これまでも鼻うがいの記事を書いてきましたが、今回の記事はなんとコロナウィルスを99.9%不活化するという衝撃の鼻うがいを紹介します(2022/01/08追記)
新型コロナウイルス感染症オミクロン株が猛威を振るっております。医療者が感染することにより医療崩壊が懸念されていますが、これは従来の感染予防策では不十分なことを示しています。手洗い、避密、マスクに加えて鼻うがいを導入するべきだと強く思います。
新たな変異株が発生しても、ワクチンや薬を待つことなく対応できます。
ポビドンヨード鼻うがいの効果についてはこちらをご覧下さい。
※2021/01/07追記 ベビーシャンプー鼻うがい(BSNI)はご自身が新型コロナウイルスに感染した、濃厚接触者、感染したかも知れないという場合のみの施行で良いと思います。それ以外の時は、従来の鼻うがいを励行して下さい。副鼻腔炎などある場合はBSNIはしないようにして下さい。
※J&J以外のベビーシャンプーでも効果は大きく変わらないと思いますが、文献上では示されていませんので、その点をご勘案ください。たとえばアミノ酸系の界面活性剤だと泡立ちが少なくなりますが、一般的に洗浄力は落ちると言われています。
※洗浄液はすべて0.9%塩水(生理食塩水)を使用して下さい。真水にシャンプーを入れるのではありません。
コロナの家庭感染が増えています。それに対して医療者もメディアも「手洗い、うがい、換気」と呪文のように唱えるばかり。それで患者数が増えているのだから、別の対策を立てなきゃいけないんじゃない??と思います。何か忘れちゃいませんか??
そうそう「手洗い、鼻うがい、換気」です。いわゆる3つの愛(i)ですね。
今回は、すごい鼻うがいの紹介です。このびっくり、驚きの論文が出たのが2020年9月、アメリカからの報告でした。
新型コロナのパンデミックが起り、その入り口である「鼻と口の衛生状態を保つこと」が盛んに言われるようになりました。
ところがまだまだその重要性について知らない人が多すぎます。
新型コロナは、空気感染すると言われていますから、呼吸をしている以上はそのリスクから逃れることができないのです。
しかし、その中でも光明を見いだせるのは「新型コロナは細胞内への侵入に時間がかかる」という点です。これがインフルエンザウイルスとは違います。インフルエンザウイルスは、比較的速やかにヒトの細胞に侵入し増殖しますが、新型コロナは数日かかると言われています。
なので、その数日の猶予の間に感染経路である鼻や口からウイルスを排除できれば良いわけです。
今回は,その中でも新しい鼻うがいベビーシャンプー鼻うがい(鼻洗浄)(略してBSNI:baby shampoo nasal irrigation)を紹介しましょう。
とりあえず手っ取り早く診てみたいという方は動画をご覧下さい。それではスタート。
新型コロナは界面活性剤で容易に不活化する
新型コロナはエンベロープウイルスなので、界面活性剤によって容易にウイルスを包んでいる膜が破壊されてしまいます。アルコールや石鹸といった界面活性作用のあるものが消毒に使われるのはこのためです。
エンベロープのないノロウイルスなどは、アルコール消毒や石ケンなど界面活性剤では効率よく除去ができません。
コロナがエンベロープウイルスだったのはある意味良かったのかも知れません。今回紹介する論文はこちらです。オンラインで読めますからぜひ読める方は読んでください。
Lowering the transmission and spread of human coronavirus
ヒトコロナウィルスの感染、拡散を低下させる
簡単にご紹介しましょう。30秒でほぼコロナウイルスを死滅させる方法。
この研究ではヒトの研究用がん細胞(Huh7)に新型コロナ類似のHCov-229Eを感染させます。このHCov-229Eは、新型コロナ研究において代用として使われるコロナウイルスです。
そうすると当然感染させられた方、図の下段は3日経つと細胞の形を留めないほどになってしまいますが、感染していない方は三日経ってもそのままの状態を保つことができています(上段)。
さてここからが問題。これらのコロナウイルスを感染させた細胞に市販のマウスウォッシュ(リステリンとかですね)を30秒から2分間浸透させることによってコロナウイルスがどれくらい死滅するのかを観察していきます。
マウスウォッシュ(洗口液)
この研究では、アメリカで市販されているマウスウォッシュが使われています。ですから日本国内で流通している同名の商品と一部内容が変わっていることがある、あるいは販売されいないことがありますからご注意ください。
といってもマウスウォッシュは界面活性剤がその主たる抗ウイルス作用と考えるとどれも同じほどの効果があります。また過酸化水素水(オキシドール)も使われています。なかでも良かったのはCrest Pro HealthとListerine Antiseptic(日本未発売)の2つ。どちらも30秒でほぼ99.9%のウイルスを死滅させています。
これはスゴい。すぐにでも口をゆすぎたいです。
オキシドールは2分経っても90%程度にしかならなかったのは意外。
1分以上すすぐという十分な時間を取れば、市販の界面活性剤入りの洗口液でコロナ対策となります。
鼻うがいの効果
さて大事なのはここからです。
口の中のコロナウイルスに関しては、マウスウォッシュ(界面活性剤)で何とかなる。では鼻の中は??となりますよね。これは当然です。
一時カテキンが新型コロナに対して不活化の効果ありと奈良医大からの発表がありましたが、お茶の種類にもより1分で効果がでるものもあれば、そうで無いものもある。またカテキンをどうやって鼻に入れるのかとなると問題は山積。
ということでまずは普通の鼻うがいから。鼻うがいは鼻や上咽頭の上皮に付いた汚れやウイスルを洗い流し、線毛の洗浄効果(クリアランス)を良好に保つという意味があります。
物理的に洗い流すこともとても有効です。手洗いと同じですからね。ただ残念なことは塩水ではコロナは死滅しないと言うこと、ではどうやって死滅させるか。
そう鼻に界面活性剤が届けばいいわけです。
ベビーシャンプーでの鼻うがい(BSNI)
さて先の論文からの抜粋ですが、Neti pot(ヨガの人たちがするような鼻うがい)を使ってあらっても当然のことながらウイルスは死滅しません。2分間浸しても結果は変わりません。
ところが、1%のベビーシャンプーで鼻うがいすると30秒で90%の減少、1分間なら99%死滅するのです。
このBSNIはやらなきゃ損ですぞ。
さてではこのやり方を紹介しましょう。
用意するのはベビーシャンプー(ジョンソンエンドジョンソン、論文のものとは違いますが界面活性作用は同じです)。
ジョンソンエンドジョンソンのものが目にもしみず、鼻うがいが楽にできます。合成洗剤はやだ、怖いという方は、液体石鹸でも良いですが「追い鼻うがい」が必要です。
鼻への刺激は強いです。
必ず「詰め替え用」を用意(ボトルを買うと泡が出てきて洗面所がたいへんなことになります)
100均でもよいのでポンプタイプのボトルを買ってきて移し替えます。泡用を買わないように!
そして鼻うがい用のボトルを用意します。今回はオーストラリア生まれのFLOとアメリカ生まれのサイナスリンスを用意。
鼻うがい溶液を入れたり後の洗浄にはFLOが楽です。サイナスリンスは口が狭いので、洗浄が面倒(その代わり電子レンジにかけて殺菌できます)。
容量はFLOが200ml、サイナスリンスが240ml。私は大容量の方が好き。手入れはFLOが簡単。お好きな方を。
ベビーシャンプーは1%ですから、約2mlを用意します。小さじ半分程度。
ティースプーンでも半分程度です。
作り方
- 洗浄液をボトル半分の白湯で溶かします(粉は全部投入)
- ベビーシャンプーを静かに注ぎます
- 白湯を定量までやさしく注ぎます
- 普段と同じように鼻うがいをします。
これだけです。白湯は1,の時点でしっかりと粉がなくなるまで混ぜ合わせてください。ベビーシャンプーは容易に泡立ちますから、赤ちゃんのように優しく扱うこと。
これがコロナウイルスを99%撃退するBSNIです。思ったよりもずっとずっと刺激がありませんからぜひ試して下さい。
鼻うがいは、風邪の家庭内感染を36%も減らすことができます。つまり、いま新型コロナで増えている家庭内感染を減らすことができるのは鼻うがいなのです。
これをマスコミも医者もだれも言わないのが不思議でなりません。
コロナウィルスにかかってからでも鼻うがいをするとその次の感染を防ぐことができるかも知れないのです。
上咽頭に直接界面活性剤でコロナ撃退
手指のアルコール消毒よりも石鹸での手洗いがより効果的です。
それは洗い流すから。アルコール消毒では洗い流すことができませんし、他の汚れが付いていればアルコール消毒の作用が弱まってしまいます。
これは鼻でも同じ。コロナウィルスが侵入する上咽頭を直接洗って、そして界面活性剤を散布する。細胞表面のウイルスは30秒で90%は死滅します。
BSNIの後で洗い流さなければ、ずっと界面活性剤が作用することになります。
もちろん界面活性剤の副作用(たとえばラウリル硫酸ナトリウムなど)もあるかもしれませんが、多量に常用するわけでもありませんので過度に心配する必要はありません。
BSNIの際も、上咽頭をしっかり洗えるように鼻から入れた溶液が、片方の鼻からでるようにして下さいね。
それであればしっかりと洗えていますから。
https://mirai-iryou.com/aiube/nose_irrigation/
命の入り口である鼻と口をキレイにして、皆がコロナ禍を元気で過ごしたいものです。
コロナに特効薬がない今、界面活性剤(石ケン)と塩水というありふれた手段で立ち向かえるというのは安価ですし、誰でもすぐ入手できます。
ぜひぜひ試して下さい。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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