あなたのお子さんはロウソクを吹き消せますか?
みらいクリニックで小児を診る時に良く行う「検査」があります。
それはロウソクを吹き消せるかどうかと言うこと。
と思った方、本当に大丈夫ですか?じっくり見たことがありますか?
実は、少なくない小児(小学校高学年でも)がロウソクを吹き消せないのです。
「ろうそく吹き消し」こんな検査だったら自宅でもすぐにできますね。
医学的な検査ってのは、何も血液検査やレントゲン、CT、MRIなどが全てではありません。
身の回りでも出来ることがたくさんありますよ。
画像検査や血液検査で、「見えないこと」がたくさんあります。
「いろんな検査をしたけど、異常がありませんでした」ってのは、「異常がない」ワケじゃなくて「異常を見つけられない」だけかもしれません。
検査は、機械が行うものとだけ思っていたらキケンです。
ろうそくが吹き消せないということは…
5歳になってもロウソクが吹き消せないと言うことは、口腔機能、口唇機能がきちんと発達していないという証拠です。
ほとんどの場合、慢性口呼吸状態も併発しています。
アレルギー性疾患(アトピー、鼻炎、中耳炎)などが起こっていることも多いのです。
でも、ほとんどの保護者がこの事実を知りません。
誕生日のケーキの上に乗っているロウソクを消す時もケーキに注目していたり、どうせ消せないからと子どもに隠れて横から息を吹きかけてやったり。
子どもの学習の場を奪っているかもしれません
ロウソクを吹き消せないということは、
- 食事も良く噛めなかったり
- 飲み込みが下手くそだったり
- ぺちゃくちゃ食べだったり
- 口がぽかんと開いていたり
こんなことも同時に起こっているはずです。
これ「異常」ですよ。
子どもらしいなあ、とかかわいいなあと思わないで下さい。
口呼吸まっしぐら、将来色々な問題を抱えることが予想されます。
漫画でも注意喚起している
これは、西日本新聞社刊「食卓の向こう側コミックス版」です。
以前もブログで紹介したことがありますね。
ロウソクを吹き消せないわが子を目の前にして、連れてきた母親がため息をついている場面。
ロウソクが吹き消せるかどうかなんてどうでもいいよ、と思っている人もいませんか。
これが一生の体の状態を決めることになるとしたらどうでしょうか。
このコミックに登場するのが増田純一先生(マスダ小児矯正歯科医院)。
歯科医師の学会でも大きな規模の顎咬合学会の重鎮です。
みらクリのブログでも何回も登場していただいています。
何年も前から食べものを普通にかめん子どもたちが出てきたとですよ
唇も自分で動かせんごとなっとる
とかなり恐いセリフが並んでいます。
ものを噛めない、唇を動かせないって深刻な状態ですよ。
- 食べ物を普通に噛むことが出来ない
- 唇を動かせない
これはどういうことでしょうか。
自然と噛めるようになるわけではない
これは私の講演スライドより抜粋してきたものです。
Fred Smithという耳鼻咽喉科の医師が19世紀に書いた本の中に記してあったものです。
子どもたちが口呼吸になる原因として
- 頭部を冷やす
- 側臥位での就寝(横向き寝)
- 鼻中隔の偏位
- 骨棘、軟骨腫
と並んで
- そのままで良いという考え
という語句があります。
自然のままに育つのが一番よ、という人がいますがとんでもありません。
噛むということ一つにしても学習して獲得していかなきゃいけないのです。
お箸の握り方も学習によって獲得されるものですね。
鼻呼吸も咀嚼(噛むこと)も学習なのです。
海で生まれたクジラだって最初から上手く泳げるわけではありません。お母さんクジラが着いて練習するのです。
サバンナを駆け抜ける肉食獣も狩りの練習が必要なんです。
ひとりでに勝手にできるのではなくて、学習するんです。
唇を動かせないということは、口笛が吹けないということですね。
口笛も練習しないと吹けるようになりません。
もしろうそくが吹き消せない場合は…
心配しないでください。
学習ですから、きちんと吹けるようになります。
そのためにも「あいうべ体操」は欠かせませんね。
特に、ろうそくを吹き消すには唇をすぼめる動作が重要です。
これがあいうべの、「う」の動きです。
唇を丸くしっかりと前に突き出して「う~~」です。
上唇を上手く使えるようになるとロウソクがかんたんに吹き消せるようになりますよ。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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