「がんを予防するには運動が大事」とはよく耳にします。
でも現実は、仕事や家事で忙しくてジムに通う時間なんてないし、ランニングや筋トレを習慣化するのはハードルが高い…
そう感じている方も多いのではないでしょうか?
これまでみらいクリニックでは「ゆるHIIT」(高強度インターバルトレーニング)や加圧トレーニングをお勧めしてきて、Exercise Is Medicine(EIM 運動は薬である)をお伝えしてきました
実は、そんな方にこそ知っていただきたい簡単にできる健康習慣があります。
それが VILPA(ヴィルパ) です。
普段の生活の中で簡単に取り入れることができるので、ぜひ最後までお付き合いください!
目次
VILPAとは?「生活の中のちょっとした運動」
VILPAとは Vigorous Intermittent Lifestyle Physical Activity の略で、日本語では「生活の中での短時間・高強度の身体活動」と訳されます。
具体的にはこんな動きがVILPAになります。
- 階段をエスカレーターではなく駆け上がる
- 電車やバスに間に合わないときに小走りする
- 買い物帰りに少し速足で歩く
- 子どもや孫と遊ぶときに一緒に走る
わざわざ運動時間を確保しなくても、日常のちょっとした場面で「息が上がる程度の動き」を意識するだけ。
これなら忙しい人でも無理なく取り入れられます。
運動は健康に良い…誰もが知っている事実だと思いますが、実行に移すことが難しいですよね。
その点、VILPAは日常生活でちょっと意識するだけ。
歩くときに「すこし早歩きをするだけ」でもOK。
これだったら無理なくできそうじゃないですか?
VILPAでがんリスクを下げられる?
オーストラリア・シドニー大学が行った大規模研究によると、1日3〜4分程度のVILPAを取り入れるだけで、がんの発症リスクが20%以上低下することが明らかになっています。
しかも特別な運動ではなく、階段や小走りといった「日常生活の延長」で効果が出るのです。
なぜVILPAががん予防につながるのか?
その理由は次のように考えられています。
- 心肺機能が向上し、全身の代謝がアップする
- 炎症を抑える作用が働く
- ホルモン環境が整い、がん細胞が育ちにくい状態になる
つまり、少しの努力で体の免疫力や回復力が高まり、“がんになりにくい体”をつくることができるのです。
足指がカギ!動ける体を取り戻す第一歩
ここで大事なポイントがあります。
「いざVILPAをやろう!」と思っても、膝や腰が痛くて動くのが辛い方も少なくありません。
そのとき注目してほしいのが 足指 です。
足指が硬く縮こまっていると、歩いたり階段を上がったりするときの「蹴り出し」が弱くなり、膝や腰に余計な負担がかかってしまいます。
逆に足指がしっかり使えると、地面を踏みしめてスムーズに体を動かせるようになるのです。
痛みなく階段が下りれた!
ここで、膝痛で悩んでいた患者さんの例をご紹介します。
膝痛に悩んでいた Sさん(60代女性)。
階段の上り下りがツラく、外出先でもついエスカレーターを探してしまう毎日でした。
ところが足指を伸ばすストレッチを取り入れ、さらに ゆびのばソックス を履いて足指を自然に広げる習慣を始めたところ、少しずつ膝の痛みが和らいできました。
ある日、電車に乗り遅れそうになり、気がついたら階段を駆け下りていたそうです。
「痛みがなく体がスッと動いたことに、自分でも驚きました」とSさんは笑顔で話してくれました。
足指を整えるだけで、動きの質が変わり、VILPAにつながる動きが自然とできるようになる。
これは多くの方に実感していただきたい変化です。
今日からできる!足指から始めるVILPA習慣
では、具体的にどんなことから始めればよいのでしょうか?
…と質問が来そうですね(笑)
実はそこが落とし穴なんです。
難しく考えないことも大事ですよ!
- 次の信号まで早歩きをする
- 階段を駆け上がってみる
- 遠回りをして帰る…etc.
VILPAは「日常のちょっとした息が上がる動き」です。
これをしないといけない!なんてルールはありません。
こうした小さな積み重ねが「動ける体」を作り、無理なくVILPAを生活に取り入れることにつながります。
がん予防というと大がかりなライフスタイル改善をイメージしがちですが、実は毎日の小さな動きが大きなカギになります。
まずは「足指」から元気を取り戻し、自然にVILPAを取り入れる生活をはじめてみませんか?
参考文献:産業保健新聞
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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