
この記事の執筆・監修:今井 一彰
みらいクリニック 院長 /内科医・東洋医学会漢方専門医 /一般社団法人 慢性炎症コントロール・予防学会代表理事
1995年山口大学医学部卒業、救急医学講座入局。2006年にみらいクリニックを開業。
自身のバレーボールでのケガの経験から足元・足指のケアの重要性に気づき、「ゆびのば体操」や「あいうべ体操」など、薬に頼らないセルフケアの治療哲学を確立。現在も日々の外来で多くの患者様の悩みに向き合いながら、テレビ、新聞、ラジオなどのメディアでもその大切さを発信し続けている。
「姿勢が悪い」「下腹部がぽっこり出てきた」「代謝が落ちて痩せにくくなった」。こうした悩みの根本には、体の深部にあるインナーマッスルの弱さが関わっている可能性があります。インナーマッスルとは、背骨や骨盤を内側から支えるコアマッスルの総称で、腹横筋・多裂筋・骨盤底筋・横隔膜などが代表的です。
インナーマッスルの鍛え方は、ジムで重い負荷をかけるトレーニングとは異なり、呼吸や姿勢を意識した低負荷の自重トレーニングが基本になります。正しい方法で継続すれば、姿勢改善・お腹引き締め・代謝アップといった変化が期待できます。一方で、自己流では「効いている感覚が分かりにくい」と感じる方も少なくありません。より効率的に体を変えたい方は、クリニックでの加圧トレーニングのように短時間でも効率よく筋肉にアプローチできる方法を取り入れるのも一つの選択肢です。この記事では、安全で無理なく続けられるインナーマッスルの鍛え方を解説します。
この記事でわかること
- インナーマッスルが姿勢・お腹・代謝に与える影響の仕組み
- ドローインやバードドッグなど自宅でできる具体的な鍛え方
- 日常生活の中で代謝を支える姿勢習慣と食事のポイント
- 怪我を防ぐための注意点と医療的な視点からのアドバイス
改善エピソード
「変形性膝関節症で、動くのすらツラいんです…」
トレーニングを始めた当初、80代のTさんはそうこぼされていました。
「昔は歩くのが早かったのに、今ではみんなに追い抜かれてしまう」と、とても寂しそうにお話しされていたのを今でも覚えています。
そこから一念発起し、加圧トレーニングに通ってくださること早1年半。
なんと、57kgあった体重が47kgに!見事マイナス10kgのダイエットに成功されました。
すっかりスリムになられたTさんから、「10年前に履いていたお気に入りのデニムが履けるようになったんですよ!」と満面の笑みでご報告いただいたときは、私も自分のことのように嬉しかったですね。
体重が落ちたことで膝への負担も激減し、今では街を歩いていても、20代の若者をスッと追い抜けるほどのスピードを取り戻されました。
痛みや悔しさに負けず、諦めずにコツコツと続けられたTさんの努力の賜物です!これからも健康で若々しいお身体を、一緒にキープしていきましょう。

インナーマッスルを鍛えると何が変わるか

インナーマッスルは目に見えない筋肉ですが、体の安定性・内臓の位置・基礎代謝に深く関わっています。ここでは、インナーマッスルを鍛えることで具体的にどのような変化が起こるのかを整理します。
インナーマッスルを鍛えると姿勢が改善される
猫背や反り腰に悩む方の多くには、体幹の深層にある多裂筋や腹横筋がうまく機能していないという共通点があります。多裂筋は背骨の椎骨同士をつなぎ、脊柱を一本の柱として安定させる役割を持っています。腹横筋はお腹の最も深い層にあり、コルセットのように体幹を内側から締めて支えます。
これらが弱くなると、体は表面のアウターマッスルだけで姿勢を維持しようとするため、肩や腰に不自然な力が入り続けます。その結果、肩こりや腰痛が慢性化しやすくなるのです。インナーマッスルが適切に働くと、骨盤が正しい位置に安定し、無理な力を使わずに自然な姿勢を保てるようになります。
実際、立っているときにお腹の下をわずかに引き込む意識を持つだけで、骨盤が立ち、胸を張りすぎない自然な姿勢に近づきます。姿勢改善は見た目の変化だけでなく、腰痛予防にも直結する重要なポイントです。
インナーマッスルを鍛えるとぽっこりお腹が改善される
体脂肪がそれほど多くないのに下腹部がぽっこり出ているという悩みは、骨盤底筋や腹横筋の弱さが原因であることが少なくありません。骨盤底筋は骨盤の底でハンモックのように内臓を支える筋肉群です。この筋肉が弱くなると、骨盤が前傾(反り腰)したり、逆に後傾(猫背)したりと骨盤のゆがみにつながります。ゆがみによってお腹のスペースが潰れると、内臓の位置が下がりやすくなります。
内臓が下垂すると、お腹が前に押し出される形になり、見た目にぽっこりとした印象を与えます。腹筋運動で鍛えられるのは主に腹直筋というアウターマッスルであり、いくらクランチを繰り返しても、深層の腹横筋や骨盤底筋を鍛えなければ、お腹引き締めの根本的な解決にはなりにくいのです。
ドローインのような呼吸を使ったトレーニングで腹横筋を活性化させることが、ぽっこりお腹対策の第一歩になります。ただし、内臓脂肪が多い場合は食事の見直しも併せて必要です。
インナーマッスルを鍛えると基礎代謝が改善される
基礎代謝とは、何もしていなくても生命維持のために消費されるエネルギーのことです。筋肉量が増えると基礎代謝が上がりやすくなることは広く知られていますが、インナーマッスルもその一端を担っています。
体幹の支持力が高まると、日常動作で体が効率よく動くようになります。立っている時、歩いている時、座っている時、あらゆる場面で深層筋が働くことで、日中のエネルギー消費がわずかずつ上積みされます。インナーマッスルを鍛える本質は、劇的な消費カロリー増加ではなく、太りにくい体質の土台を作ることにあります。
ただし、インナーマッスルだけで代謝を大幅に上げることは難しいのが現実です。代謝アップを実感するには、食事管理や日常の活動量も合わせて整えることが不可欠であり、個人差がある点も理解しておきましょう。
| 変化のポイント | 関わる主な筋肉 | 期待できる効果 |
|---|---|---|
| 姿勢改善 | 多裂筋・腹横筋 | 猫背・反り腰の改善、腰痛予防 |
| お腹引き締め | 腹横筋・骨盤底筋 | ぽっこりお腹の改善、内臓位置の安定 |
| 代謝の底上げ | 体幹全体(横隔膜含む) | 日常の消費エネルギー向上、太りにくい体質へ |
インナーマッスルの正しい鍛え方

インナーマッスルのトレーニングは、重い負荷をかけるものではありません。呼吸の使い方、フォームの正確さ、そして継続する仕組みが結果を左右します。ここでは、自宅でできる具体的な鍛え方と基本ルールを紹介します。
ドローインのやり方

インナーマッスルのトレーニングで最も重要なのは呼吸です。横隔膜は呼吸筋であると同時に、体幹のインナーユニットを構成する一員でもあります。深く息を吐くと横隔膜が上がり、連動して腹横筋が収縮します。この仕組みを利用するのがドローインの原理です。
ドローインの基本は、仰向けで膝を立て、息を吐きながらお腹をへこませて10〜30秒キープすること。腰が浮かないよう床に押し付ける意識を持ちます。慣れてきたら四つん這いで行うと重力による負荷が加わり、中級レベルのトレーニングになります。
呼吸を無視して力任せに行うと、アウターマッスルばかりが使われ、インナーマッスルへの刺激が弱くなるため注意が必要です。「お腹の奥を締める」感覚がつかめるまでは、ゆっくり丁寧に呼吸を繰り返しましょう。
フォームと負荷設定の基本ルール
自宅でできるインナーマッスルの鍛え方として、バードドッグとヒップリフトは代表的な自重トレーニングメニューです。バードドッグは四つん這いから対角の手足を伸ばして体幹の安定を鍛える種目で、姿勢改善と腰痛予防に効果的です。
ヒップリフトは仰向けで膝を立ててお尻を持ち上げる種目です。骨盤底筋と連動しながら行うことで、お腹と骨盤の安定を同時に強化できます。いずれの種目も共通するのは、回数よりもフォームの正確さを優先するという原則です。
体幹トレーニングで成果が出ない最大の原因は、フォームの崩れによって狙った筋肉に負荷がかかっていないことです。鏡の前で動きを確認したり、動画を参考にしたりしながら、正しいフォームを身につけてください。
- ドローイン:腹横筋を鍛える基本種目。仰向け・四つん這い・立位で実施可能
- バードドッグ:四つん這いで対角の手足を伸ばし30〜60秒キープ。体幹全体を安定化
- ヒップリフト:仰向けでお尻を持ち上げ、骨盤底筋と臀部を連動して強化
- 骨盤底筋トレーニング:お尻の穴を締めるイメージで収縮。座ったままでも実施可能
- 膝上げ:立位で片膝を胸に引き上げ、体幹の安定力を鍛える
頻度と回数の目安と効果が出る期間
インナーマッスルのトレーニングは毎日行っても問題ありません。筋肉への負荷が軽いため、アウターマッスルのように48〜72時間の回復期間を設ける必要がないからです。1日5〜10分から始め、慣れてきたらキープ時間やセット数を少しずつ増やしていくのが現実的な進め方です。
効果を体感できるまでの期間には個人差がありますが、一般的には2〜4週間で姿勢の変化を感じ始め、8〜12週間でお腹周りの引き締まりを実感する方が多いとされています。研究では、継続的なドローインによって腹横筋の厚みが増加した報告もありますが、これはあくまで一例です。
「代謝が変われば体は変わる」という原則の通り、短期間の激しい運動ではなく、毎日の小さな積み重ねが結果を作ります。焦らず、まずは1日1種目から続けてみてください。
| 種目 | 主なターゲット | 1回の目安時間 | 推奨頻度 |
|---|---|---|---|
| ドローイン | 腹横筋 | 10〜30秒×3〜5セット | 毎日 |
| バードドッグ | 多裂筋・腹横筋・臀筋 | 30〜60秒×左右各2〜3セット | 毎日〜週5回 |
| ヒップリフト | 骨盤底筋・臀筋 | 30秒キープ×3〜5セット | 毎日〜週5回 |
| 骨盤底筋トレーニング | 骨盤底筋群 | 5〜10秒×10回を2〜3セット | 毎日 |
継続することが何より大切ですが、自己流ではフォームのズレや負荷不足に気づきにくいのも事実です。「続けているのに変化がない」と感じている場合は、運動の質を見直すタイミングかもしれません。
クリニックで受けられる加圧トレーニングであれば、短時間・低負荷でも効率よく筋肉にアプローチでき、関節への負担も少ないのが特長です。専門知識を持つトレーナーの指導のもと、自分に合った正しいやり方を確認できるため、運動が苦手な方や持病のある方でも安心して取り組めます。
まずは体験から、自分に合った正しいやり方を確認してみましょう。
日常で姿勢を整えてインナーマッスルを鍛える

トレーニングの時間だけでなく、日常生活の中にインナーマッスルを意識する習慣を取り入れることで、効果はさらに高まります。ここではセルフケアとして実践できる姿勢習慣、食事の考え方、そして怪我を防ぐための注意点を解説します。
正しい座り方と立ち方の習慣化のコツ
デスクワークで長時間座り続ける方にとって、座り方の見直しはインナーマッスルのセルフケアとして非常に有効です。ポイントは座骨で座る意識を持つこと。椅子に深く腰掛け、骨盤をやや前傾させてお腹の下を軽く引き込みます。背もたれに寄りかからなくても安定する感覚が得られれば、腹横筋が正しく働いている証拠です。
立つ時は、足指をしっかりと伸ばして地面を捉え、足裏の親指の付け根・小指の付け根・かかとの三点で均等に体重を受ける意識が大切です。足指を使って地面を捉えることで、足底から骨盤底筋、そして深層のインナーマッスルへとつながる連動性が働きやすくなります。 膝をわずかに緩め、お腹を軽くへこませると、骨盤が自然な位置に収まります。姿勢の意識を1日に何度か思い出すだけで、インナーマッスルへの刺激が積み重なり、トレーニング効果を底上げできます。
スマートフォンのリマインダーを1〜2時間おきに設定し、姿勢をチェックする癖をつけるのもおすすめです。こうした小さな習慣が、結果として大きな変化につながります。
食事と活動量で代謝を支えるポイント
インナーマッスルを鍛えても、食事が乱れていれば体脂肪は減りません。代謝を支えるためには、タンパク質を毎食意識して摂ることが基本です。タンパク質は筋肉の材料であるだけでなく、食事誘発性熱産生(食事をすることで消費されるエネルギー)が高く、食べること自体がエネルギー消費につながります。
また、睡眠不足は成長ホルモンの分泌を低下させ、筋肉の回復を妨げます。ストレスが過食を引き起こすことも、代謝を語るうえで無視できない要素です。「運動×食事×生活習慣」の三本柱が揃って初めて、代謝の底上げという本来の効果が発揮されます。
日中の活動量を増やすことも見逃せません。エレベーターの代わりに階段を使う、通勤で一駅分歩くといった小さな行動の積み重ねが、トレーニング以上に基礎代謝を支える場面もあります。
- 毎食タンパク質を含むおかずを1品加える(肉・魚・卵・大豆製品)
- 睡眠は7時間前後を目標にし、就寝前のスマートフォン使用を控える
- 日中に10分以上のまとまった歩行を意識的に取り入れる
- 水分摂取を1日1.5〜2リットル目安で維持する
怪我を防ぐための注意点とよくある間違い

インナーマッスルのトレーニングは低負荷で安全性が高いとはいえ、誤ったフォームで続けると本来の効果が得られません。最も多い間違いは、ドローイン中に息を止めてしまうことです。力んで息を止めると血圧が変動しやすくなるだけでなく、表面のアウターマッスルに余計な力が入ってしまい、肝心のインナーマッスルへの刺激が弱くなってしまいます。
反り腰の方がヒップリフトで腰を過度に反らすのも注意が必要です。お尻を上げすぎると腰椎に負担がかかり、腰痛を悪化させる可能性があります。痛みが出たらすぐに中断し、改善しない場合は医療機関を受診してください。
インナーマッスルの鍛え方で最も大切なのは、正しいフォームで無理なく継続することであり、痛みを我慢して追い込むことではありません。持病がある方や産後の方は、必ず主治医や専門家に相談したうえで始めましょう。加圧トレーニングのように専門的な指導が必要な方法を併用する場合も、自己流は避け、資格を持った指導者のもとで行うことが大切です。
| よくある間違い | リスク | 正しい対処法 |
|---|---|---|
| ドローイン中に息を止める | 血圧上昇・めまい・脳貧血 | 浅い呼吸を続けながらキープする |
| ヒップリフトで腰を反りすぎる | 腰椎への負担・腰痛悪化 | 肩から膝が一直線になる高さまでに留める |
| 痛みを我慢して継続する | 関節・筋肉の損傷 | 痛みが出たら即中断し、必要に応じて受診 |
| アウターマッスルで代償する | 狙った効果が得られない | 力を入れすぎず、呼吸主導で動作を行う |
よくある質問

Q. インナーマッスルを鍛えるとどのくらいで効果を実感できますか
A. 個人差がありますが、姿勢の変化は2〜4週間、お腹周りの引き締まりは8〜12週間を目安に感じ始める方が多いとされています。ただし、食事や睡眠の質、日常の活動量によって大きく異なります。短期間での劇的な変化を期待するよりも、毎日5〜10分の継続を習慣にすることが最も確実な方法です。
Q. 加圧トレーニングとインナーマッスルの関係はありますか
A. 加圧トレーニングは血流を適切に制限した状態で行うことで、低負荷でも成長ホルモンの分泌を促進し、筋肉への刺激を高める手法です。体幹トレーニングと組み合わせることで、短時間でインナーマッスルを効率よく鍛えられる可能性があります。ただし、加圧トレーニングには脳貧血や内出血といったリスクがあるため、必ず専門指導のもとで行ってください。自己流で加圧ベルトを使うことは推奨されません。
Q. ピラティスと体幹トレーニングはどちらがインナーマッスルに効果的ですか
A. ピラティスはもともとリハビリを目的に開発されたメソッドで、呼吸と体幹の連動を重視する点でインナーマッスルの鍛え方との相性が非常に良いです。一方、ドローインやバードドッグなどの体幹トレーニングは自宅で手軽に取り組めるのが利点です。どちらが優れているかではなく、自分が継続しやすい方法を選ぶことが最も重要です。継続できる仕組みが結果を作るという考え方を大切にしてください。
まとめ

インナーマッスルの鍛え方は、重い負荷や激しい運動ではなく、呼吸を意識した低負荷のトレーニングを毎日少しずつ続けることが基本です。腹横筋・多裂筋・骨盤底筋といった深層の筋肉が正しく機能するようになると、姿勢の安定、ぽっこりお腹の改善、そして基礎代謝の底上げにつながります。
ただし、トレーニングだけで全てが解決するわけではありません。食事の質や睡眠、日常の活動量を含めた生活習慣全体を整えることが、代謝改善の本質です。特に効率よく体を変えたい場合は、正しいフォームや適切な負荷を把握することが重要になるため、専門的なサポートを取り入れることも有効です。痛みがある場合や持病をお持ちの方は、自己判断で進めず、医療機関や専門家に相談したうえで取り組んでください。より効率的に体を変えたい方は、まずは加圧トレーニングの体験で正しいフォームや負荷のかけ方を確認してみてください。
↓運動が苦手な方にはSit Quttoがオススメです↓
まずは今日、仰向けでドローインを1セット行うことから始めてみましょう。小さな一歩の積み重ねが、太りにくい体質と健やかな姿勢を手に入れる最も確実な道です。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業 現在に至る
あいうべ体操・ゆびのば体操などセルフケアの大切さを伝えている。テレビ、新聞、ラジオなどのメディア出演も多い。
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