
この記事の執筆・監修:今井 一彰
みらいクリニック 院長 /内科医・東洋医学会漢方専門医 /一般社団法人 慢性炎症コントロール・予防学会代表理事
1995年山口大学医学部卒業、救急医学講座入局。2006年にみらいクリニックを開業。
自身のバレーボールでのケガの経験から足元・足指のケアの重要性に気づき、「ゆびのば体操」や「あいうべ体操」など、薬に頼らないセルフケアの治療哲学を確立。現在も日々の外来で多くの患者様の悩みに向き合いながら、テレビ、新聞、ラジオなどのメディアでもその大切さを発信し続けている。
6月の梅雨時期から夏にかけて、多くの人を悩ませるのが「冷房による冷え」です。外は暑いのに足元だけが氷のように冷たい、体がだるいといった症状は、実は冬の冷えよりも深刻なサインかもしれません。
特に夏場は、素足で過ごす機会が増える一方で、運動不足や冷房による血管収縮が重なり、足元の血流が驚くほど滞りやすくなります。この記事では、内科医の視点から、夏特有の冷えメカニズムと、足指・ふくらはぎを動かして「燃焼する体」を作る7つの運動を紹介します。
また履くだけで、足指を広げ足の血流をよくする「ゆびのばソックス」も合わせて紹介します。ぜひチェックしてみてください。
この記事でわかること
- 冷え性の原因となる運動不足・筋肉量低下・血行不良のメカニズム
- 足指やふくらはぎを中心とした冷え性改善に効く7つの運動
- 入浴・食事・習慣化のコツなど運動以外の生活習慣の整え方
- 足指を正しく使うことが全身の血流と体の安定に直結する理由
冷え性の原因は運動不足や筋肉量の低下にある

冷え性を運動で改善するには、まず「なぜ冷えるのか」を正しく理解することが大切です。原因を知ることで、どの運動が自分に合っているかが見えてきます。
運動不足や筋肉量の低下
冷え性の根本的な原因として見逃せないのが、筋肉量の不足です。筋肉は体の中で最大の熱産生器官であり、安静時でも基礎代謝の約20〜30%を筋肉が担っています。運動不足が続くと筋肉量が落ち、体が十分な熱を作れなくなるため、末端まで温かい血液が届きにくくなります。
とくに下半身には全身の筋肉のおよそ7割が集まっています。デスクワークや車移動が中心の生活では、ふくらはぎや太ももの筋肉がほとんど使われません。その結果、代謝アップに欠かせない下半身の筋肉量が落ち、冷えやすい体質へと傾いていくのです。
加齢によっても筋肉量は年に約1%ずつ減少するといわれています。意識して運動を取り入れなければ、年齢を重ねるごとに冷えの悩みは深刻化しやすいでしょう。
血行不良
筋肉量が低下すると、直接影響を受けるのが血流です。とくにふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、歩いたり足首を動かしたりする際に筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことで、下半身の血液を心臓へ押し戻す「筋ポンプ作用」を発揮しています。この機能が弱まると、足先に届いた血液が戻りにくくなり、冷えやむくみが生じやすくなります。
また、足指には血流を促す「動静脈吻合(どうじょうみゃくふんごう)」が集中しており、動かすことで循環が活性化します。しかし外反母趾などの変形があると、素足では指を正しく使えずポンプ機能が働きません。その結果、冷房で冷えた血液が足元に滞留し、芯まで冷えるリスクがあるため、素足での過ごし方には注意が必要です。
自律神経の乱れも血行不良を招く要因です。ストレスや睡眠不足が続くと交感神経が優位になり、末梢の血管が収縮して冷えが悪化しやすくなります。
冷え性には4つのタイプがある
冷え性はひとくくりにされがちですが、実は大きく4つのタイプに分けられます。自分のタイプを知ることで、運動の取り入れ方をより効果的に調整できます。
| タイプ | 主な症状 | おもな原因 |
|---|---|---|
| 四肢末端型 | 手先・足先が冷たい | 筋肉量不足・運動不足による熱産生の低下 |
| 下半身型 | 腰から下が冷える | 下半身の血行不良・ふくらはぎの筋ポンプ低下 |
| 内臓型 | 手足は温かいがお腹が冷える | 自律神経の乱れ・ストレス |
| 全身型 | 体全体が冷える・低体温気味 | 基礎代謝の低下・甲状腺機能の問題など |
下半身の冷えや末端の冷えは、足指・ふくらはぎを中心とした運動で改善が期待できるタイプです。特に夏は冷たい空気が足元に溜まるため、そのため夏場は、顔や上半身は暑さを感じていても、足元だけが冷え切っているという事態が起こりやすいのです。さらに外気温との激しい温度差で自律神経が乱れる「冷房病」が加わると、血管のコントロールが効かなくなり冷えが悪化します。デスクワーク中も意識的に下半身を動かし、血流を促すことが重要です。
一方で内臓型や全身型は、運動だけでなく生活習慣全体の見直しや、場合によっては医療機関への相談が必要になることもあります。自分の冷え方を観察するところから始めてみてください。
冷え性改善に効果的な7つの方法

ここからは、冷え性の改善に役立つ具体的な運動を7つご紹介します。特別な道具は不要で、自宅やオフィスで行えるものばかりです。無理のない範囲で続けることが大切です。
ただし、これらの運動を行う前に知っておいていただきたい「大前提」があります。それは、血液を送り出すポンプ機能を100%働かせるには、土台となる足指がまっすぐ伸び、地面を正しく捉えている必要があるということです。
足指が縮こまった状態では、いくらかかとを上げ下げしても筋肉を効率よく使えず、血流改善の効果は半減してしまいます。まずは、靴下やセルフケアで「足指の広がり」を確保した上で、以下の動きを取り入れてみましょう。
1.ふくらはぎを鍛える「かかと上げ下げ運動」
ふくらはぎの筋ポンプ作用を効率よく活性化するなら、かかとの上げ下げ運動(カーフレイズ)がおすすめです。壁やテーブルに軽く手をつき、足を肩幅に開いて立ちます。かかとをゆっくり持ち上げ、つま先立ちの状態で2〜3秒キープしたあと、ゆっくり下ろしましょう。
1セット20回を目安に、1日2〜3セット行うと効果を感じやすくなります。ふくらはぎの筋肉を収縮させるたびに血液が押し上げられ、下半身の血流改善に直結する動きです。テレビを見ながらや歯磨きのついでなど、日常のすきま時間に組み込みやすいのも利点といえます。
高齢の方やバランスに不安がある方は、椅子の背もたれをしっかり持ちながら行ってください。安全に続けることが何より重要です。
2.下半身全体を温める「スクワット」
スクワットは太もも・お尻・ふくらはぎなど下半身の大きな筋肉群をまとめて使えるため、代謝アップと血流改善の両面で優れた運動です。足を肩幅より少し広めに開き、つま先をやや外側に向けて立ちます。背筋を伸ばしたまま、お尻を後ろに引くようにゆっくり腰を落としてください。
太ももが床と平行になるところまで沈められれば理想的ですが、膝が痛む場合は浅めでかまいません。10回1セットを1日2〜3セットから始めましょう。下半身の筋肉量が増えると基礎代謝が上がり、体が内側から温まりやすい状態を維持できるようになります。
ポイントは足裏全体に体重を乗せて、つま先やかかとが浮かないことです。足裏全体で地面をしっかり踏みつける意識を持つと、体幹も安定しやすくなります。
3.座ったままできる「つま先・かかと立ちストレッチ」
デスクワーク中に足の冷えを感じたら、座ったままできるストレッチを試してみてください。椅子に座り、両足を床につけた状態からつま先を上げてかかと立ちにします。次にかかとを上げてつま先立ちに。これを交互にゆっくり繰り返します。
1セット20回、1日に何度行っても構いません。足首を大きく動かすことでふくらはぎと前脛骨筋(すねの筋肉)が交互に伸縮し、滞った血液が動き出します。オフィスや在宅勤務でも周囲に気づかれずにでき、冷え対策としての有酸素運動に近い効果が得られる手軽さが魅力です。
余裕があれば、足指をギュッと丸めてから大きく広げる「足指グーパー」を加えてみてください。足指の間の血管を刺激でき、末端の血流がさらに促されます。
4.お尻を引き締める「ヒップリフト」
ヒップリフトは、仰向けに寝た状態から行う運動です。膝を立て、足を腰幅に開きます。両腕は体の横に自然に置き、お尻をゆっくり天井に向かって持ち上げてください。肩から膝まで一直線になるところで3秒キープし、ゆっくり下ろします。
10回1セット、1日2セットが目安です。お尻の大殿筋と太ももの裏側のハムストリングスを同時に鍛えられるため、下半身全体の血行促進に効果的です。骨盤周辺の血流が改善されることで、下半身型の冷えだけでなく腰痛の緩和にもつながる可能性があります。
就寝前にベッドの上で行えば、体が温まった状態で眠りにつきやすく、睡眠の質の向上も期待できるでしょう。
5.体幹を鍛える「インナーマッスルトレーニング」
インナーマッスルとは、体の深層部にある姿勢保持筋のことです。代表的なのがドローインで、仰向けに寝て膝を立て、息をゆっくり吐きながらお腹をへこませます。そのまま10〜15秒キープし、力を抜きます。これを5〜10回繰り返しましょう。
体幹が安定すると姿勢が整い、横隔膜や腹筋が正しく機能することで深い呼吸がしやすくなるため、自律神経のバランスが整いやすくなります。自律神経が安定すれば末梢血管が過度に収縮しにくくなり、冷え性の改善にもプラスに作用します。
体幹のトレーニングは地味に見えますが、姿勢の改善を通じて全身の血流に影響を与える重要な運動です。足指がしっかり地面を捉えられる体の土台を作ることにもつながります。
6.手の指先の冷えを解消する「グーパー運動」
足だけでなく、手先の冷えに悩む方も多いでしょう。手のグーパー運動は、両手を力強く握り(グー)、次にすべての指を大きく開く(パー)動きを繰り返すシンプルな運動です。
1セット30回を目安に、朝起きたときやデスクワークの合間に行います。手指の屈筋と伸筋が交互に働くことで前腕の筋ポンプ作用が活性化し、指先まで血液が巡りやすくなります。末梢の血管を物理的に伸縮させることで、温かい血液が指先に行き渡る感覚を実感しやすい運動です。
足の冷えにも同じ原理が当てはまります。足指のグーパー運動を合わせて行えば、手足両方の末端冷えを同時にケアできるでしょう。足指が普段から靴の中で圧迫されている方は、裸足の状態で意識的に足指を広げて伸ばす習慣をつけることが大切です。
7.すきま時間にできる「10秒かかとアップ」
運動する時間がなかなか取れない方には、10秒かかとアップが最適です。信号待ちやエレベーター待ちなど、立っている場面でかかとを10秒間持ち上げるだけ。特別な準備はいりません。
- 信号待ちで10秒かかとアップ
- 電車内でつり革を持ちながら10秒かかとアップ
- 料理中にキッチンカウンターに手をつきながら10秒かかとアップ
- コピー機の前で待つ間に10秒かかとアップ
1日に何度でも行えるため、積み重ねればウォーキングに匹敵するふくらはぎ筋トレの効果が期待できるのが特長です。「まとまった運動の時間が取れない」という方こそ、こうした細切れの動きを生活に散りばめてみてください。
足指で地面を押す感覚を意識しながら行うと、足指の接地面積が広がり、体の安定感がより増します。三脚の脚がしっかり広がっているほどカメラが安定するのと同じで、足指が伸びて地面を捉えているほど体全体のバランスが整い、ふくらはぎの筋肉も効率よく使えるのです。
運動以外にも取り入れたい冷え性改善の生活習慣

運動で血流を高めることは冷え性改善の柱ですが、日常の生活習慣を整えることで、その効果をさらに底上げできます。入浴・食事・習慣化のコツをそれぞれ見ていきましょう。
入浴で血行を促進して冷えを防ぐ
シャワーだけで済ませている方は、湯船に浸かる習慣を取り戻してみてください。38〜40度のぬるめのお湯に15〜20分浸かると、体の深部まで温まり血管が拡張します。血液が全身に行き渡りやすくなるだけでなく、副交感神経が優位になることで自律神経のバランスも整いやすくなります。
入浴中に足指を手でやさしく広げて伸ばすゆびのば体操と、温熱効果とストレッチの相乗作用で足先の血流が一段と高まるのでおすすめです。入浴剤や足湯を活用するのも、手軽に冷え対策できる方法のひとつでしょう。
入浴後は体が冷える前に靴下を履くなどして、せっかく温まった体温を逃さない工夫も大切です。その際、足指を圧迫しない5本指タイプの靴下を選ぶと、指の間の血流を妨げずに保温できます。特にここでおすすめする「ゆびのばソックス」は、履くだけで足指を広げ指の血流をよくするだけでなく、足の機能の回復も促してくれます。ぜひチェックしてみてください。
体を温める食事を意識する
運動で熱を作る力を高めるためにも、食事から体を温める意識を持ちましょう。とくにたんぱく質は筋肉の材料になるだけでなく、食事誘発性熱産生(DIT)が三大栄養素の中で最も高く、食べること自体が体を温める効果につながります。
| 体を温める食材 | 含まれる栄養素 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 生姜 | ジンゲロール・ショウガオール | 血管拡張・末端の血流促進 |
| にんにく | アリシン | 血行促進・代謝アップ |
| 根菜類(ごぼう・にんじん・れんこん) | 食物繊維・ビタミン類 | 腸内環境改善・体の内側から温める |
| 鶏肉・魚・大豆製品 | 良質なたんぱく質 | 筋肉量維持・食事誘発性熱産生の向上 |
温かいスープや鍋料理にこれらの食材を組み合わせると、消化吸収の過程で体の内側から熱が生まれ、冷え性改善を食事面からもサポートできるでしょう。冷たい飲み物を常温や温かいものに置き換えるだけでも、胃腸への負担が減り、血流が内臓に集中しすぎるのを防げます。
運動を習慣化するためのコツ
冷え性を運動で改善するうえで最大の壁は「続けること」です。最初から高い目標を設定すると挫折しやすいため、まずは1日1種目・数回からスタートしましょう。
- 「歯磨きのあとにかかと上げ20回」のように既存の習慣とセットにする
- 運動した日をカレンダーに印をつけて、視覚的に達成感を得る
- 体が温まった感覚や足先のぽかぽかした変化を意識して記録する
- 週2〜3回のウォーキングやヨガなど有酸素運動を組み合わせる
大切なのは「完璧にやること」ではなく「少しでもやること」であり、小さな成功体験の積み重ねが習慣を定着させる力になります。忙しい日は10秒かかとアップだけでもかまいません。
さらに、日頃から足指を圧迫しない履き物を選ぶことも運動効果を高める重要なポイントです。足指が広がった状態で生活するだけでも、立っているときや歩いているときの足指の接地面積が増え、自然とふくらはぎや足裏の筋肉が使われやすくなります。運動の効果を最大限に引き出すためにも、足指の環境を見直してみてください。
よくある質問

Q. 冷え性改善の運動はどれくらいの期間で効果を感じられますか
A. 個人差がありますが、ふくらはぎのかかと上げ下げや足指の運動を毎日続けた場合、早い方で1〜2週間ほどで足先の温かさを実感し始めるケースがあります。筋肉量の変化には2〜3か月かかるため、焦らず継続することが重要です。まずは1か月を目標に取り組んでみてください。
Q. 冷え性がひどい場合は病院を受診したほうがよいですか
A. 運動や生活習慣の見直しを続けても改善が見られない場合や、片足だけが極端に冷たい、皮膚の色が変わるなどの症状がある場合は、甲状腺機能低下症や閉塞性動脈硬化症など別の疾患が隠れている可能性があります。気になる症状があれば、内科を受診して相談されることをおすすめします。
Q. 寒い季節以外でも冷え対策の運動は必要ですか
A. 夏場のエアコンによる冷えや寒暖差疲労に悩む方も少なくありません。季節を問わず下半身の筋肉を動かす習慣を持つことで、自律神経が安定しやすくなり、気温変化への適応力が高まります。通年で取り組むことが理想的です。
まとめ

冷え性は体質だから仕方ないと諦めている方が多いのですが、ふくらはぎや足指を意識した運動を日常に取り入れることで、血流は着実に変化していきます。かかと上げ下げやスクワット、座ったままの足首ストレッチなど、今日からすぐに始められるものばかりです。
運動に加えて、入浴で体を芯から温めること、たんぱく質や体を温める食材を意識した食事を心がけることで、冷え性改善の効果はさらに高まります。そして忘れてほしくないのが足指の存在です。足指は体の土台であり、ここがしっかり広がって地面を捉えていれば、全身のバランスが整い、血流も自然と促されます。まずはひとつの運動から始めて、自分の足先が温かくなる変化を感じてみてください。
この記事のまとめ
- ✓冷え性の主な原因は運動不足による筋肉量低下と血行不良にある
- ✓ふくらはぎのかかと上げやスクワットなど7つの運動で下半身の血流を改善できる
- ✓足指を広げて伸ばす習慣を持ち、足指を圧迫しない靴下選びを心がける
- ✓まずは1日1種目・数回から始めて小さな変化を感じるところからスタートする
≪数多くの足指トラブルを解決してきた今井院長のベストセラー本です≫
足指と全身の健康について、より深く知りたい方に。
これまで数多くの足指トラブルを解決してきた今井院長のメソッドが詳しく解説されています。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業 現在に至る
あいうべ体操・ゆびのば体操などセルフケアの大切さを伝えている。テレビ、新聞、ラジオなどのメディア出演も多い。
みらいクリニックサイト
amazon著者ページ
今井院長facebook
今井院長Twitter
今井院長Instagram













