リウマチ外来について(予約制)

初めに

自分自身の身体を、自分自身の力で良くする。

リウマチなど自己免疫疾患でよくされる説明は「原因不明」です。でも、原因のない病気はないはずです。リウマチ外来では、病巣疾患、生活習慣からその原因を探っていきます。自己免疫疾患でも体も心もみることが大切だと考えます。

原因はいろいろです。喉や口の慢性炎症が免疫力を落としていることもあります。その検索には臨床経験が必要です。

関節リウマチによる手の変形

みらいクリニックのリウマチ外来は、薬をやめていきたい、自分自身の身体を自分自身の力で良くしたいという方と作り上げてきました。

みらいクリニックは、検査数値を見て、薬を処方する、そのような画一的な治療は行っておりません。お一人お一人に努力していただくこともたくさんあります。ぜひ一緒に治療をして元気な体を取り戻していきましょう。

院長は、これまでにも関節リウマチ関係の執筆活動も多く行ってきました。

  • 「歯周病悪化の原因はこれだ~リスクファクターを知れば難症例も怖くない~」口呼吸と歯周病の章を担当デンタルダイヤモンド社2017
  • 「オーラルヘルスと全身の健康第2版」 ブラウン社 第9章「口腔感染症と関節リウマチ―病巣感染症の一次疾患としての口腔疾患―
  • 「リウマチを治す5つのステップ」コスモの本

など(上記は一部です)。

当院のリウマチ外来の特徴

身体の使い方を正していくと、多くの病気は薬を使わずに治っていく。関節リウマチも同じです。

みらいクリニックは、2006年の開院以来なるべく薬を使わない、残された機能を出来るだけ温存させていく治療をしています。これまで数々の症例において、服薬剤の減量を、あるいは中止を成功させてきました。

関節リウマチの治療は、生物学的製剤の登場により劇的に変化しました。しかし、福音がもたらされた一方で、思わぬ副作用で苦しんだり、経済的な負担に悩まねばならない事態が生じたことも事実です。さらに、薬剤に対するアレルギー症状、アナフィラキシー(ショック)などで生物学的製剤が使えない方々は、従来通りの治療しか出来ていないのが現状です。

現在飲んでいる薬剤を、これからずっと服用し続けた状態を想像してみてください。どれほどの量になるでしょうか。また、通院し続けることによる、経済的さらには、時間的損失はいかばかりになるでしょうか。

もちろん、これから医療の発達により、治療法が変わっていく可能性がありますが、基本は病気にならない身体作りです。これは、安心を得るために一番良い方法です。

身体の使い方を正していくと、多くの病気は薬を使わずに治っていくものです。関節リウマチとても同じだと考えています。

また口の中の感染症(歯性病巣感染症)、歯周病が病気の悪化の原因として、一役買っていることがあります。関節リウマチの発症に歯周病菌が大きな役割を果たしていることが証明されています。

抗CCP抗体を生み出す元凶が歯周病菌

対象疾患(関節リウマチ、膠原病一般、自己免疫疾患)

症例提示1 関節リウマチ

典型的な症例を一例提示してみましょう。

30代女性です。多発性関節痛で病院を受診し、関節リウマチと診断されました。
ちょうど出産したばかりの乳児を育てている真っ最中でした。
投薬治療を勧められたのですが、授乳したいからと断り、できるだけクスリを使いたくないとのことでみらいクリニックを受診しました。
初診時には、抗CCP抗体もCRP(血液炎症反応)も高値でした。

みらいクリニックでは、この様な時には「きちんとしたオーラルケア(口の中の衛生状況改善)」と「口呼吸防止」をまず行います。

この方の場合は、投薬することなく速やかにCRPが減少し、関節の腫れ、痛みも改善しました。
その後は、検査のみ行っていましたが、抗CCP抗体も減少し、初診から6年経った2015年現在も関節痛、関節変形を見ることなく経過しています。

投薬せず、授乳も安心して継続できましたし、原因治療をしていますから日常生活習慣に気を付けていれば再発の心配も抑えられています。

これはほんの一例です。

薬を使わない治療の一例

 

症例提示2 多発性筋炎

次に関節リウマチ以外の膠原病(自己免疫病)についても見てみましょう。

52歳女性、多発性筋炎です。息苦しさと倦怠感で病院を受診したところ、多発性筋炎と診断され入院しての治療を勧められました。
ステロイドの大量療法と聞いて驚き、できるだけクスリを使いたくないと考えてみらいクリニックを受診しました。
受診時の血中CK値は4000IU/Lを超えていました。基準値は200IU/L以下です。実に基準値の20倍を超える数値です。
これでは担当医が入院を勧めるのも無理のない話です。

この方の場合も、原病巣治療、口呼吸改善、オーラルケアにて2年後にはCKが基準値内になり、AST/ALTといった肝臓の逸脱酵素も改善しました。
ステロイド、免疫抑制剤などの投薬は行っておりません。

いまでは、元気にスポーツを楽しんでおられます。

多発性筋炎の経過

原因を追及する

膠原病は、自己免疫疾患と言われますが、どういう機序かで自分自身の体を自分の免疫が壊してしまう状態です。
その原因の一つに、病巣疾患(病巣感染症)が挙げられます。

例えば、歯の根っこに小さな膿がたまっているような場合です(副鼻腔炎や扁桃炎も原病巣になります)。

この歯の根っこ(根尖といいます)の病気は治療をするしかありません。
この治療をしなければ膠原病が治らない場合があります。だからまずは原病巣探索が必要なのです。
これには熟練した技術と経験が必要です。
目の前の患者さんのどこに病巣があるのかを判断するのは医師の役目です。

根尖性歯周炎などが原因となることも

画像:森下歯科(札幌市西区提供)

病巣疾患についてはNPO法人日本病巣疾患研究会のホームページを参考にして下さい。

NPO法人日本病巣疾患研究会(歯性病巣疾患のページへ)

診察・治療方針

薬剤をまず減量していく方法を指導します

現在治療中の方は、それらの薬剤をまず減量していく方法を指導します。生活習慣の改善が基本です。

ステロイド剤、リウマトレックスをはじめとするDMARDS(抗リウマチ薬)、NSAIDS(非ステロイド系鎮痛剤)が処方されますが、もちろんこれらの薬剤も減らしていくことが可能です。ただし、治療に当たっては、必要最小限の処方をすることがあります。

口の中の炎症と全身とのつながりを考えながら治療をしてくれる歯科医院に受診することも必要です。

現在服用している薬を、急に中止することはやめてください

くれぐれも現在服用している薬を、急に中止することはやめてください。

一つは、ステロイド剤では離脱症状をひき起こす可能性があること、そして、やめたとたんに痛みが増してしまうと、「やはり薬が必要なんだ」という思いを強化させてしまうことになるからです。

生活習慣改善が治療のカギです

生活指導としては、当院の基本治療方針である、「べろ」(あいうべ体操)と「足指」(ゆびのば体操)を伸ばすことが関節リウマチ治療においても大切です。もちろん食事も同じように大切です。

例えば、ステロイド剤の副作用である、骨粗鬆症は、骨折のリスク因子のうち、15%程度しかありません。痛みから来る運動不足や薬剤の副作用による骨粗鬆症を、治療するためにさらに処方薬が増えてしまいます。そして、それで出来るリスク回避は、微々たるものです。

受診間隔など

2〜4週間に一度。遠方の場合は、さらに長くなる場合があります。

きちんと治療を行えば、速い方で1ヶ月目から、遅い方でも3ヶ月で薬を減らすことができます。痛みを我慢して、耐えて薬をやめていくのではありません。患者さんの中には、プレドニン(ステロイド剤)を、自分で少量削って、ちょっとずつ服薬量を減らしていく方もいます。

しかし、減らす方法を行っていなければ、痛みを我慢しながらということになってしまいます。我慢、忍耐をしてやめるのではありません。やめたときよりも、元気に、健やかになって行くことができると思います。

最後に

薬をやめて元気になる、ちょっと逆説的に思えるかもしれませんが、実際に受診した方々から多くいただく感想です。あなたも、薬によって引き出せていない、自分自身の隠れた力を引き出して、そして痛みから解放されませんか。

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執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール

今井 一彰
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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