慢性上咽頭炎があるときの見分け方
慢性上咽頭炎は多種多様な症状を引き起こすので、本当に単一の疾患なのか、あるいは別々の疾患が組み合わさっただけじゃないのかと考えることも出来ます。
例えば慢性上咽頭炎が引き起こすと考えられている頭頚部周辺の症状・病気だけでもこれほどあります。
A.鼻炎・後鼻漏 B. 眼痛 C.耳鳴・耳閉・めまい D.片頭痛 慢性頭痛・頭重 E.肩こり・ストレートネック・首こり F.咽喉頭違和感・ヒステリー球 G.舌痛・歯痛・顎関節痛 H.慢性咳嗽・咳喘息 I.逆流性食道炎
これらのうち三つでも当てはまったら慢性上咽頭炎の可能性は大です。
ではこれらのうちあまり当てはまるものがない場合や、IgA腎症や掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎など「病巣疾患」の原病巣として上咽頭炎が悪さをしている場合自分でどうやって見分ければ良いのでしょうか。
- 後鼻漏(「鼻水がのどの奥に流れる」、「鼻水がノドに下がる」、「鼻汁が喉に流れ込む」という症状)
- 咽頭痛
- 鼻閉
などの症状があればまだ分かりやすいですが、片頭痛とめまい、とかひどい肩こりと眼痛なんて症状で、鼻の症状がない場合はどのように判断すれば良いのでしょうか。
実は、そんな時に分かりやすいコツがあるんです。
乳様突起を押す
乳様突起は、耳の後ろにあり胸鎖乳突筋がくっついている出っ張りです。
写真だと赤丸の部分ですね。分かりにくければ首を左右どちらかに捻って首筋の胸鎖乳突筋を首元から耳の後ろまで追っていけば良いです。
その最後の部分の硬いところが乳様突起です。
実際の写真だと黄色の印の当たりです。ココを押したときに圧痛がある、何だか左右で違う感じがする、腫れているようだという状態であれば「慢性上咽頭炎」の可能性があります。おそらく慢性上咽頭炎の炎症がこの辺りにも影響を与えているのだと推察されます。
患者さんの診察でも、ここを押すと「あいたたた」といたがる方が結構います。
そうなると慢性上咽頭炎の可能性が高まります。
上咽頭炎のセルフケア+ツボ押し
さて、上咽頭治療を受けたいけど近くにEAT(上咽頭治療、Bスポット)が出来るところがないという場合もあるでしょう。
- あいうべ体操
- 口テープ
- ミサトールリノローション、ソンバーユなど点鼻(鼻うがい)
の三点セットがまず基本ですが、まだ色々とやりたいよと言う方へお勧めなのは、
- 完骨(かんこつ)
- 翳風(えいふう)
のツボ押しです。このツボはもともと自律神経を整える、頭痛や眩暈に効果のあるツボです。
どこにあるかというと、完骨は乳様突起の後側の圧痛点。風池というツボを知っている人はその部分から耳の方に指を滑らせると圧痛のあるとことです。
頭を両手で挟んで親指で押すようにすると楽にできます。
次は翳風 。これは乳様突起を挟んで耳の真後ろの方にあります。これも同じように頭を挟み込むようにすると良いです。
完骨、翳風 は頭痛や顔のむくみにも効果がありますね。慢性上咽頭炎の症状にとても似ていますよ。
後は耳全体をマッサージしたり、耳を折りたたむのもよいですね。
耳を揉むといろんな症状が治る、なんて話も聞いたことがありますが、案外慢性上咽頭炎の症状が改善していたのかも知れませんね。
上咽頭のセルフケア、ぜひ試してみて下さい。
ツボ押しは、グリグリと強く押したり、一日に何回も押したり、痛みがなくなるまでと一所懸命押し続けるのは禁物ですよ。
継続することが大切です。
場所がわからない時は、指先で乳様突起当たりをグリグリとマッサージして下さい。
上咽頭から出血が診断根拠
慢性上咽頭炎の診断をしようとすると、上咽頭を擦過して出血を認めるということが必要です。
正常であれば強く擦っても出血しないのですが、重症の慢性上咽頭炎ではちょっとなでるだけでも出血がひどいことも少なくありません。
こうなるとセルフケアだけでは効果がなく、しっかりと治療を受ける必要があります。
特に内視鏡検査で、粘膜増生がひどい、後鼻漏付着が多量、膿栓などが認められる場合は、セルフケアだけでの対処はなかなか困難です。
治療と同じようにセルフケアも大切ですから、EAT(上咽頭治療)受けているけど改善しないという方は、ぜひ上のことも試してみて下さい。
動画も参考にして下さい。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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