コロナ感染極初期の上咽頭内視鏡所見について報告しました。

Changes in Pharyngeal Endoscopy Findings with COVID-19(新型コロナウイルス感染時の内視鏡変化 英文です)

慢性上咽頭炎治療では咽頭内視鏡観察はとても重要な情報を提供してくれますが、結果として起こっている病変を観察しているわけです。

ですから、いまの病変がいつ起こったのかそしてどのように変化していくのはほとんど知ることがありません。

今回たまたま感染前に内視鏡をしていた患者さんが新型コロナウイルスに感染しました。療養期間経過後すぐに再度内視鏡をさせていただきました。

すると上咽頭粘膜の著明な腫脹と慢性上咽頭炎に特有の所見を認めました。

こちらが初診時の上咽頭後壁の写真です。

そしてこちらが感染直後のもの。この時はそれまでになかった著明な倦怠感、集中力の低下といったコロナ後遺症に類似する(時間が経過していないのでコロナ後遺症と診断ができない)症状を呈していました。

さてこの二つの写真を比較してどのように思われるでしょうか。

上は、血管(赤い筋)がまだ見えている部分がありますが、下はそれが消失し、代わりに全体的にむくみ小さなデコボコした粘膜が観察できます(敷石顆粒状変化といいます)。

新型コロナウイルスに限らずインフルエンザウイスルも上咽頭部の検体がもっとも有用性が高いのですが、ここへ付着して体内へ侵入していく窓口になるからです。

これは当然感染によって引き起こされた変化と言えるでしょう。

新たに発症した症状とこの腫脹をすぐにイコールで結びつけるのにはまだ経験が足りませんが、その後も数例ですがすでに同様のケースを経験しており、やはり上咽頭粘膜の炎症性変化を認めました。

この様な報告は世界でもなく(上咽頭炎治療をしているのが日本だけですから)、コロナ感染による上咽頭粘膜変化の報告としては世界初とも言えるかと思います。

ちなみにこの患者さんはEAT(上咽頭擦過治療)によりその後軽快治癒し、すでに治療を終えています。

コロナ後遺症で苦しんでいる方の一助になれば幸いです。そして慢性上咽頭炎に対する理解が深まりますように。

 

執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール

今井 一彰
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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