父が脊柱管狭窄症と診断されたら
私の父も年をとってきましたから定期的に父に連絡をいれるようにしています。オレオレ詐欺にあってはいけませんから笑
ある時、深刻そうな声が受話器の奥から聞こえてきました。
みらいクリニックやゆびのばひろばに相談、受診される方の中にも本当に多いです、(腰部)脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニアと診断されている方。
でも手術が必要と言われて私たちの元へいらっしゃったその大部分(9割以上)は手術が不要です。
椎間板や靱帯の肥厚によって痛みやしびれが起こっているというケースは極一部なのです。
どんな症状だったのか
父の症状はとにかく腰が痛くなってきたというものでした。
脊柱管狭窄症の典型的な症状は、間欠性跛行といってちょっと歩いては痛くなって痺れたりして、休んで。前かがみになって、そしてまた歩き出すと言うことの繰り返しが特徴的です。
父に聞くとどうやらこの間欠性跛行はないようです。
ちょっとした時の腰の痛みや動作初期時の腰痛を訴えていました。
しびれといった症状はあまりないようでした 。
この時点でもだいぶ脊柱管狭窄症という診断自体が怪しいのですが素人を納得説得させるには素晴らしい医療機器がありますそれが MRI です。
父は MRI を撮ったと言うので早速送ってもらうことにしました。
そして手術をすると言う選択肢は一旦白紙にした方が良いと伝えました。
よくテレビドラマでもありますすし、あるいは実際に体験したことがあるかもしれません。
と聞く家族のこと。
電話だけの問診ですが、父の状態で私であれば手術はしませんし、家族に手術を選択することはありません。
とにもかくにもセカンドオピニオンを受けることをして手術を延期することを伝えました。
実際のMRIは
上の画像がその時送られてきたものです。
じっくりと脊髄を見ていくと完全に潰れたところを見つけました。
拡大してみましたが、それがどの部分ですどこだかわかりますか?
そうですこの黄色で囲った部分が断裂しています。
何らかの外からの力によって脊髄の連続性が保たれていません。
これを見て、「あ、やばい」とか「痛そうだ」と思ってしまうのは仕方のないことでしょう。
ところが問題は、これがいつから起こっているのかと言うことがわからないと言う事なのです。
もしかしたら5年前からかもしれませんし、10年前からなのかもしれません。はたまた症状が起こってからこの変化が起こったのかもしれません。
いま現れていると言うことだけで、いつからかと言うことがわからないわけです。
時間的な関係は経過を追ってみないと分かりません。
で、切るの切らないの?
父にも私が帰省したときには、ゆびのば体操をしたりAKA(関節運動学的アプローチ)をしたりしてこれまでも「在宅治療」をしていたのですが、最近は帰省することが少なくなり出来ませんでした。
さらに「ゆびのばソックスをはけ」といっても、面倒くさいといって、スコアが良くなり、終わった後の疲れが少ないゴルフの時のみしかはかなかったのです。
あれだけ、きっっぱりとすっぱりと「切る」といった父の気持ちにも変化が出てきたようです。
いろいろ迷ったあげく、父は手術をせず、ゆびのば体操とゆびのばソックスで足指を毎日伸ばしていくことにしました。
そして、痛いときには痛み止めの薬を屯用することに(ロキソニンやボルタレンといったものですね、リリカではありません)。
その後の経過は?
毎週電話して、経過を聞いていたのですが、その後はあれほど手術すると意気込んでいた気持ちが、痛みが治まってくると同時に落ち着いてきたようです。
2ヶ月ほどで父は、腰痛やしびれから開放されて、しばらく怖がって中止していたウォーキングも再開しました。
これを「たまたま改善したのだろう」とか「またいずれ痛くなって結局は手術になるよ」と批判する人もいるでしょう。
でも手術をしたとしても、そのまま「自然経過」で手術を関係なく症状が改善することもあるでしょう。
もちろん本当に手術をした方が良い症例もあります。
そのような時には、私も保存療法(AKAなどの徒手治療や薬物治療)は勧めずに「手術した方が良いですよ」としっかりとお伝えします。
脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニアで手術しようかどうか迷っている人は、まず足指をゆ~~っくりストレッチする「ゆびのば体操」そして靴や靴下など足指を変形させて似たような腰痛を引き起こす悪い原因を取り除くことも考えてみた方が良いですね。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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