糖尿病は炎症だ! 西田亙先生新著

あいうべ(息育) オススメの本

内科医から伝えたい歯科医院に知って欲しい糖尿病のこと

にしだわたるクリニック院長の西田亙先生の新刊が出ました。

私が西田先生を知ったのは2014年のこと、すぐに福岡でも講演をお願いしたいと申し出て2015年3月に「第22回命の入り口セミナー」として福岡・天神で濃密な講演を行っていただきました。

それ以来お付き合いをさせていただいております。

2015年3月に行われた 命の入り口セミナーの時のもの

歯科医の原瀬先生

命の入り口セミナーの時は、西田先生の相棒である原瀬歯科医院院長の原瀬忠広先生にも歯科医院における高血糖の実態や糖尿病における歯周病、歯周炎を治療することの大切さを教えていただきました(この機会にビデオを見直してみましたが、う~~んやっぱり勉強になる~~~)

まだわずか2年前ですが、糖尿病と歯周病をとりまく環境はどんどん変わりつつあります。でもまだまだ、知らない人がいることも事実。

さて、かくいう私も西田先生のお話を伺って、糖尿病に対する考えがガラガラガラッと変わりました。

私が医者に成り立ての頃は、糖尿病の治療と言えばSU(スルホニルウレア)剤とαグルコシダーゼ阻害剤、そしてインスリンくらいしかありませんでした。

いまは治療のスタンダードはSGLT2阻害薬に移ってきています。このSGLT阻害薬ですが、おしっこの中に余分な糖を出しちゃえばいいんじゃね!?というまさに逆転の発想の治療薬。

そして薬の移り変わりとともに、糖尿病は、ただ単に血糖が高くなる病気では無くて、微小慢性炎症が主体となった炎症性疾患だという考えに移り変わってきています。

ところで、よく「尿が良く泡立つんだけど糖尿病かな」と聞かれるんですが、私も泡立ちますから一概にそれだけで糖尿病だとは言えませんし、糖尿病と名は付いていても、尿検査で糖尿病を判断するわけでありません

みらいクリニックで積極的にOGTT(糖負荷試験)をするようになったのも西田先生のお陰です。

炎症のコントロールが血糖のコントロールにつながる

ブログでCRPが低いことが健康にとっても良いことだと書きました。

本著の52Pにも西田先生の私見としながらもCRPのことが書いてありました。

私は、膝を打ちましたね!これだ!!と。

正常 0.02mg/dl 以下
歯肉炎 0.04mg/dl 前後
歯周炎 0.4 mg/dl 前後
肥満 1.0 mg/dl 前後
感冒 5.0 mg/dl 前後
肺炎 10.0 mg/dl 以上

 

これがそのCRP値の目安表です。

CRPは通常0.3mg/dl以下が基準値(いわゆる正常値)と言われているのですが、0.3ではかなり高いことがこの表からも分かると思います。

できればCRPは0.01mg/dlが理想です。

ところでこの表では、正常の次に出てくるのが「歯肉炎」です。

不思議ですね。

もちろん風邪などでもCRPは上がります。

歯肉炎の表記はこの本が、歯科医療者向けになっているからという理由もありますが、CRPが0.1mg/dlなんて「正常!」という医療者ばかりの中、0.10mg/dl以下に焦点を当て、それと歯肉炎がつながっていると知って下さる方が多くなるとうれしいですね。

歯肉の炎症は、持続的にそしてダイレクトに口腔内細菌が血管に侵入し続ける、炎症物質がとどまり続けるというのが体に悪影響をおよぼすわけです。

糖尿病の第6の合併症とは

糖尿病は、血糖が高い状態が続く、血糖のスパイク(急な上昇)が起こる、血中インスリンが高値の状態が続くなどの理由により、他の臓器にいろんな問題を引き起こします。これを合併症と言います。

1~3は糖尿病の合併症としてとても有名です。

  1. 神経障害(シンケイ問題) しびれや痛みを感じない
  2. 網膜症(メの問題) 失明の可能性
  3. 腎障害(ジンの障害) 人工透析になる可能性
  4. 末梢動脈疾患(足先のエソ:壊疽)
  5. 脳心血管障害(ノウ血管、キョケツ性心疾患)
  6. 歯周病

123で「シメジ」、45で「エノキ」と語呂合わせで覚えます。

ところでいきなり6.歯周病とは何でしょうね。

上に示したCRPの早見表でも出てきました。

実は歯周炎、歯周病は日本人の大部分がかかっているとも言って良い「炎症疾患」なんです。

この小さな、小さな症状のあまり出ない炎症を抑えるのが、体の健康に大きくつながるんですね。

歯肉炎は、歯肉の炎症、歯周炎は歯の周りの組織にまで炎症が広がっている状態。歯肉炎と歯周炎は、漢字一文字しか違いませんが、病気の内容、質としては大きな違いがあります。

だから本著のタイトルは

内科医から伝えたい歯科医院に知って欲しい糖尿病のこと

なんです。

歯科医院で治療する時に血糖が高いと治療後の炎症がなかなか治まりません。

病院で測る空腹時の血糖は正常でも、食事を食べた直後だとぐ~~~んと上がることがあります。

会社の健診などで、絶食後に行われた採血での血糖値が良かったからと言って、それは糖尿病で無い、高血糖で無いことではありません

ここ要注意です。医師でも勘違いしている人がいます。

西田先生の新著をご希望の方はamazonなどでも入手できます。

難しいことをさらりと簡単に書いてありますし、いろんなところで患者さん指導に使えるトリビアのようなものも載っていますから臨床に役立てる本です。

もちろん医科関係者でも十分満足できます。

スタッフ教育用に、待合室用に、そしてご自分の知識アップにいかがでしょうか。

さらりと書いてある文章、言葉に含蓄がありますよ。その辺も注意しながら読むとまた楽しい書籍です。

 

※ちなみに2017/8/27に行われます増田純一先生のセミナーは「第25回命の入り口セミナー」でもあります。

このセミナーの様子もブログで報告いたします。

2017年7月発売の最新刊「口呼吸を止めて万病を治す~口テープ特典付き」発売中

これは私が2017年7月に出した本です。口テープの特典付き。

フルカラーでとても分かりやすく見やすく仕上がりました。こちらもどうぞよろしくお願いします。

執筆・監修 内科医 今井一彰プロフィール

今井 一彰
みらいクリニック院長
内科医・東洋医学会漢方専門医
1995年 山口大学医学部卒業 救急医学講座入局
2006年 みらいクリニック開業
加圧トレーニングスペシャルインストラクター
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