PMS知っていますか?
PMSとは、Premenstrual Syndromeの略で、日本語では月経前症候群と訳されます。
最近では、問診にPMSと書く女性も増えてきましたが、まだまだ広く認知されていないですね。
私は、男なのでこれまでもそしてこれからも月経のつらさ、大変さを経験することがありませんが、女性は大変だなあと思います。
PMSでは、月経の1週間前後くらい前になると、イライラしたり、味覚が変化したり、体が重い、ダルイ、頭痛がするなんていろいろな症状が出ます。
後鼻漏で受診した40代女性
Jさんは、左の鼻の奥の違和感と後鼻漏(「鼻水がのどの奥に流れる」、「鼻水がノドに下がる」、「鼻汁が喉に流れ込む」という症状)で受診しました。
慢性上咽頭炎ではないかと自分で疑ったのでした。
問診票には「後鼻漏、鼻と喉の間に茶色の鼻汁がたまる」と書いてあります。
この後鼻漏、患者さんにとっては「死ぬほどつらい」のです。
もちろんこの症状で死ぬわけではないのですが、四六時中常に感じていると、気が狂いそう、鬱々とするという患者さんは少なくありません。
皆さんが口をそろえて「本当につらい」「理解してもらえないのが苦しい」と仰います。
Jさんもそのような状態でした。
この様な「すぐには死なない病気」への対処法はあまり進んでいません。
「慣れるしかない」
「気楽に付き合いなさい」
「自律神経失調症ですから、治療は難しいです」
とアドバイスを受けることも度々で、そのたびにこの様な患者さん達は心にキズを負うのです。
そして医療不信に陥ってしまうと言うスパイラルに落ち込んでしまいます。
診断は慢性上咽頭炎
喉頭ファイバーで覗いてみると、上咽頭に黄白色の多量の鼻汁が付着しています。
この状態で、よく抗生剤が処方されるのですが、ほとんど効果を示しません。
手を変え品を変え抗生剤の種類を変えて処方されますが、後鼻漏がスカッと改善することはあまりないのです。
ですから、むしろこの様な状態への抗生剤投与は避けた方が良いと考えます。
それよりもむしろ上咽頭までの鼻うがいなどが推奨されます。
このような上咽頭をを擦過(Bスポット治療、上咽頭擦過治療)すると著明な出血を認めます。
これはゴシゴシと擦るのでなくて、軽く擦るだけでもこれくらいの出血が認められます。
診断としては、慢性上咽頭炎となります。
PMSが改善した
長年後鼻漏で苦しんでいたJさんは、一回の上咽頭擦過治療(Bスポット治療)で症状のかなりの改善を認めました。
3回目の擦過治療の時に、「実は・・・」とJさんが話し始めました。
聞くと、PMS(月経前症候群)をもっており、月経前は頭痛を起こしていたが、今回は頭痛がなかったというのです。
これは上咽頭炎治療を行っているとしばしば耳にする言葉です。
上咽頭擦過治療を行ってから月経前の、イライラや頭痛、便秘などの諸症状が改善したと言う女性は少なくありません。
もちろん、あいうべ体操や口テープなどもその効果に一役買ってはいると思いますが、喉の奥(頭の中心)に、ず~~~っと炎症があるというのはそれだけでかなりのストレスです。
みらいクリニックにはPMSに対して漢方治療を希望される女性も多数いらっしゃいますが、特に鼻の症状がなければ慢性上咽頭炎についてはお話をしません。
やはりいきなり説明されても、なかなか自分の症状と結び付けるのは困難ですから。
PMSで頭痛、肩凝り(ストレートネック)、眼痛、顎関節痛、めまいなどのいわゆる自律神経症状がよく起こる、治療をしてもなかなか改善しないという人は、一度慢性上咽頭炎を疑ってみる必要があります。
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執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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