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鼻うがいについて
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最新のコロナ対策鼻うがいはこちらのブログをご覧下さい。
ここでは、鼻のセルフケアとして代表的な鼻うがいについて説明します。
鼻うがいは怖そう、痛そう、つらそう…
なんて声も届きますが、一度やってみるとまったくそんなことないことが分かると思います。
実は、鼻に水が入った時つーんと痛いのは水と鼻水の「浸透圧」が違うからです。鼻水は痛くありません。
そうです、鼻の洗浄液を鼻水と同じような塩分濃度にすればまったく痛くありません。
人間の体液は塩分濃度0.9%です。
鼻水も涙も塩分濃度0.9%。
これと同じにすれば良いのですから簡単です。これを生理食塩水といいます。
100ccの水に0.9gの塩を入れるだけ。
ちょっとなめてみるとかすかに塩っぱいかなと言う感じがする程度です。これが洗浄液です。
鼻うがいでは重曹を加えた方が線毛の働きが落ちないとされていますから、少し重曹をいれても良いでしょう。
用意するもの
水 1リットル、食塩9g、重曹0.5g
水 100cc、食塩0.9g、重曹0.05g
でOK。
もちろん専用の鼻うがいキットを使うのが楽ですが、自分でも作れます。
認定NPO法人日本病巣疾患研究会では、鼻うがいを推奨していますのでこちらのポスターを参考になさって下さい。
またヨミドクターにて今井院長が解説したものもありますので、合わせてご参考下さい。
花粉症にも効く、鼻うがいとツボ押し 鼻呼吸で「人生が変わった」
鼻うがいは入り口近くをすすぐ程度でも大丈夫
鼻は微粒子をこし取る機能に優れており、鼻の中だけでほとんどの花粉をこしていると言われています。口呼吸では、この機能がありませんから、汚れた空気をそのまま肺に送り込んでしまうのです。
なんと、鼻は自動洗浄機能まで持っているのですが、黄砂、PM2.5やマイクロプラスチックなどの微粒子も飛び交う現状では、鼻に負担をかけ過ぎないよう、小さなゴミやチリを定期的に洗い流すことも大切です。PM2.5くらい小さな粒子になってしまうと鼻で全てをこし取ることが出来なくなってしまいます。
鼻うがいは、商品化されたキットを使うのが安全でお勧めです。まれに中耳炎を引き起す可能性があるからと、推奨しない医師もいるようですが、今回の方法なら大丈夫です。
鼻は空気の出入り口、外気に一番近い鼻の穴の近くが一番汚れます。このあたりだけ鼻うがいして、奥まで洗浄液を入れなくてもよい場合もあります。
鼻の入り口をすすぐ程度です。
洗浄液を上記のようにつくり(真水は痛みを生じるため使用しません、また作り置きなどをせず、その都度調整して作るようにします)、慣れないうちは、「あー」と声を出しながら洗浄液を鼻に入れていきます。
痛くありませんし、お子さんにもできまよ。鼻の穴から少し奥に入る程度で大丈夫です。
慣れてきたら、片方の鼻から入れて片方の鼻から出るようにすると、さらに鼻の奥の汚れが取れます。
ただ、やり過ぎは鼻水中のムチンなどの大切な保湿成分まで洗い流してしまいますから、1日2回程度までにしておきます。
なれてきたら鼻の穴から鼻の穴へ
いろんな空気中の異物は鼻の入り口で大半が濃し取られるので鼻うがいが恐い人は入り口を洗うだけでもOKですが、上咽頭部を洗うには片方の鼻から洗浄液をいれて、反対の鼻の穴から出てくるようにするのがよいですね。
やり方は動画を参考にして下さい。
こちらの動画は、上咽頭部(鼻咽腔)をしっかりと洗えてるのが分かるものです。
口から洗浄液が流れ出してしまうと(ダメではないですが、上咽頭部は洗えてイナと考えて下さい)。
ちょっとした洗浄液の角度で変わりますから練習が少し必要かも知れません(すぐ出来ますよ)
鼻うがいのエビデンスや禁忌について
鼻うがいの禁忌疾患は
- 急性中耳炎
- 浸出性中耳炎
- 声帯麻痺
- 誤嚥を起こしやすい人
- 膿性鼻汁の多い人
です。
これらの方でどうしてもしたいと言う人は、鼻の入り口だけ洗って下さい。
時々「医師に相談したら”やっちゃダメ”と言われたけどどうすればいいですか」と相談されます。
強く洗浄液を鼻の中へ注入しなければ、まずは心配ありません。
繰り返しになりますが、心配な場合は鼻の入り口だけを洗浄して下さい。
私は、むしろ鼻うがいを避ける方がリスクが高いとも考えています。
鼻うがいのエビデンス
鼻うがいのエビデンスをすこしご紹介しましょう。
- 家庭医のほとんどが鼻うがいを推奨、上気道感染症に対して抗生物質を投与する前に鼻うがいを勧める(※文献)
急性・慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎、気管支炎に対して推奨、妊婦にも勧める
毎日セルフケアとして行うことで生活の質も改善します。
- 妊婦の季節性アレルギー性鼻炎が改善(※文献)
妊婦さんはあまり薬を使いたくありませんよね。6週間鼻うがいすると統計的に有意に薬の使用量が減ります。
- 周術期のCOVID-19(SARS-cov-2 新型コロナウイルス)防衛のために鼻腔、口腔の除菌を(※ 文献)
これはポピドンヨード(イソジン)で洗浄しています
- 鼻うがいは粘膜の線毛活動を改善、復活させる(※文献)
線毛は異物を排除するのにとても大切。鼻うがいでこの機能が保たれます。
鼻うがい習慣がどんどん広がっています
壮快2021年4月号(マキノ出版)にて「鼻うがい」の特集が組まれました。
鼻うがいは、花粉症に対して日本の耳鼻咽喉科医も40%以上が推奨していますし、これから手洗いやうがいのように普通の生活習慣として根付いていくのではと大きな期待を寄せています。
より専門的に知りたいという人は、堀田修先生の鼻うがいの書籍が大変参考になります。
さて壮快4月号ではさまざまな人が鼻うがいを実践して良くなったという体験記を紹介しています。
なかでもタレントのキンタローさんの記事はいろんな示唆に富むものです。
新型コロナによる”新しい生活様式”は私たちの生活を一変させました。手洗いうがいはもちろん、手に触れるところの消毒、ソーシャルディスタンスなど実践するようになりました。
キンタロー。さんはこれらに加えて目の洗浄と鼻うがいをするんです。それは赤ちゃんに感染させたくないから。
妊婦さんもそうですが、使える薬剤の選択肢が少ないという人は大勢います。ですから、病気になってからの治療ではなく、健康で過ごせるための予防法がとても大切です。
キンタロー。さんは、俳優の山崎育三郎さんから鼻うがいを勧められたそうです。もちろん最初は、痛そう、、、と尻込みをしたようですが、専用液ならいたくないと聞いてチャレンジしたところ、鼻がスッキリして気持ちいいと実感したそうです。
ところが出演していたミュージカルが終わったと同時に鼻うがいの習慣も残念ながら終了。
その習慣を再開させたのがご自身の妊娠。アレルギー性鼻炎がひどくいつもであれば薬を飲むのですが、妊娠中はためらわれます。
そこで医師から「鼻うがいをしては」と再度勧められ再開したのです。
再開すると鼻の痒みも途端に消えて「どうしてもっと早く気づかなかったんだろう」と悔やむほど。鼻うがいは自分が予防することで、他人への感染も防げると言うことでいまでも継続しているとのことです。
花粉症や副鼻腔炎のセルフケアとして鼻うがいがもっともっと活用されるとこのようなケースが増えていくと思います。
痛いなんて事はありません。本当にスッキリと気持ちよいですから、皆さんもぜひ鼻うがいやってみて下さい。