ひょっとしたら・・・その病気、病巣疾患かも!?
※以前のライブドアブログでよく読まれている記事をピックアップして加筆修正したものです。
胸肋鎖骨過形成症(SCCH:sternocostoclavicular hyperostosis)という聞き慣れない病気をご存じでしょうか。
目立つ症状としては胸鎖関節(胸骨と鎖骨の間の関節)が発熱、腫脹、発赤、疼痛(まさに急性炎症)を起こし日常生活に支障が出る病気です。
胸鎖関節だけでなく、胸肋関節にも痛みが出ますが、胸鎖関節が一番観察しやすいですね。
手のひらや足の裏にぶつぶつとした水疱が出来る掌蹠膿疱症(PPP:palmoplantar pustulosis)と合併することが多く、 SCCHのみという場合は稀です。
ちなみに掌蹠膿疱症と金属アレルギーはセットで考えられることが多いのですが、金属アレルギーであることは多くありません。5~10%ほどでしょうか。
慌てて、口の中の金属を除去する必要はありません。
その前に出来ること(口呼吸改善や上咽頭擦過治療)がたくさんあります。
掌蹠膿疱症の方に
なんて聞いたり、胸鎖関節を圧迫したりすると痛みがあったりして「ひょっとしたら」というくらいの症状の方もいらっしゃいます。
痛くて痛くて日常生活がつらいというヒドイ方もいれば、そうでない方も。症状には幅がありますね。
どんな病気でもそうでしょうが。
掌蹠膿疱症性関節炎で悩む
Fさんは、掌蹠膿疱症(PPP)とSCCH、さらに掌蹠膿疱症性関節炎を併発して、体の痛みに苦しんでいました。
一時期、掌蹠膿疱症関節炎はタレントの奈美悦子さんが大変に苦しんだと言うことが話題になりました。
それで、ビオチン療法に焦点が当てられました。
Fさんも、他の病院でビオチンを処方してもらい、症状は若干落ち着いていました。
あるとき、友人からみらクリのことを聞き受診しました。
Fさんはこう仰います。
上の写真は、Fさんのものですが、治療をしてある程度腫れや赤みが撮れてきた時の状態です。
初診時は、同じ部位が赤く腫れており、ちょっと触っても痛みを感じるほどでした。
どうして、この部位に炎症が特異的に起こるんでしょうね。不思議ですね。
最初ビオチンを服用して、何となく良くなった感じがあると、その後ちょっと症状が悪化するたびにビオチンの量が増えていきます。
勢いビオチンを増やしさえすれば良いという治療に傾きがちになります。
ビオチンや酪酸菌だけに注目してもだめ
PPP、ACCHは病巣疾患の代表的なものです。
扁桃や口腔の原病巣を治療することが、根本治療となることが少なくありません。
上記の、前橋先生の著書の中には、残念なことに病巣疾患、病巣感染の話は出てきません。
ましてや口呼吸についてはその影さえも見えません。
Fさんに、あいうべ体操とマウステーピング、そしてミサトールの点鼻を伝え、上咽頭擦過治療(EAT、Bスポット)を行いました。
そしてビオチンなどの服用薬は一時中止していただきました。
上咽頭擦過治療では、巻綿子に出血が見られます。慢性上咽頭炎です。
治療して、一ヶ月も経たないうちに、関節痛は軽減し、
と喜ばれました(もちろん治癒の期間は個人差があります。みらいクリニックの場合大体20週前後と思って下さい)。
実は、PPP、SCCHにビオチンを処方されながら受診される方は少なくありません。
ネット通販でも売っています。
ビオチンなんて、一日の薬剤費なんて数十円にもなりませんが(処方すると)、そこそこの値段がするようです。
ところがビオチンを飲んでも治らないという悩みで受診される方が結構いらっしゃるのです。
投薬するだけで治るのであれば、どこでも処方できる薬剤ですから、特別な治療など必要ありません。
ところが「病巣疾患」という考えを念頭に置かないと治らないことがあります。
- 大量ビオチン
- ミヤリサン、ビオスリー、ミヤBMなどの酪酸菌製剤
を摂取しても治らない時は、慢性上咽頭炎を思いだして下さい。
そして口呼吸のことも。
PPPやSCCHは、「病巣疾患」であるから「原病巣」を鼻や口の中に探し出すことが大切と言うことです。
NPO日本病巣疾患研究会ではこの様な話題についても議論し合っています。
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執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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