コロナ後遺症にかからないためにも上咽頭ケアを
このブログでも継続して発信してきましたが、長引くコロナ後遺症は慢性上咽頭炎(急性増悪)を併発(あるいはそれが主病巣)の事があります。
タレントの川崎麻世さんがコロナ後遺症の治療としてBスポット治療を受けたとのニュースが流れました。
Yahoo!ニュースより(2021/09/10確認)
Bスポット治療とは鼻の奥の上咽頭を擦る治療のことで、BはBiinkuu(鼻咽腔)のBです。現在ではEAT(Epiphalyngeal abrasive therapy)と呼びますが、もう50年以上の歴史あるBスポット治療の方が認知されていますね。
また記事中に出てくる副鼻腔炎と上咽頭炎は違う疾患です。もちろん名称が違いますから一目瞭然なのですが、やはり聞き慣れない体の部位ですし、どこがどこに存在するのかをはっきり知らないと混乱しますね。
副鼻腔は、顔面に左右合わせて8つありますから、副鼻腔炎といっても上顎洞炎なのか、前頭洞炎なのか場所がわかりません。それらを総称して副鼻腔炎と呼びます。上咽頭は咽頭の上の部分ですが、副鼻腔と近いこともあり両者とも炎症を起こしていることがあります。
川崎麻世さんは、副鼻腔炎が以前からあったとのことですから、この両者混在のパターンですね。
コロナ後遺症では、みらいクリニック受診の患者さんでは上咽頭炎が存在しなかった人はゼロ、軽症の人は僅か2%、残り98%は中等症、あるいは重症の慢性上咽頭炎の存在を認めました。特に重症例が多く、普段外来で接することがないほどの超重症例も稀ではありません。
コロナ後遺症を見はじめた当初は急性上咽頭炎から慢性上咽頭炎に移行するのだろうと考えていましたが、療養期間終了後すぐの上咽頭の観察などを経験することにより、慢性上咽頭炎の存在があらかじめあって、それが急性増悪したのだろうと考えを変えました。
図で言うと1の発症前に正常上咽頭であったものはコロナ感染により急性上咽頭炎を引き起こしそれが慢性化したというより、2の潜在的、顕在的に関わらず慢性上咽頭炎があり、コロナ感染により急性増悪を引き起こし、それが重症の慢性上咽頭炎を引き起こしているということです。
これだとコロナ後遺症で重症慢性上咽頭炎が多く存在することが分かります(具体的な割合などは日本病巣疾患研究会学術総会で発表しますの)。
ですから、コロナ後遺症にかからないためにもネイザルケアが必須ですし、出来るなら予防的にもEAT(上咽頭擦過治療、Bスポット治療)をやった方が良いのではと考えています(慢性上咽頭炎の症状がある場合ですが)。
症状には毎度窓の図で失礼しますが、これらがあります。特に鼻汁、後鼻漏などの鼻咽頭症状、ノドの違和感・痛、肩こり、頭痛といった症状は重要です。
Bスポット治療はめっちゃ痛いか?
記事中には、
「“あ~!!い!た~!”と思わず声が出た 鼻が左右1回ずつで上下薬を塗って片方だけでも2回痛いのと口から口蓋垂(通称のどちんこ)の後ろに薬を塗って、これがまたそれ以上の激痛 合計5回の痛み!!」
とのコメントが載っています。確かにBスポット治療は痛いですが、よくネットに書かれているような「気を失うほど」とか「お産よりも痛い」なんて事はありません。
当院では、局所麻酔をして行うのでより痛みは軽減されますから、「思ったより痛くない」「これなら全然平気」という人も沢山います。
ですから、必要以上に痛みを恐れないで下さい。でもやっぱり怖そう、いたそうという場合は担当医に麻酔をお願いしても良いでしょう。
「麻酔をすると痛くないから、効いた気がしない」という猛者もいますが、できれば私がされる側なら麻酔をしてやってもらいたいです笑
川崎さんの担当医は、かなりの熟練者と思われます(いろんな医師の顔が浮かんできますが笑)、このご時世なので鼻からのみの治療を行っているところも少なくありませんが、やはりきちっと治療をするには口からの塗布、擦過も必要です。とくに咽頭窩には擦り残りが発生しやすいので、経鼻のみと言うのはあくまでも一時的な処置だと捉えて下さい。
上咽頭炎についてはこれまでも様々な動画をアップしていますからそちらも合わせて参考にして下さい。
短いブログになりますが、川崎麻世さんの早い回復をお祈りするとともにコロナ禍の収束を願います。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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