こんにちは、みらいクリニックの今井です。
今日は朝起きた時に鼻血が出る、 あるいは痰に血が混じるという風な時にどういうことを考えたらいいのかということについてお話ししたいと思います。
血痰とか吐血とか色々な表現があって、こういうのは医師の国家試験に、痰に泡状の物があるとかですね、血痰と吐血とを区別するにはどうすればいいのかなんていうのはですね、頻出問題なんです。
よく患者さんがいらっしゃった時に、「血が混じるんです、すごく心配してるんです」という時に覚えておいていただきたいことがあるんですね、これももちろん上咽頭炎についてなんですけれども、 血が混じるということで一番心配するのは例えば結核だとか、肺の病変だと思うんですよね。もちろん喉の潰瘍なんかあってもですね、血が出たりとか、胃潰瘍とかあるいは食道炎とかでもですね、破裂したり食道裂肛が破裂したりして血が出たりする時があるんですけれども、私がやっている日常の診療でそういう症例に出くわすことはほとんどありません。
やはり一番目に考えないといけないことは、もちろんドクター G のようなですね非常にまれな疾患を考えることも大事なんですけれども、より多い普遍的な『コモンディジーズ』といますけれどもそういうことを念頭におくことがとても大切なんですね。ドクター G のような疾患というのはそんじょそこらに転がっているものではありません。 医者はそういう希少な疾患、珍しい疾患を追うのではなくって、やはり多くの方が悩んでいる疾患に対処するというのもとっても大切なことだというふうに思います。
朝起きたときの話とかですね痰に血が混じるということですけれども、上咽頭を見ていくとこういうふうな像が見られるときがあるんですね。
これ上咽頭、この方の左側を見ております。入れていって左側なんですけど、ポツポツ赤いのが見えるのがお分かりですかね、これって上咽頭の粘膜が腫れてしまって、そして少し皮下・粘膜下に出血を起こしている状態なんですね 。
これはこの方の右ですね。ちょこちょこちょこっと出血があるのがわかりますね。鼻を強く噛んだ時とかにこういう風な出血が見られることがあるわけです。
これが少しずつ血が出てしまって、そして痰に血が混じるとか鼻血のような感じで出てしまうとか、あるいは血のかたまり、凝血塊といますけどそういうふうに起こることがあるわけです。
この方の上咽頭を擦るとですね、やはりこうやってすぐに出血しちゃうわけです。こういうふうに簡単に出血してしまうわけですね。
最終的にはこういう感じにかなりひどい出血が認められます。これ本当に軽くこするだけなんです。軽くこするだけでこういう風な出血が起こってしまうということは、「ふんっ」というような鼻をかんだり、「んんっ」というような痰を切るときの動作とかそういうようなことでも容易に出血してしまうと、これが先程の出血の小さな痕になって見えたりとかですね、あるいは痰に血が混じるという風なことになっていくんだというふうに思っています。
ですから 鼻血がよく出やすい、鼻血が出るのはキーゼルバッハ部位というところで、上咽頭とは違うんですけれども、鼻血がよく出やすいとか、あるいは特徴的なのは朝出やすいということですね。口呼吸とかしているとどうしても鼻の奥・口の中も乾燥しますし、上咽頭のところも乾燥してしまいますから、容易に出血をしやすくなってしまいます。
そして痰に血が混じるとか、結核だとか、肺の病変を心配する前に上咽頭炎なんかを心配したほうがよりその診断に行き着くんじゃないかなという風に思っています。珍しい疾患で時々いらっしゃるんですけど、例えば他の病気からの出血っていう方もいらっしゃるんですけども、ほぼ大多数はやはり上咽頭からの出血、そしてなによりも治療していって粘膜の状態が綺麗になって、そしてカメラで見ても出血斑などがなくなっていくと、朝鼻血が出てしまうとか、あるいは痰に血が混じるということがなくなっていきます。ですから痰に血が混じる朝鼻血が出やすい人は慢性上咽頭炎を疑ってみて、一度鼻の奥をカメラで覗いてみるのもいいかもしれません。
それでは今日の話を終わります。
いつも関係ありませんが「足指のびてますか~!」
みらいクリニックの今井でした。
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執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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