産まれたばかりの赤ちゃんの手のひらに、手の指を持っていくとギューっと握り返してくれますよね。
これは把握反射(モロー反射)と呼ばれていて、原始反射の1つです。
成長とともに消えていく(卒業していく?)のですが、この反射がなかなか消えないことがあります。
小さな子どもが、上手く立てない・歩けないというときは、この反射が邪魔をしている可能性があります。
また「最近では砂場遊びを嫌がる子どもが増えている・・・」と保育士さんから聞いたこともありますが、これも反射が原因になっているかもしれません。
うちの子もそうかもしれない!と思われた方は、最後までお付き合いください。
沖縄からのご来院のI君
先日、沖縄から3歳の男の子が「外反母趾」「歩行バランスの悪さ」ということで、当院に受診に来られました。
足指の変形は以下の写真のとおり。
「外反母趾」だけではなく、「内反小趾」「屈み趾」「浮き趾」「寝趾」も確認できますね。
立つだけでこのような変形が出てしまうとしたら・・・?
まっすぐに歩けると思いますか?
試しに、足指をギューっと曲げて歩いてみてください。
足指が痛いし、バランスが取れないので、とても歩けないと思います。
足を見れば「歩行バランスの悪さ」の原因はすぐにわかると思いますが、「なぜ指の変形ができるのか?」が問題です。
いつもお伝えしていますが、靴のサイズ・靴下などで変形してしまうこともあります。
それだけではなく、原始反射が残っているせいで足指がうまく使えない・・・ということがあるんです。
足裏は敏感?
I君と話をしているとお父さんが面白いことを教えてくれました。
潔癖症の子どもさんも、もちろん一定数いらっしゃると思います。
ですが、本当に汚れることが嫌なのかI君に聞いてみました。
I君、砂場あそび嫌いなの?
汚れたくない?
足の原始反射(モローやバビンスキー反射)が残っていると、足指が勝手に曲がったり、反ったりしてしまいます。
酸っぱい食べ物をイメージすると勝手に唾液が出ますよね?
それと同じように、反射なので止めることがなきないんです。
もちろん、成長過程やトレーニングで反射が出なくなっていきますのでご安心ください。
砂が痛いってイメージがつきにくいと思いますが、I君にとっては「罰ゲームでよく見る足ツボマット」くらい痛いとイメージしてあげてください。
(足ツボマットが痛くないって方もいらっしゃいますが、それは置いといて・・・)
試しに、I君の足裏を手の指でくすぐってみると1秒も我慢できません。
足裏が敏感すぎるんですね。
コンビニのビニール袋でガサガサやってみると、「痛い!」と大騒ぎ・・・。
お父さんお母さんもビックリされてました。
ですが、これが改善できれば「歩行バランス」が改善するかもしれない!と安堵の表情も浮かべていらっしゃいました。
子どもとのスキンシップ
改善のために必要なことは、足裏にいろいろな刺激を体験させてあげることです。
足裏の感覚が鈍くなるので、ソックスはできるだけ履かないほうがよいと考えています。
・ふわふわ
・ちくちく
・つるつる
・ざらざら
・がさがさ・・・etc.
もちろん子どもが嫌がらない程度で行ってくださいね。
道具を使ってもいいとは思いますが、お父さんお母さんの手で触ってあげることが一番の方法です。
指先でつんつんしたり、さすったり、つまんだり、ぎゅーっと握ったり。
最近では、親子のスキンシップが少なくなっているとも言われています。
これを機会に、親子のスキンシップを増やしてみてはいかがでしょうか?
こんなことも「痛みと姿勢の外来」では診ています。
ただ足を見るだけじゃなく、足から見えてくるものがあるんですね。
靴のサイズは季節ごとに
原始反射が出なくなったとしても、靴のサイズが間違っていては意味がありません。
靴のサイズは季節ごとにチェックしてあげてください。
子どもの足はほとんどが軟骨です。
大人の足ほど硬くないので、入れ物を間違えてしまうと簡単に崩れてしまいます。
靴の選び方については、下記のリンクを参考にされてください。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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