第 9 回健康寿命をのばそう!アワード にて介護予防・高齢者生活支援分野で和木町地域包括支援センターの『「みんなが生徒、みんなが先生」で健康づくり~いつまでも自分であるいて、口から食べよう』が厚労省老健局長優良賞を受賞しました。
おめでとうございます!
この健康寿命をのばそう!!アワードとは、「活習慣病予防の啓発活動の奨励・普及を図るため、 優れた啓発活動・取組の奨励・普及を図ることを⽬的」としたもので今回でⅨ回目を迎えました。書類審査やプレゼンテーションを経て選考されるものです。
さらに「地域包括ケアシステムの構築に向け、地域の実情に応じた優れた取組を行っており、かつ、それが個人の主体的な取組の喚起に資するような取組を行っている企業など」が対象となり多数の応募の中から和木町の取り組みが選ばれました。
健康寿命とは、もうすでに多くの方が知っていますね。「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されていて、平均寿命と健康寿命との差は、男性で約9年、女性で約12年です。これは日常生活が不自由なく送ることができなくなってから亡くなるまでの期間です。よくピンピンコロリ(PPK)が理想と言われますが、健康寿命と寿命が一緒だとすると、これが本当のピンピンコロリです。逆にNNKといわれるネンネンコロリは、健康寿命が短く、亡くなるまで周囲の助けも必要となるため医療費や介護費用がかかったりします。
この健康寿命をできるだけのばして平均寿命との差を縮めよう(PPKを目指そう)というのが今回のアワードの趣旨ですね。これはいまではどの行政、団体でも声高に叫ばれるようになりました。
さて、和木町では対する施策として3つの「あ」というキャッチフレーズで取り組んできました。さらに高齢者だけではなく、幅広い層の健康作りに役立てようという取組みでもあるんです。
ところで3つの「あ」と言われても分かりませんね。「あ」はそれぞれ・・・
あしゆび体操(ゆびのば体操)
体の土台である足指をしっかり広げていつまでも歩ける状態を保つ
あいうべ体操
口呼吸を鼻呼吸に変えて元気を保つ。特に年齢を重ねると筋力が弱って(フレイル・虚弱状態)口呼吸が増えてしまいます。さらにはムセや誤嚥性肺炎、窒息に繋がります。ですから、あいうべ体操をして口周り、のど周りの筋肉を鍛える。食べられる口、飲み込めるノドを保つ。
あるこう運動
筋肉は死ぬまで一生使い続けるもの。咀嚼も呼吸も筋肉が行っています。その基本となるのがやはり「歩くこと」。全身の筋力の大半(7割)は下半身にあると言われています。あしゆび体操で体の土台を整えた後は、歩く!!医聖と呼ばれるヒポクラテスも「歩くことは人間にとって最良の薬」と言っています。
この3つの「あ」、まさにみらいクリニックが提唱する息育、足育そのものです。
こちらは表彰状を掲げているスタッフの皆様の様子。左から2番目の支援センター勤務、岩下めぐみさん(社会福祉士)を中心に取り組まれました。
みんなが生徒、みんなが先生
このフレーズはまさにセルフケアです。コロナ禍にありコロナ太りという言葉が出現したように、歩くことが減った、家から出ないこともあるなど活動性が著しく損なわれた一年でした。人との繋がり、地域との繋がりも減りました。
人間は一人では生きていくことができません。繋がりがあってこそ、安心感を得たり、安全な状態を保つことができます。ところがコロナで状況が一変しました。
私も和木町で2020年8月に講演する予定でしたが、残念ながら中止となってしまいました。
気軽に触れあうことができない、交流が難しい、だからこそ「セルフケア」です。あいうべ体操も、あしゆび体操(ゆびのば体操)もセルフケアです。
現に和木町では、あしゆび体操によって元気になった人が「ゆびのばさん」との称号を与えられ、他の人にご自分の経験を伝えていくという成功事例があります。
詳しくは、こちらのブログをご覧下さい。
介護度改善!介護予防,日常生活支援事業…足育を取り入れたプログラムで驚きの結果
(中元幸美先生のブログより)
ガラリと姿勢が変わった写真がありますからぜひご覧下さい
これが「みんなが生徒 みんなが先生で健康づくり」ということなんですね(^^)
この様な継続的な取り組みができたのは、お名前を出しました理学療法士の中元幸美先生の功績が大です。
フレイル・虚弱状態では食欲が落ちる、移動能力が落ちる、判断能力が落ちるなど、これまでできていたことができなくなってしまう事が問題です。
できるだけその人の能力を保ち続けるためには、やはり不断の取り組み(生活習慣)が大切。
写真左に移っているのが指導中の中元先生です(中国新聞2020年12月10日の紙面より)。
特に高齢者の移動能力が落ちる原因として、変形性膝関節症、腰部脊柱管狭窄症などの運動器疾患が挙げられます。中元先生は、理学療法士ですからそれらをケアするエキスパートです。
さらにフットケアにも通じてますから(フットコーディネーターとしても活躍)、なぜ膝が悪くなったのか、腰に痛みがあるのかその原因も把握してくれます。
たとえば高齢になると外反母趾や内反小趾といった足指の変形も目立ちます。足指の変形や糜爛(皮膚の擦れ)タコなどは大半が靴によるものなのです(報告によりますが9割という驚くべき率です)。
ですから、膝が痛い、腰がいたいという人がいても、どんな靴を履いているのかを把握することが必要です。それを中元先生はできますから、心強い。
人との繋がりが大切な時代
新型コロナも大きなくくりで風邪症候群と捉えると、免疫力を上げる必要がありますね。
マスコミでは「手洗い、うがい」と盛んに言われますが、煙草よりアルコールより肥満より、高血圧より免疫力に悪影響を与えるもの、それが「孤独」です。
孤独は風邪を引きやすく、その後の治りも悪いのです。コロナで繋がりが分断されているいま、行政、自治体はその人と人の繋がりを保つ施策に取り組まねばなりません。
中元先生によると、和木町の皆さんが「センターに勤務する岩下さんは、困った時にすぐに来てくれて色々考えて実行にうつして力になってくださるから、とても有り難いし、素晴らしい方です」と評されるそうです。
この継続的な働きかけが今回の受賞に繋がったんでしょうね。
気軽に病院にかかることができない時代、病気でも受診の方が怖いという時代、だからこそセルフケア。
私は、いつもこう申し上げます。
治療は医者しか出来ない
だけど予防は誰でも出来る
この度の受賞誠におめでとうございます。町民の皆さまがいつまでもしっかり食べられて、自分の足で歩ける日々を過ごせますように。
執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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