われかねません。

120分値が140mg/dlを超えているので、診断基準では「境界型糖尿病」の診断になります。

関節リウマチにとっては(慢性炎症と考える)、この血糖値スパイク(グルコーススパイク、グルスパ)が危ない。

グルコーススパイクですよ、和風スパとかスパサラじゃないですよ、グルスパですよ。

このように食事の度に、血糖が乱高下してするのです。

血糖検査(ピンク)の隣はインスリンの値です(一回のみはかるところもあるのですが、3回は測った方が良いです)。

インスリンが出続けていることも分かります。

高インスリン血症は、これだけでも炎症反応を引き起こします(つまり関節リウマチにも悪い)。

血糖が下がらないからインスリンがどばどばっと出てしまうのですね。

この状態が引き起こされるのは、食事の問題もありますが、運動不足も大きな問題です。

若年女性のロコモが話題になりましたが,筋肉がつくと血糖を消費しますから、血糖は安定するのですが、筋肉がないとグルコーススパイクが生じてしまいます。

この血糖の乱高下が炎症を起こしたり、イライラ、むかつき、気分のむらなどの引き金にもなったりします。

空腹時血糖が大丈夫だから、糖尿病は心配不要と思ってはいけませんよ。

気になったら糖負荷試験をすることをお勧めします。

なお、お二人の女性患者さんですが、どちらもご家族に糖尿病の方はいません。

糖尿病の家族がいないから私は大丈夫、というのも大丈夫じゃない可能性もありますから要注意です。

ちなみに普通の人だとどんな結果になるか

3名のOGTTの結果

ここでは、男(私)女性(40台、HbA1c5.4% 空腹時血糖92mg/dl)とR子さんの三名を比較してみましょう。

絶食後に、上でお見せした75gのブドウ糖の入った検査薬(といってもジュースですね)をゴクリと飲み干します。

通常であれば、血糖は「ほぼ不変」です。私は109mg/dlのまま変化しませんでした。

R子さんの血糖の推移がいかに高いかわかりますね(もちろんこれは簡便的に図示しています、多人数で行ったとしてもほぼこの様な結果になります)。

本当に把握するには、血中インスリンを測定した方が良いです。みらいクリニックでは、3回測っています。

自分でどうかなあと思ったら、食後に簡易血糖検査をしてみるといいです。

高ければ「耐糖能異常」の可能性があります。それどころか「境界型糖尿病」かもしれません。

運動不足のあなた、大丈夫ですか?

若いから、痩せているからと言うのは判断基準にならないどころか、むしろ危険ですよ。

気になる方は糖負荷試験を受けてはいかがでしょうか、企業では健診のオプションとなっている場合もあります。

執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール

今井 一彰
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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